海外勤務を可能にする3大パターンとは?~「MBA後、海外勤務をするには?」

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「海外に住みたいから御社を志望する」という人は、実は結構います。希望先の海外勤務を実現するパターンとして、多国籍企業への勤務、日系企業の海外勤務、海外での起業が挙げられます。コンサルファームに入るときは、グローバルファームでも意外とドメスティックな企業相手のプロジェクトが多いことに、気を付けましょう。

海外勤務を可能にする3大パターンとは?~「MBA後、海外勤務をするには?」

MBA留学中女性による質問

来年、MBAをアメリカで修了予定の帰国子女です。2年のアメリカ滞在生活の結果、私はどうしてもこちらの生活になれてしまい、就職はカリフォルニアかニューヨークで希望しています。

ボストンキャリアフォーラムに参加しましたが、それこそ大企業もでそろっているものの東京本社勤務が主のように感じられます。外資系の金融やコンサルに就職すると、海外に住みやすいものでしょうか?

講師による回答:MBA後の海外勤務3大パターンとは?

端的に申しまして、Noです。出張やプロジェクトで長期滞在はあっても、外資ファームは基本、日本勤務です。現地でビジネスレベルで立派にやっていける言語力と、そのオフィスで貴方のスキルセットが必要で現地で調達不可能、しかもあなたが高い評価を受けていて辞められると困る、みたいな状況だと別ですが、基本的には日本採用になることが多いです。

むしろトップMBAの後に海外に住むなら、まず第一のパターンとして、多国籍企業の半年ごとにいろんな国を転々とする、グローバルリーダーシッププログラム採用などがいいのではないでしょうか。カリフォルニアかニューヨークということですが、シリコンバレーに人を張っておきたいという日本企業の需要は結構あります。

ニューヨークですと、英語とビザに問題が無ければ、投資銀行の本社採用の道も、狭いパスですが存在します。

第二のパターンとして、所謂”会社のスペック”を落してでもニューヨーク駐在員を選ぶケースがあります。たとえば日本企業でニューヨークで勝負したい、みたいな会社の駐在要員も時折存在します。これらは”自社内に英語をできる人がいないことがボトルネック”になっていることが多いので、ネイティブレベルでなくても採用の対象に上がるでしょう。

また第三のパターンとして、自分で海外で起業するというパターンがあります。ほかにも、現地の人と結婚して、配偶者ビザで渡航し、現地で働きだすというケースがあります。

実は、住む場所を職業選択の第一優先順位にして仕事を選ぶ人は、少なくありません。ただ面接時に話すストーリーとしては、注意が必要です。「住みたい場所のためにはキャリアの内容をころころ変えてしまう」というような態度は、面接官側からすれば決して感銘を受ける候補者の態度ではないでしょう。 

いくら身勝手に聞こえても、会社側は「うちにしっかりとした理由と覚悟をもって入社してもらいたい」と願っています。

やりたいことや動機は、数年ごとに変わっていくのが当たり前だが、プレゼンテーションの工夫が必要

そうはいっても、私には貴方の言わんとする気持ちが分からなくもありません。「覚悟」や「目的意識」は、動機付けにはなりますが、常に「あてになる」わけではありません。人は自分の思う以上に自分の事を知りません。そして人は、自分の思う以上に時とともに変わるからです。

そもそも仕事なんて、一度もしたことないのだから「どれが好き」とか「確固たる覚悟をもって。。」云々と説かれても、その観念自体が学生からすればいまいちピントはずれでしょう。 

逆に、「ここに一生いる!」と大声で叫びながら面接にくる学生の方が、怖い部分もあるでしょう。

私個人の例が適当なので挙げると、私は貴方のようにアメリカで某大学を卒業し、そのままストレートで最大手外資系証券に入社しました。入社3日後の歓迎会で、私は乾杯の音頭をとりながら「僕は一生xxx(会社名)にいます!!」)と宣言して、周りの上司によく可愛がられたものです。

「一生そこで働く」という若気の決意は、大抵すぐ終わる

2年と半年後、ヘッドハンティングにより他社に転職しました。今振り返っても、そうするしかなかったし、そうして自分の人生にとってよかった、と思える決断でした。

生涯のコミットメントとしての覚悟は別にいらない。しかし、貴方の発想が、雇用者にとって危険であることには違いありません。

貴方にさんざんお金と時間を投資して、結局「アメリカになかなか住ましてくれないから」と突然辞められては、会社は立つ瀬がないでしょう。故に、貴方のもつような動機は決して評価される動機ではないのです。

自分をどうプレゼンテーションしてゆくか、をじっくり吟味すべきでしょう。

米国勤務に必要なこと:相当の英語力+能力と結果がすべて

まず、米国での雇用に関する私の個人的概観を述べましょう。外資系に勤めて、そのままアメリカに転勤をする、というのは不可能ではありません。しかし、それには相当の英語レベルが要求されます。

貴方は、自分がTOEFL満点近くあるからといって、安心しているタイプの留学生ではいけないでしょう。(実際に米国本社で働くアジア人は、ネイティブか高校、少なくとも大学時代は米国一流大学で過ごした人しか見たことがありません)

英語に加え、さらに貴方はWall Street現地で通用する能力や技術を身につけなければなりません。日本人が米国現地で仕事をする、ということは、日本人のほぼすべてが寝ている時間帯に起きている人たちと一緒に、またはそれらを相手として収益を稼ぐという行為です。

バイリンガルで、アクセントがあったとしても十分に難度の高いレベルの会話ができ、しかもfinancial engineerとして実績のあるような人ならロンドンでもNYでもいけるでしょう。

当然のことですが、愛媛県とかで自称個人投資家の自営ガレージオーナーに営業とかしかしたことのない人物が、持ち前のbroken Englishでいきなり単身NYに渡っても、いわゆる存在感は発揮できないでしょう。

「能力と結果がすべて」という外資系金融における揺ぎ無い鉄則が、ここに垣間見えています。

タイムスパン次第では、日系の海外勤務も視野に

日系でもよいならどうでしょう?これに関しては、我がセミナーの職分とかけ離れるので極端的に述べると、タイムスパンの勝負になります。

どういう意味かというと、長く日本で丁稚奉公(でっちぼうこう)に勤めて、将来的に家族そろって海外勤務、という手は十分にあるようです。実際、私の大学院の友人でも、そのようにして海外留学、家族手当、海外勤務の三拍子がそろった方々が多々いらっしゃいました。

なお海外勤務が第一志望であれば、やはり総合商社に軍配が上がります。私の大学の動機も、大学時代はパッとしなかったのですが、某財閥系の総合商社に入り、中東とブラジルで長年過ごし凱旋帰国しましたが、今では英語のみならずポルトガル語もペラペラで、新興国のエネルギー資源にやたらと詳しくなったので業界では噂のヒッパリダコへと成長を遂げました。

このような日系企業の場合、海外企業ではないので、ぎりぎりの英語力でも十分重宝されるだろうし、働く相手や同僚も日系の方が比較的多いに違いありません。
しかし、タイムスパンの観点から、貴方には「日本で待つ」という事が要求されることも多いので、気を付けましょう。

実際に某大手自動車メーカーのグローバル幹部養成コースに入った友人で、本来2年ごとに大陸を移動するプログラムだったのに、なぜか日本にへばりつかされる羽目になった人を私は知っています。

面接では、「アメリカに住みたいから御社を受けている」などと白状しないこと

最後に、冒頭で言及した「自分のプレゼンテーション」についてのアドバイスを述べます。面接官に志望動機の第一要素として、「私はアメリカに住みたいから御社を受けている」というのは、好ましくないのはすでに述べたとおりです。たとえ貴方の真意がそうであったとしても、です。

本当にアメリカに住むためならどんな仕事でも良いのか、外資系に就職して東京で勝負してからでは遅いのか、自分の英語力は現実的にどういう企業で通用するか、20年後の自分は、具体的にどこで何をしていたいのか。

これらのことを自分なりに調査して十分考察しておくと、すくなくとも面接で「NYにある御社でこそ、自分はxxxにチャレンジできると感じた」くらいのことを、嘘臭くない感じで表現できるでしょう。

そして、それに始まる効果的な自分自身のプレゼンテーションは、有意義な就職への大きな、そして必要不可欠の、第一歩なのです。

将来的に自分自身が変化することを受け入れる見識と余力を残しつつ、且つ今の時点で「到達したい自分」を確立し、効果的にそれを表現する。

就職、転職そして仕事現場のどの状況においても、この目的意識に基づいて今の自分を捉えるべし、というのが我がセミナーの哲学です。

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