
経済メディアが発表する、大学別就職後満足度ランキング。総じてイメージと実態は乖離が大きく、入ったあとで後悔する企業もたくさん入り込みがち。そもそも他人が行くから自分も行くという職業選択で納得度の高い就活が出来るわけがないのですが、ランキングという言葉に反応してしまう人が多いのも事実です。このデータ比較からわかることと、ミスリードされないように気を付けなければならないことを、以下に解説します。
大学別就職後満足度ランキングからわかることとは?
1.外資系戦略コンサルはやはり東大有利
マッキンゼーやBCG、ATカーニーが満足度上位にくるのは東大だけでした。
これは、これら戦略コンサルトップティアが東大から多く採用するという事情もありますし、東大出身のパートナーが多く、同じ研究室出身の後輩を優遇する人も実はいることが反映されているのかもしれません。
また実際に、東大出身者のほうが「苦手科目も頑張って勉強して取りこぼしなく努力してきた」人が多いので、規律をもってハードワークを頑張れる人が多いのも、事実なのです。
2.総合商社や総研を目指すなら、別に東大に行かなくても早慶で十分
満足度ランキングが物語るよう、総合商社は総じてどの大学でも高い満足度で評価されています。
これは、各社がこれら大学から多くの採用を行い、幹部クラスにそれぞれの大学出身者が多いことからも、社内での待遇に差がないことを意味しています。
また、総合商社は頭を使ったIQ勝負というより「人間力勝負」とよくいいます。むしろ正確には「そもそも待遇に差がないので勝負感がない」ため、成果主義より平等安定志向の強い人に幅広く満足度が高いことを意味しているともいえるでしょう。
3.早慶出身で不利を感じず活躍するなら、セカンドティアコンサル?
アクセンチュアやアビームといった、MBBやATカーニーより格が落ちるコンサルファームでは、採用規模も大人数で早慶出身者も非常に多いものです。
したがって社内で東大出身者に比べ、肩身の狭い思いをすることがありません。
早慶でコンサルを目指すなら、まずはアクセンチュアを目指すのが現実的なターゲットといえるのでしょうか?
大学別就職後満足度ランキングから、わからないこととは?
1.上で述べた3つは、個別ケースではまったく当てはまらないことも多い
自分で上の問いを投げかけておきながら、以下ではそれを幾つか部分否定します。
まず早慶出身でも大活躍し、パートナーとして活躍している方は戦略コンサル各社にいらっしゃいます。
また実際コンサルプロジェクトで働いたりパフォーマンスを評価するうえで、大学名が気にされることはまずありません。
上記で述べた中で、戦略コンサルトップファームへの満足度が東大だけで高いのは、ひとえにこれらの企業が東大からたくさん採用することに起因しているというのが、最も大きな要因でしょう。(また、東大生に特化した採用イベントや就活サービスが多いのも、この傾向に拍車をかけています。)
2.人数や学部も違うのに、大学単位で比較しても自分には当てはまらないことも多い
そもそも大学によってどのような学部に生徒が多かったり、人数も大きく違うのに、大学出身者ごとの就職後満足度ランキングをそのまま比べても、言えることはあまりありません。
3.満足度ランキングが高いからと言って、自分に向いているわけではない
最後にこれが最も大切なのですが、特定の大学卒業生の就職先満足度ランキングをみて、自分が満足するであろう就職先を考えるのは大いに間違っているということです。
まず多くの人が、自分の出身校の先輩が進んだ会社に入るので、大いに進路選択にバイアスがかかっています。
また、例えば慶応で一番満足度が高かったのがNHKというのは、単にNHKに行った人が自分にぴったりフィットする会社がNHKだっただけです。仮にマッキンゼー志望の人がNHKに入ったらそのフィットのなさに愕然とすることでしょう。
またランキングの中には、会社をあげてサクラレビューを入れているところもなきにしもあらずでしょう。
重ね重ね、これら”就職満足度ランキング”などは細目・遠目・横目で少し眺める程度にしましょう。
自分自身の価値観や働き方にフィットする職場の条件を、自分に正直に考えることのほうがよっぽど大切なのです。