コンサルティング転職前に知るべき業務の実態~「利益相反」の実態とは?

  • LINEで送る
コンサルティング転職前に知るべき業務の実態~「利益相反」の実態とは? - アイキャッチ画像

コンサルファームと顧客の利益相反について質問を頂きました。コンサルティングファームに就職・転職をする前に、コンサル業務の重要な課題の一つを理解しておきましょう。

コンサルティング転職前に知るべき業務の実態~「利益相反」の実態とは?

◆Question (京都大学大学院 女性)

 顧客の利益とコンサルファームの利益が相反するような場合はどのように対処するのでしょうか。

◆Answer コンサルプロジェクトは、様々な利益相反の巧みなマネジメントが求められる

バランス感覚が試される問題です。あまり顧客の利益を搾取すると信頼が既存され長期的なビジネスが減りますが、あまり顧客の言いなりになんでも受けすぎてしまうと、それではビジネスが成り立たなくなります。

以下は一般論として申しますと、利益相反とはコンサルファームとしてはもっと顧客(ここでは便宜上A社とする。)からケースが欲しいのに、顧客としてはやりたくない時です。

どこのファームも一応表向きは「クライアントの利益を第一に考える」と掲げるものの、コンサルもお金を儲けなければならないビジネスです。

市況が悪いと、多少無理してでも仕事を取りに行くのは世の常です。

プロジェクトが多くて忙しいときは無駄なケースを売る余裕もありませんが、そうでなくプロジェクトが少ないときは、総じてケースを長引かせて、多少必要ない問題点もあげつらってその解決策プロジェクトをたっぷり売りつけたいというインセンティブが働くこともあります。

ただし、それが顧客の不快感を招くまでになると、仕事を打ち切られてお仕事がもらえなくなります。またリソースの投入を少なくすれば安上りになりますが、結果的に顧客を満足させられずに「プロジェクト当初と話しが違う!」となって、お金を払ってくれないと脅されるケースも実在します。顧客満足度を担保しながら、ケースを売り続けるのがシニアマネジャーの腕の見せ所です。

なお、利益相反の問題は、コンサルと顧客の間だけでなく、顧客企業のステークホルダー内部にも存在します。例えば、顧客といってもその企業の株主のためのプロジェクトなのか、トップマネジメントのためのプロジェクトなのか、その事業部門部長レベルでのプロジェクトなのかで、性質が変わってきます。

顧客満足度がクライアント企業の業績が上がる優れた調査/分析/コンサルに基づくものであればいいのですが、単に事業企画室の部長さんが知りたいマニアックな趣味の世界のコンサルに付き合うと、株主および社長はたまったものではないのです。

その典型例が、決算寸前のどう見ても単なる予算消化にしか見えない、世界ベンチマーク調査プロジェクトなどです。

なお、長期的に業界で生き残ろうとするのであれば、短期的利益を長期的利益と信頼のために犠牲にできるかどうかが問われることになるでしょう。実際にコンサルでも投資銀行でも、長らく成功している人の特徴の一つは、「お客がお願いしてきた仕事を、あなたのためにはこれはやらないほうがいい」と断ることなのですから。

コメントを残す

*

CAPTCHA