
ゴールドマン・サックス、JPモルガン、モルガン・スタンレーなど、外資系投資銀行を中心とした投資銀行業界転職・就職を志望している人の志望動機を紹介します。幅広く経済に貢献、ノウハウと人材の優位性、お金とオーソドックスに上げつつ、人間味豊かな趣味も織り交ぜ、好印象を残しています。
外資系投資銀行面接で「お金が欲しい」と志望動機を正直に白状していいのか!?
なぜこの会社を志望していますか?
候補者回答
まず、経済の発展や活性化に直接貢献できる業種として、経済のインフラたる金融を選びました。特定の業界にのみ偏ることなく、経済界全体を幅広く見渡すことができる点も、ビジネスパーソンとして広い知見を備えたいと考える自分にとって非常に魅力的です。
そして、先進的な金融技術・経験・ノウハウという点で外資系金融機関は日系の金融機関よりもまだまだ優位に立っており、その中でも御社は随一の実績と実力を備えていると考えます。
自分が一流のバンカーとしての知識と経験を積むには、そうした実力を持つ組織に入ってその技術を吸収していくのがもっとも得策と考え、御社を志望しました。
また、「若いうちにできるだけたくさんの金を稼ぎたい」という思いがあり、その目的を実現できるのが外資系投資銀行しかないという理由もあります。
自分は油絵が趣味なのですが、50歳過ぎぐらいで早々にリタイアしその後はアトリエのある家を買って絵を描いて過ごすという夢がありますので、それを実現するため40代までに稼げるだけ稼いでおきたいのです。夢を実現するためには、身を粉にして働く覚悟でいます。
講師からの解説
紙面の都合か、回答内容は薄いものの、志望動機で触れたい異なるレベル感をほぼ全て押さえている。何故金融→なぜ外資→なぜ御社→将来ビジョンとの整合性 というオーソドックスな構造である。
ただ彼はなぜゴールドマン、なぜ投資銀行部門という後の二段階でうまく志望動機を限定できていなかったが、おそらく実際の面接ではそつなく答えるであろう。
興味深いのは、”お金が動機であることを正直に言っていいのか”と、”将来ビジョンが全然違うことを言っていいのか”という、外銀就活Most FAQに出ることを、果敢に白状してしまっていることである。結論から言えば別にOK, 候補者が優秀で誠実で、フィットが高そうで、数年活躍してくれそうなら、お金動機だろうが将来油絵だろうが、雇われる人は全然雇われるのだ。
(若いうちにお金稼げるのは投資銀行だけ、というのはちょっと一昔前の話になりつつあるが、それでも人材難でベースだけで900万、ボーナス込みで新卒一年目で1000万円もらえる仕事は、そうはないだろう。あれほど労働時間が長くて、つまんない作業が多い仕事もそうはないが。。。)
金銭欲や将来のリタイヤメントライフについて、面接で語ってよいのか?
よく志望者の方が金銭欲を話して大丈夫かと聞いてくるが、これは面接官によりけりである。正直にお金の話を聞いてハングリー精神を感じる人もいれば、「な、なにを下品な!」と反応が分かれるので是非空気を読んでほしい。(ただあまりお金を前面に押し出すのは賛成しかねるが。)
なおプライベートの絵とアトリエの話は、十分に貴方がゴールドマンの投資銀行部門に仕事の面、メンタルの面で向いていると印象付けた後に、デザート的な位置づけで出した方がいいだろう。
与えるべき印象の種類の優先順位を考えた時に。まちがっても、面接の内容の大半を”油絵ストーリー”で埋め尽くさないこと。バランスが良ければ人間味を上手く演出するが、そればかりになると、”アトリエ行け!!”と突っ込まれるのが落ちなのである。
その会社に活かせる、あなたの強みは何ですか?具体的にお答え下さい
候補者回答
私は責任感が強く、チームの先頭に立ってリーダーシップを発揮することを得意とします。
たとえば大学時代には、音楽系のサークルで1年間代表を務めました。部員数70名と規模の大きなサークルであり運営業務も膨大かつ多岐にわたるので、10名ほどの執行部を作り、自分はその長として、仕事の割り振りや各メンバー間の業務の連携・調整に当たるというスタイルで臨みました。
サークル運営、コンサートの企画等について執行部で幾度となく議論を繰り返し、何が必要で何が必要でないのか、現状の問題点はどこにありどういった対策を講じればそこが改善されるのか、といったことを1つ1つ話し合い決定していきました。
講師からの解説
オーソドックスな回答事例である。
サークルのリーダーシップは皆言ってくるので、具体的な規模感で”すごい!”とはならないため、そこから学んだ教訓の深さで勝負することになる。
ビジネスでは人かお金をレバレッジしないと大きな仕事が出来ず、人を動員してマネッジする経験は重要である。ただここで書かれていることは極めて抽象的で既視感が強いので、”綺麗にまとまってるけど、ありきたり”の感がある。
具体的な教訓と経験へのリンクを知的に面白く語れるかが重要である。大切なのは、チームワークの具体例、他人をモチベートした具体例、もめたときに円滑穏便にまとめららるかどうか、何より”あなたがチームに入れば、チームワークのクオリティが上がるかどうか”をアピールするのが望ましい。
もちろん、チームワーカーでないのなら、嘘ついて無理やり入社を目指さず、人里離れた山奥で小説家になるとか、トレーダー目指すとか、ヒトとあまり関わりない仕事もたくさんあるので、それらを正直に検討することをお勧めしたい。
あなたの弱みは何ですか?
候補者回答
責任感が強くねばり強い反面、自分が正しいと思ったことを貫き通そうとして盲目的になることも時々あります。周りの反発を受けても、頑なに自分の主張を曲げないこともありました。
猪突猛進といえばぴったりくるでしょうか。サークルの代表時も何度か苦い失敗をし、冷静に他人の意見に耳を傾け、自分の行動を客観的に分析することの重要さを学びました。
外資セミナーからの解説
この手の弱みは、仕切りたがり、リーダーシップとりたがりの人の特性の典型的な反作用である。正直に白状してくれたことには拍手喝采を送りたいが、貴方をこれから深夜まで、非効率で一見無駄な仕事でこき使う上司の気持ちを考えてほしい。
あまり「こいつ、使いづらいかも、、」という印象を残すのは得策ではない。
正直、この業界では反抗してもめそうな人、クビにしたとき法的手段に訴えるとごねそうな人より、体育会系でYes Sir!と頑張ってくれる人の方が、少なくともアナリスト、アソシエイト時代は上司的に嬉しいのである。(少なくともそういうケースが多い。)
くれぐれも、”なんか我が強くて、協調性なさそう”というイメージを与えないよう、気を付けよう。
いままでの人生で、最も大きな達成事項は何ですか?
候補者回答
前述のサークル代表を務めた際に、自身の任期における独自の目標としてサークル運営業務の抜本的な見直しとスリム化を掲げたのですが、その目的を見事達成することができたことです。
サークルの運営業務は創部以来建て増し的に積み上げられ肥大化し、さらに年々増加の一途をたどっていたため、このまま放置すればいずれ破綻することが明らかでした。
そこで執行部メンバーと協議を重ね、不要な業務の削除や作業の効率化を徹底するためのプランを練り上げました。
目標の達成には苦労しましたが、現状の問題点を探りこれを解決していくという作業が好きであり、また得意でもあったので、非常に面白さを実感できる仕事でした。
講師からの解説
これまたオーソドックスな回答内容である。
サークルの運営で、非効率業務を改善しました。問題解決するのが好きで得意で、面白いです。一見コンサルにフィットの高そうなことを書いているが、この説明のレベル感では中身空っぽ感が否めない。
サークル運営業務が肥大化し、そのまま放置すればいずれ破綻、、、という表現に、財政赤字や官僚組織の肥大化じゃあるまいし、サークルの運営業務の肥大化っていったい何なの、、、と少しほくそ笑んでしまう内容だが、この回答者から学ぶべきは、
”どのようなストーリーの骨子が好まれるか”をよく勉強してきているな、という点であろう。
(いかんせん、抽象的な骨組みはもっともらしくても、肉付けがつまんないので本当なのかどうかと、その人の人物像が浮かび上がってこないのが残念な限りである。)
この手の問題で大切なのは、”自分の価値観”が分かっていることと、それを正直に開示できることだろう。最も大きな達成というからには、自分にとって達成とは何か、何を達成することが自分にとって価値があるのか、という、”価値観が浮かび上がる回答”でなければ、白々しい面接対策用に回答に終始するのである。(サークル立て直したことが人生最大の達成て、そらないだろうと。)
いままでの人生で、最も難しかった決断は何ですか?
候補者回答
私は大学在学中に司法試験を志して勉強していたのですが、それを途中で断念し進路を変えるときの決断がもっとも困難でした。
これからの日本においては法曹の役割と活躍の場が増えると思い勉強をはじめたものの、勉強を進めていくうちに、徐々に自分の進路に疑問を抱くようになりました。
生涯の仕事とするほどには法律に興味をもてない自分に気づき、進路を変えるべきではないかと思うようになったのですが、志半ばで断念するのは目の前の壁から逃げているようで嫌だったので、非常に思い悩みました。
しかし、真に自分のやりたいことを突き詰めた結果、その目標に到達するためには「やめる勇気」も大切なことだと考え、決断に至りました。
講師からの解説
いや、私この回答好きです。
正直に自分が好きな事、やりたいこと、勝てることを考え、向き合っている姿に好感を覚える。当たり障りのないことではなく、自分に向き合い、正直に自己開示しているという姿勢に私は大きな好感を覚えた。
10年後は何をしていますか?
候補者回答
一流のバンカーとして金融のプロフェッショナルの道を極めるべく、日々努力を続けているはずです。今後10年のスパンで他の業界に移ることなどは考えておりません。10年ほどで全てを見切れるほど、底の浅い職業ではないからです。
講師からの解説
ま、大したことは言ってないが、早くやめる人が多いこの業界で、「10年後もぜったいこの会社で、、、”とか言うのは、面接官もまず信じないだろう。しかし、どうせ10年後のことなんて、この面接官ですらわからず、正直これを書いてる私だって知らないのだから、聞く方も答える方もむなしくなってしまって仕方のない質問ではあるが、面接で様式美のように絶対聞かれる質問でもある。
大切なのは、長期的な将来は具体的に何をやっているか分からなくても、それら具体的にやっているだろうことの抽象的要素を論じて、”自分が仕事に求めること”という仕事観、人生観を述べることである。(ところで、アトリエの話はどうなったんだっけ?もっと後?)
他にどのような会社/業界を志望していますか?
候補者回答
志望するのは金融関係の企業がほとんどですが、御社と同じ外資系証券として、クレディ・スイスを志望しております。
御社と比べれば規模も実績も非常に小さな会社ですが、これから伸びていく会社に入りその成長のため奮闘することも、すでに確固たる地位を築いた会社に入って大きな仕事に携わることとは違った面白さを感じるので、志望しております。
外資セミナーからの解説
クレディスイスは日本ではゴールドマンに比べるのが失礼なくらい、(特に投資銀行部門は)、仕事がない。ゴールドマンの人は内心失笑するかもしれない。
なお「これから伸びていく会社に入り、、、」とかい言うと、まるでゴールドマンの伸びが鈍化するようなメッセージを暗示してしまうし、「何が何でもゴールドマン」という最終的メッセージを弱める結果になっている。いや、こんなこと正直に書いてたら、CSから絶対採用広告の仕事来ないだろうねこのサイト。。。
あなたを弊社が、雇わなければならない理由は何ですか?
候補者回答
すでに述べたとおり、私はチームを組み、特にその先頭に立って仕事をすることが大好きです。上述のサークルについてもそうですし、高校時代にも国際交流のサークルをゼロから立ち上げて完成させたり、学園祭での学年をあげた企画において会計長を務めたりもしました。
このチームプレイの精神は、チームワークということを特に重視される御社において必ずや威力を発揮し、御社に多大な貢献をできると確信しています。
また、仕事をする際には常に「自分が何をなすべきか考え、自らの役割を創出する」ことを重視し、役割を与えられるのを待つことはしません。今後ますます日本においての業務の拡大を狙う御社においても、その能力を発揮して創造的に仕事をしていくことができると考えております。
講師からの解説
正直、なにを聞いてもよくまとまった答えと、面接側が好きそうなストーリー、ポイントにパッケージされて帰ってきている気がするが、本当にこう思ってるのであれば大したものである。
最後に何か、質問はありますか?(会社にどのような質問をしていますか?)
候補者回答
御社は非常に組織体系がしっかりしているということが有名であり、またそれが御社の強みとなっているとも思うのですが、逆にそのことが柔軟性を奪い、個々の社員にとって窮屈な枷になりうる危険もあると思うのです。そのことについてどうお考えですか。
講師からの解説
下手な質問である。なぜこの質問が他に聞くべき数ある質問に比べ、大切なのかその理由がわからず、「インタビューの勘所をわきまえてないな」「効率的に重要な情報を引き出せない人だな」という印象を抱いてしまう。(また、これが本当にどうしても聞きたい質問なのだとは思えず、時間つぶしに「な、何かきかなけりゃ、、、」と思って聞かれたのかな、と思ってしまう。)
投資銀行/戦略コンサルに提出しているエントリーシートに提出した書類から、一つエッセイを選び添付してください。
講師からの講評
あなたの将来の「夢」または「目標」は何ですか?また、その理由を具体的に記入してください。(全角400文字以内)(日興シティグループ証券)
さて、彼の東大法学部を隠して、地方の私大の国際関係学部という経歴をイメージしてみよう。彼の発言内容の印象が随分変わってくるはずだ。
これを言った上で彼の面接内容を分析すると、「いかにも東大法学部」に世間一般がイメージする「まじめで社会を背負う気概心とともに、本当に猪突猛進しそう」というイメージを抱いたのではないか。
おそらく改善できるのは、「わざわざ司法試験やめた、というともすれば逃げたと取られかねないトピックを挙げるのは得策ではない」「その後の方針転換が、前向きで合理的なものであるというイメージを押し出せていない」であろう。
ま、彼がその「やりたいことを突き詰めた結果」に面接を誘導し、そこでとっておきの話ができるのなら別であるが。
加えて、
「ご丁寧に日本では圧倒的にLow tierのクレディスイスと比べるのは浮世離れ」なことや、「柔軟性が欠けるのではないか」などの質問も貴方の助けにはならない。
この曖昧で優先順位の低い質問に、私ならがっかりするであろう。
考えてみてほしい。
貴方が面接官で、相手から質問される時、あなたが気持よくしかも知的に頭を使って話せるトピックがあるはずなのである。(外資セミナーテキストの「最後にする質問」等を詳しくは参照してほしい。)
金融のプロフェッショナルとしての知識と経験を備え、この国の経済の活性化と発展に貢献することが目標です。日本の企業、ひいては日本経済そのものが、真にグローバルな競争力をつけるための手助けをしたいと考えています。
グローバル化の時代に日本という狭い国にとらわれることを不思議に思われるかもしれませんが、むしろそのような時代だからこそ、世界経済における日本の発展という点にこだわっているのです。
自分はナショナリストというわけではありませんが、自らが生まれ育った国である日本を愛してやまない人間です。アジア諸国の台頭やEUの形成などで「不動の2位」の地位が揺らぎつつある今、日本は正念場の時期を迎えているといってよいでしょう。その重要な時期に、是非とも自らの手で日本の発展に寄与したいのです。そして、その夢が絵空事で終わらぬように相応の実力を備える、これが現時点での目標です。
講師からの解説
ま、日本社会の役に立ちたいんだな、という思いは強く伝わってきた。
ただこの手の書き方は、保守の人には大ヒットするだろうが、そうでないグローバル志向の人にはちょっと違和感を与えるリスクがあるだろう。