ワンランク上のマッキンゼー面接・模擬面接10応答

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マッキンゼーを代表する戦略コンサルティングファームへの志望動機、強み弱み、将来のビジョンを上手くまとめている例を紹介します。

1 なぜこの会社を志望していますか?

候補者回答

コンサルティング会社を志望する動機は,戦略策定に関心があると同時に,戦略を組織に浸透させ,実行に移す仕組みづくりに関心があり,これらの業務が戦略コンサルティング会社では重要な位置づけとなってきていると考えるからです。

以前,NPOに所属していた際,事業戦略の策定に主に取り組んでおり,特に関心を持ったのが,提示したい事業戦略に対して構成員に強い意欲を持って取り組んでもらうためにはどのような方法で導入すればよいかを考え,実行する過程でした。

また,戦略導入の過程では,顧客との信頼関係が重要であり,関係者とのコミュニケーションなど地道な活動が必要とされ,とりわけ真摯かつ高いレベルで業務に取り組み続けることが課されます。

このように自らに常に高い目標を課し続ける環境に身をおくことが,自らの成長を最も速めることにつながると考えています。

また,理系に所属していることもあり,大学での講義などを通して,大学における研究や企業での基礎研究が産業に結びつかないまま眠ってしまっているという問題点に強く関心を持つようになりました。

将来は,日本の製造業における研究開発や,公共機関による研究開発への支援をコンサルティングによってバックアップしたいと考えており,製造業や公共機関へのコンサルティングが充実しているマッキンゼー社を志望しました。

講師からの解説:この回答が他の候補者に比べワンランク上な理由

彼はそこらへんのコンサル志望の東大生に比べ、一歩踏み込んだ高級な志望動機を言っている。

戦略を策定したいんです、とか組織の問題点を解決できるノウハウを身につけ、将来独立したいんです、程度のことを99%の確率で言ってこられるのに対し、彼はコンサルプロジェクトの価値の分け目ともいえる、

「戦略を組織に浸透させ,実行に移す仕組みづくりに関心があり,これらの業務が戦略コンサルティング会社では重要な位置づけとなってきている」という点に踏み込んでいる。

また志望動機を原体験に紐づけており、NPOに所属していた経験、理系の研究室で実感した技術が眠ったままだという問題意識が自身の実体験に基づいていて説得力を有している。

さらにこれらの具体的な問題意識が自然に(ただしいささか表層的ではあるが)「なぜコンサルファームが数ある中で、なぜマッキンゼーなのか」に繋がっている。

2 その会社に活かせる、あなたの強みは何ですか?具体的にお答え下さい

候補者回答

私の強みは,「逃げないこと」「その場で最も適切な方法を取ろうと模索すること」です。

最も顕著な例は,少し古い話になりますが中学生のとき,足を怪我し,1年近く部活動を含め運動することを全て禁止されました。

当時はその事実に大きくショックを受け,最初は勉強や部活動を含め何事もやる気が起きない状況にも陥りましたが,このような状況下において最も貢献でき,なおかつ最も自身のためになるのは何かと考えた末,皆があまり引き受けたがらないスコアラーを担当することにしました。

スコアラーは試合経過を全て記録する役割であるため,結果としてゲーム全体を把握しやすくなり,このことは戦略の理解を深めることにもつながりました。

また,大学生になってからは,NPOでの活動において,会議で提案する活動方針の具体策が直前までまとまらず,危機的な状況になったことがありました。

しかし,お金を払い,時間を割いてまで参加してくれている人たちのことを考えると,ここで適当なまま提案するのだけは絶対避けなければならないと考え,現時点で出来る最大限の努力を怠らないように努め,最後まで真摯な態度で取り組みました。

解説:最後は内容不明だが、全体的に好印象~一見つまらない仕事でもチーム全体のために頑張るというメッセージに成功

困難に際して逃げない姿勢は、好印象である。コンサルに入ったらありがちな、つまらないプロジェクトや、自身が大して評価されない逆境になった時も、腐らず頑張ることで組織に良い影響を与えてくれそうな気がする。

また昔のスコアラーの事例だけなら「どれだけ昔の話やっ!!」という印象を与えかねないが、彼は直近のNPOの事例からも、自分に関与する人たちの高い満足度を大切にコミットメントしてくれそうな人だ、という印象を与えている。

3 あなたの弱みは何ですか?

候補者回答

何か物事に取り組む際の段取り設定の弱さが私の弱みだと考えます。

複数名で何かに取り組む場合はそうではないのですが,一人で期日までに何事かを成し遂げないといけない場合に,上手く段取りを設定できないまま,先延ばしに近い状態に陥ってしまうことがよくありました。

一方で,期日までに一通り完了させないと気がすまない性格でもあるため,最後は時間と体力との勝負になります。

期日までにはなんとか完成させるようにはするのですが,その結果,必ずしも最高のパフォーマンスを発揮したとは言い切れない状態であることも多いと思います。

解説:段取りが悪いと白状しているだけで、裏返しの強みに繋がっていない

弱みを聞かれたら、正直な自己認識を持ちつつも、裏返せば自分の強みではないかという内容をいくつか用意しておくのが定石だが、この点、あまりプラスにならない「弱み」を白状して終わっている。

ただこれまでの良い回答で好印象の中での回答なので、「もっと段取り良く働かなければ」と現状の問題点を探して、向上しようという気持ちを持っているのだと私は個人的に好意的に解釈した。

面接とは、一部の面接への回答がしょぼくても、全体的によければ好意的に解釈・カバーされるものである。

4 いままでの人生で、最も大きな達成事項は何ですか?

候補者回答

これまでは,あまり人前に立って引っ張っていくようなタイプではなく,むしろ人について行くといったタイプでした。

しかしNPOでは運営側として約2年間にわたり組織運営と事業戦略策定に取り組むことで,こういった性格を克服するとともに,事業成果の約20%増に結びつけることが出来たことです。

これまでは活動実態に関する情報が様々な場所に散逸していたため,収集手法を確立することで,活動実態の把握と,活動実行を担保させる仕組みをつくることを行いました。

解説:達成事項を、自身のコンサルとの適性に上手く結び付けて答えている

元はといえばフォロワーだったのにリーダーシップを発揮、現状把握、実行の組織づくり、成果20%アップなど、自分の大学での活動を、コンサル好みのキーワードやコンセプトに巧みに繋げて自己アピールすることに成功している。

5 いままでの人生で、最も難しかった決断は何ですか?

候補者回答

4年次に大学院入試に落ちたため,留年して再度大学院受験をするか,就職活動するかどうか,という決断でした。

理系であるため周囲では大学院に進学するのは当然という雰囲気があり,また私自身も強くそう考えていました。

一方で,NPOでの活動を通じて企業との接点を多く持ったことや,とりあえず働いてみたいという漠然とした想いもあり,4月に文系の友人が働き始めると焦燥感を感じることもありました。

しかし,従来から持っていた「広範な分野に精通しておきたい」「今しか見られないものを見ておきたい」という考えに立ち戻った結果,最終的には大学院へ進学し,研究の最先端である大学院に身をおくことを優先しました。

解説:自分の意思決定の基準を明確に伝えることができている

彼の言っている「広範な分野に精通しておきたい」「今しか見られないものを見ておきたい」は少し甘っちょろい印象を与えるかもしれないが、自分がどのような基準に立ち返って判断をするのかを明確に伝えるという意味で、その人となりがわかる説明であった。

決断を聞かれたときは、自分がどのような基準で決断し、それがどのような価値観になぜ紐づいているのか、哲学的な深さでもって回答できるようにしておこう。

6 10年後は何をしていますか?

候補者回答

将来は,公共政策,特に科学技術政策の作成にかかわりたいと考えています。
特に知的資産の評価や,企業・大学に眠る先端技術の産業への移転,産業の根幹である産業人材育成の仕組みづくりなどに取り組みたいと思っています。

公共政策を立案する場合は,利害関係者が多数存在する一方,実際にはその存在が見えにくいため,そのために合理的に理詰めで考える技術を身につけること,そして利害関係者間をスムーズに調整する力を身につけたい,と考えており,コンサルティングファームでこの能力を養うことが出来れば,と考えています。

解説:将来なりたい自分と、それに必要な要件と、コンサルで得られるものが合理的に連関している

Goodである。よく、志望動機や強みや弱みや、将来のビジョンの内容がバラバラで印象が定まらない候補者がいるが、彼は最後の10年後のビジョンで問題意識の強さ、そこまでのプランを適切にまとめ、メッセージを強化している。

このケースでもわかるように、本当に論理的で、問題意識が強い候補者は「本当に強いコミットメントで真面目に働き、周囲にもいい影響を与えてくれそう」という印象を与えるのである。

7 他にどのような会社/業界を志望していますか?

候補者回答

国家公務員を選択肢の一つとして考えています。

ミクロな視点から取り組むコンサルティングファームと視点の違いはありますが,日本経済の活性化へつながっていくという点では共通部分を持っていると考えており,マクロな視点から日本経済の底上げを担っていく公務員の業務にも強く関心を持っています。

解説:職業選択の判断基準を明確に論じている

Goodである。コンサル志望の人がなぜ官僚も考えてるの?と問われたときに、適切に両者に共通するポイントを挙げ、間接的にコンサルの志望動機を強めている。
(逆にびっくりなのは、平然と広告会社です!とか医療機器メーカーです!とか今までと全然違う話を言い放つ人が、結構多いということである。)

8 あなたを弊社が、雇わなければならない理由は何ですか?

候補者回答

NPOでの戦略立案,大学での研究を通じて,仮説立案・データ収集・データとヒアリングによる仮説検証・解決策立案および実行・解決策の検証といったサイクルを何度も繰り返してきました。

特に,データからその裏にある実際の活動実態の読み取りや,数値化されていない情報を得るための構成員からのヒアリングといった経験は,コンサルティング会社においても大きく貢献することができると考えます。

解説:コンサルの実務内容、ポイントを正確に理解したうえで、それを自分の活動内容や強みと結び付けている

冒頭での志望動機の一歩踏み込みに加え、ここでも彼はコンサルで役に立つ経験、スキルを適切に示している。そう、数値化されていない情報、というより数値化される前の生の声が先端であり、重要なことが多いのだ。

仮に彼のメッセージがこれだけだったら特筆する内容ではないが、一連のインタビューの流れでこれが最後に出てくると、彼への好印象をさらに強める効果を齎している。

9 最後に何か、質問はありますか?(会社にどのような質問をしていますか?)

候補者回答

ウェブを見る限り,製造業へのコンサルティングが多いように感じますが,今後はサービス業からのコンサルティングのニーズも増えていくのではないか,と考えます。

サービス業へのコンサルティングと製造業へのコンサルティングとでは,取り組む際のスタンスや必要とされる能力の違いはあるのでしょうか。

講評:「なぜこの質問が自分にとって大切なのか」という自問と説明が欲しかった

これまでの回答内容は全体的にはよかったが、最後の質問はボツである。

なぜこの質問をしたのか、なぜこの質問が、あなたがコンサルティングファーム、マッキンゼーを理解し、選択する上で重要なのかかなり疑わしい。

聞かれた方もこの「本当にこんなの聞きたいの?」というとってつけたような質問に答える戦意を喪失するであろう。

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