ヤバキャリア「銀行員」のコンサル・外資金融・プライベートエクイ転職の実態とは?

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銀行業界が直面する不況は、従来のようなイールドカーブのサイクルでもなく、また不良債権でバランスシートが痛んでいるわけでもありません。政府の強烈な支援とキャッシュじゃぶじゃぶ状態が続いたにも関わらず、ビジネスモデルの多くが立ちいかなくなった構造不況に迅速に対応できませんでした。しかも、より必要な若手採用を減らし、結果的に「しがみつく働かない高齢バンカー」比率が高まっています。仮にあなたが銀行にあと20年しがみつけない年齢だとしたら、動くのは、これ以上大量の銀行退職者が市場に溢れ返る前の、イマです

銀行からの転職先として人気のコンサル・外資金融・PE業界の転職実態

2018年、銀行の人員削減、採用減が頻繁に取り上げられるようになりました。それから好況にもかかわらず採用は抑えられ、かつ2020年のコロナショック以降は人材の銀行離れに拍車がかかっています。

第一に、市場環境の悪化が挙げられます。低金利継続(アメリカは2%に10年ぶりに戻したが、日本はいまだ出口の見えない金融緩和が継続)やAIやブロックチェーンの浸透で今後ますます仕事がなくなるなか、50代中盤以降ですでに”逃げ切り態勢”に入っていない限り、銀行員としてのキャリアに不安を抱くのは当然の心配でしょう。

第二に、市況だけでない、根本的なビジネスモデルへのチャレンジがあります。2000年初頭に不良債権処理で銀行がつぶれたとき、日本に進出したての外資系投資銀行やコンサルティングファームが大きな受け皿となりました。実際長銀出身の人がこれら外資系にいち早く転じたため、長銀閥がいたるところでつくられたものです。

ただ今回の”銀行員流出”はビジネスモデルとスキルの陳腐化に起因するので、まだ他のことを身に付けられる若いバンカーほど、早めに転職を考えるのは当然の問題意識でしょう。

ローン貸し出しはAIが安価で迅速に大量にこなせるようになり、高い送金手数料も様々なフィンテック企業に奪われています。そして煩雑なプロセスは、通信企業のモバイル生体認証にとって代わられているのです。

銀行からコンサル転職:30代前半MBA留学後が多い

コンサル転職に関しては、昔はメインバンクが担っていた経営コンサル業務が、銀行が果たせなくなった分(お金を借りてもらっている身なので、もはや偉そうに経営に口出しなどできない)、その分コンサルに仕事が流れているのか、どのコンサルファームも好況と人手不足が続いています。

実際、コンサルファームの中ではヘッドハンターに払う人材仲介料が、年収の40%にまで高騰しているケースが見受けられました(コロナショック後、一気にフリーズされましたが)。なお銀行出身者のコンサル転職で多いのは、やはりMBA留学を得てコンサル転職するケースが非常に多いです。

ちなみにラッキーな事例では、政府系銀行からスポンサーを受けて(つまり留学資金と生活費を出してもらって)お金の心配が全くない悠々自適のMBA留学し、卒業したら次の雇い主にMBA留学費用を前の銀行に出してもらって(既定の年数以上勤続しなければ、留学費用を返還しなければならない)、転職を果たす人もたくさんいます。

銀行から外資金融・投資銀行転職

外資金融に関しては、かつて長銀が潰れた際は、新たに日本に進出し業容を拡大させていた、UBSウォーバーグ(当時)などが多くのバンカーを採用していました。

しかし、銀行はコンサバな安定志向の人が多いため、外資金融転職後にすぐ解雇されることを心配して、転職を逡巡する人が多いのも確かです。

ちなみに30を超えるとすでに同い年の人がヴァイスプレジデントやディレクターとして、案件ソーシングの役割を期待される年齢になっています。

よって、銀行から投資銀行にこの年で転職するなら、まさかアソシエイトでがりがりパワーポイントやエクセルつくって比較競争優位があるわけがないので、銀行時代のネットワークでディールをたくさんもってこれる、とかでなければ、中堅以降の年齢で投資銀行転職は活躍できる可能性が低いでしょう。

銀行からプライベートエクイティへの転職

銀行からプライベートエクイティへの転職ですが、以外にもジュニア層ではほぼ皆無でも、シニア層では結構たくさんいらっしゃいます。

これは大手都市銀行で、それこそ取締役クラスまで昇進し大活躍した人が、プライベートエクイティファンドに引き抜かれて引き続き大活躍、というケースがあります。思えば外資系大手PEファンドが進出した際も、KKRにせよカーライルにせよ、パートナーは銀行出身者でした

銀行も取締役クラスまで行くと、日本中のコーポレートにアクセスがあり人脈も豊富なので、案件情報にしても、投資先のファイナンスに関する銀行との交渉にしても、ファンドレイズにおける銀行とのやりとりにおいても、その経験と人脈がモノを言います。

ただ、30前半などのジュニアで入るのならば、銀行員からジュニアで転職できているケースがほぼありません。

これは、案件発掘時のバリュエーションモデルや案件に入った後のバリューアップやコンサルティングに関し、投資銀行やコンサル出身者に勝てないためでしょう。かつ数十年前は最も優秀なビジネス人材が興銀などに行っていましたが、今の若手で銀行を選んだ人のマーケットセンスは、残念ながら「ああ、見抜けなかったのね、、、」という判断をされてしまうのです。

銀行からの転職は、今が勝負?

端的に申し上げて、これほどお金が沢山あるのに、キャリア上のリスクリターンバランスが急激に悪化している業界も他にありません。

従来の、手厚い年金や相対的な高給といった銀行勤務のメリットは消えていき、金融業界内部でも金利引き下げ競争で疲弊しているところに、業界外から様々な分野で浸食される銀行。しかし変わろうにも保守的で高齢でミスを許さない銀行体質が、その変革を阻んでいます。

実際に現在、メガバンクをはじめ多くの銀行から転職志望者が続出しています。もしもあなたがあと20年銀行にしがみつける年齢と状況でなく、特に年齢が30後半でまだ最後の未経験転職が可能な位置にいらっしゃるのならば、銀行勤務で染みついた「保守的・重い腰カルチャー」から脱却し、身の振りを再考されることをお勧めします。

でもどうしても行動に移せない、そんなときは、銀行員特有のロジックで考えてみてはいかがでしょう?つまり銀行が大好きな必殺横並び体質、「ほかの銀行マンも実は大量に転職活動していますよ」という実態を、見過ごさないようにしましょう。

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