
コンサル転職の基本、ケース面接に苦手意識を抱いておられませんか?ケース面接は問題解決型にしてもフェルミ推定型にしても、面白さと構造のバランスが重要です。ケース面接で失敗しないために意識したい、3つのポイントをまとめました。つまらないことがMECEになっているケース、面白いことが突然感たっぷりで展開されるケース、そして全体感なく迷走する3パターンのケース面接失敗例を、意識しておきましょう。
コンサル面接の落とし穴~ケース面接対策失敗の3大パターンとは?
ケース面接はコンサル転職志望者の中で最も心配されることが多いテーマです。よくアメリカのMBA向けケースインタビュー対策本や、学生同士のケース面接勉強会などがありますが、その多くはコンサルファームで実際にコンサル採用インタビューをする身で読むと、的外れなものが多いのが実情です。
ケース面接はビジネスの課題を論理的に分解でき、ビジネススクールで習うようなフレームワークがどれだけ身についているのか、思考のスピードを試すのが本来の目的だったはずです。
しかしいまやそのような目的からすっかり離れ、「このケース面接のお題で何がわかるんだ?」という、不適切なケース面接もしばしば出題されます。これはコンサルタント側も急増したことで、あまりケース面接の背景や目的を考えずに、ケース面接を出すこと自体が目的化しているような事例があるのは残念なことです。
ケース面接の重要性ですが、実は全然できなくても受かる人は受かります。これは、コンサルタント側にもケース面接に対して訓練次第で何とでもなる、と思っている人も少なくないからです。ただし大半のコンサルタントはとにもかくにもケース面接を出してきますので、以下に重要なポイントを書いておこうと思います。
ケース面接対策失敗の典型パターンは、MECEのフレームワークでつまらないか、面白いが全くMECEでない時
まず第一に、つまらないMECEだけの回答が一番困ります。3つポイントを挙げて論理的に分析しているのですが、当たり前の常識を3つに分けて話しただけで、何の深まりもないケース面接の回答は聞いている方も辛いものです。
実際にコンサルのプロジェクトで解かなければならない課題を聞いてきていることも多いため、そこで論理的な構成にこだわって退屈な話を続けるより、ある程度の論理性を担保しつつも、目新しく面白い話を、それなりの論理的な理由をつけながら話さなければなりません。
くれぐれも、3Cや4Pといった陳腐なフレームワークを振りかざしたり、MECEだけにこだわった”退屈ケース面接”は避けましょう。
第二に、アイデアは面白いものの、まったく論理性がなく、MECE感ゼロというのも困ります。
実際には説明のロジックは後付けでも、コンサルタントの仕事はクライアントがそれをそのクライアント企業の経営陣や社員に説明できるよう、もっともらしい「フレームワーク感のある論理構造」を作り出すことも、重要な仕事の一つなのです。これが、”ケース面接は面白い発想とMECE論理構造のバランス”と申し上げる理由です。
ケース面接最大の失敗要因は、全体感の欠如
三つ目に困るのが、全体感の欠如です。コンサルケースは問題点の特定、解決策の検討、絞り込み、実行という流れですが、解決する問題を特定したり、再定義したりせず、”果たしてそれは説く意味があったのか疑わしい”課題を設定して突っ走ってしまうと、出だしからこけているので、過程も結果も崩壊することになります。
ケース面接をする上で、意識していただきたいのはこれはコンサルプロジェクトの縮小版ととらえることです。コンサルのプロジェクトはまず最初に問題を定義し、また問題の発生原因を構造的にモデル化し、その仮説を検証し、証明されればその原因の根本原因への打ち手を複数上げ、その中から一番効果がありそうなものを優先順位をつけて議論する、という流れです。
このプロセスであなたは回答を知っている必要はなく、ただプロジェクトを進めるプロセスを知っており、どのような質問をすればいいのか知っていればいいのです。これはコンサルでも投資でも共通する本質なのですが、仕事で大切なのは何を知らないのかを知ることと、聞かなければならない質問をしっかりと問うことなのです。
ケース面接も、自然なコミニュケーションの一環であることを忘れないようにしよう
ケース面接に関しては、本がよく市販されていますが、実際のコンサルをトップファームでしたわけでもない方が書かれていることが多く、あまりあてになりません。
またコンサル対策を提供するヘッドハンターたちも、ケース面接の勘所を知らないのに教えていることが多く、コンサル転職志望者の方がさらに混乱するだけ、というケースが散見されます。
ケース面接も所詮、大人同士の知的な会話だと思ってリラックスしましょう。わからないことは聞きながら双方向で話を進め、二人で議論して考えたから、視点が広がり議論が深まり、発想が豊かになり最後に出てきた答えが良かった、この”コンサルプロジェクトのミニチュア版”であることが、ケース面接回答の望ましい姿なのです。
(もっとも、ケース面接を出すコンサルタント側にも、相手の能力を引き出し、議論を活性化させるファシリテーションの技術が必要なのですが、たまにDQNなコンサルが面接官になることもあるので、何事も運の要素を完全に排除はできないと割り切りましょう。)