
ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーといった外資系金融機関、外資系投資銀行を志望する方々の、典型的な面接回答ポイントを解説します。
氏名( MY )
大学 (大学院)
学部 (東京大学 経済学部)
志望業界 ( 投資銀行 )
志望会社 及び部門(モルガンスタンレー、GS 投資銀行部門)
投資銀行志望の方:あなたの志望動機は何ですか?(業界及び第一志望の会社に対して)
候補者回答
投資銀行業務に興味がある理由は二つあります。一つは大学のゼミで国際経済を学ぶうちに、世界で起こる様々な経済的事象の根底にあるものは金融だと思い、そのダイナミックな力に魅力を感じたからです。
教科書や論文から学べることを超え、実務的に金融サービスの流れはどうコントロールされているのかに強く興味を持っております。
二つめの理由として、金融サービスに関わる仕事環境への興味があります。社会的なインパクトのある金融業界での仕事では、責任が重く多くのことを要求されていると思います。
私は常日頃から自分の能力の限界の課題に取り組み、それだけの刺激を受けて自分自身を成長させる達成感を味わうことが好きです。求められるものが大きいという点で金融の仕事の環境は私にとって魅力的です。
この2点の理由から金融業界の最先端である貴社から様々なことを勉強し、その上で自分自身を貴社に役立てたいと強く思うために志望いたします。
解説:ありきたりの志望動機+ちょっと嘘くさい
一つ目はオーソドックスなのだが、2つ目の理由は「責任が重い環境だから金融を」という、ちょっと弱弱しいものになっている。3つ目の「御社に貢献したい」も、御社がどれほど自分の価値観に共鳴していることをやっているのか、という前段がないと、思い込みで告白、プロポーズするストーカーチックな怖さを感じる。
あなたの強みは何ですか?(志望業界の業務に直結する強みを、具体的にお書き下さい)
候補者回答
私の強みは、厳しい環境に身を置き周囲から刺激を受け、自分の限界の力を出すことでの自身の成長を追求出来る事です。それを達成するための行動力と、身を置いた環境で自分が貢献できることへの努力を惜しまない事は自負できます。
まず、大学時代の2年間で続けてきたNGOでのインターンが経験として大きいです。周りが年上で能力の高い方であった中でのプレッシャーや辛い仕事にも負けず、楽しく仕事を続ける事が出来たのは、日々刺激を受ける事で自分が成長していく事が何よりも嬉しく、それがモチベーションとなったからです。
お金を貰うことがモチベーションになるのではなく、自分の成長の他にも、人との繋がりを生み出す事や誰かが満足を得る事など、仕事をする上で社会的な価値を創造出来るかどうかが私にとって重要です。
他にも、中央省庁でインターンをし政策提言に関わる事や、所属しているゼミにて研究分野の実証調査合宿の企画運営などをしてまいりました。
その全てに共通して言える事は、どれも自分の既存の能力以上の力を出さなくては出来ないもので、成し遂げた時の達成感はこれから私が何度でも味わいたいと思うような素晴らしいものだったという事です。
解説:「能力以上のものを出したい」しか言っていない
投資銀行への志望動機やアピール内容は、抽象レベルでいうとどうしても①求められるものと責任の大きな仕事でもプレッシャーに負けない ②金融で幅広い産業を見たい ③限界以上にストレッチして成長したい といった話になってしまいがちで、彼も見事にその通りになっている。
ただ、見過ごしがちだが、彼は非常に本質的な自分自身のバリューを伝えている。それは「人との繋がりを生み出すことで、誰かが満足し、仕事を通じて社会的な価値を創造する」である。
実はゴールドマンやモルガンスタンレーの投資銀行の仕事が社会的な価値を創造しているかどうか、むしろ破壊している価値も多いのでは(社会的価値の定義による)のだが、「社会的価値」を考えながらビジネスに打ち込みたいという姿勢は、人格的に誠実かつ、成熟した人物であることがうかがい知れる。
ただし全体的に言えば、残念ながら極めて平凡な内容、グレードの志望動機、面接応答内容だといえるだろう。