
35歳、総合商社からマッキンゼーへの転職に関するキャリア相談を頂きました。35歳でのコンサル転職は、当然新卒からコンサルをしてきた同僚兼ライバルがパートナーになっていてもおかしくない年齢だけに、この点に限れば不利です。しかし自分自身のキャリア成功の基準がやりたいことをやる、ないしコンサルでの経験を活かして違うことをする、などであれば、その限りではありません。しかしより注意したいのは、転職の契機が自発的に深く考えた結果ではなく、偶然に声をかけられてそのままよく考えずに転職しようとしてしまう点です。
三菱商事35歳、今更コンサル転職でマッキンゼーを目指すのが心配な3大理由とは?
転職を含めたキャリア形成全般について、お伺いしたいです。
①35歳という年齢での、総合商社(三菱商事)から戦略コンサルへの転職についてのご意見
②戦略コンサル転職後のアップサイドやダウンサイドサポートの考え方や実例 (ファーム内、ファーム後の転職含めて、一般的にどのような選択肢があるか。)
③全体的な長期キャリア形成を考える際に、どのような軸や方針で考えたらよいか。 現状を簡単に下記いたします。
35歳、新卒総合商社勤務。現在、新興国駐在中で5年目になります(駐在2か国目) ・転職(戦コン、外資経営層)と社内出世を含めて、幅広く検討中です。
先日、某転職サイト経由マッキンゼー採用担当の方から受験してみないか、との連絡を受けた際に年齢について同氏に伺ったところ、更に年上の方も入社されているので、懸念なしとのことでしたが、真に受けて良いものでしょうか。
挑戦する場合、タイミングは帰任辞令(恐らく、半年以内)を想定しています。 以上、何卒アドバイスの程、宜しくお願い致します。
講師からの回答:35歳でのコンサル転職は、「誘われたから」ではなく、自発的によく考えよう
ポイントが明確なご質問ありがとうございます。
結論から言えば、コンサル業界でパートナー目指して戦うにはかなり不利な年齢ですが、それでも結局は、あなたが長期ビジョンとして、どんなバリューをキャリアで出していきたいかによりけりではないでしょうか。
いま東南アジアにいて、将来東南アジアの人脈を活かして日本企業の海外進出を繋ぎたいのか。それとも戦略を考えてそれをクライアントに届ける仕事がしたいのか。
どんな仕事が好きで得意で価値があると思うのか、自問しましょう。
こればかりは個人の体験やこれまでの人生の中に答えがあるので、答えは自問の中にしかありません。
年齢や経験よりも、ポテンシャルが重視されるように
年齢が心配ということに関しては、ご心配なく。真に受けてマッキンゼー中途採用受験されても、何も失うものないでしょう。
受かっても入るかどうかはあなたの決断であり、受けることによって面接の過程でぜひ、ご自身が個別に必要な情報をマッキンゼーから引き出して決断されてください。
35歳でコンサルスタートというのは、もちろんコンサルタントする上では慣れるまで、初期の生産性という意味ではハンディがあります。
しかし他の角度(業界経験、人脈、日本企業の組織的動き方やお作法の熟知)から価値を出せます。
私の周りにも伊藤忠などの総合商社から外資戦略コンサルに転職してきた方がいましたが、30代前半でしたが彼もしばらくは苦労していたものですが、クライアントへの共感力と飲みニュケーション、そして謙虚な姿勢でお客さんに好かれていました。
そもそもコンサルは特に何か業界の知識のストックで戦うわけではなく、学習速度の速さと、効率的なチームワーク能力、人を巻き込むリーダーシップでの勝負です。また思考特性として、基本的に本質的なモデル思考が出来て、柔軟に新しい考え方や知識を学ぶのが好きで速い方であれば、十分活躍できます。
最近の面白い調査結果で、仕事は過去それをやったことがあるかどうかより、過去のキャリアに関係なくポテンシャルのフィットで採用した方がパフォーマンスが高い、という研究結果があります。
もしあなたのポテンシャルがコンサルで活躍するタイプのそれとフィットが高ければ、35歳で初コンサルという過度な心配をする必要はありません。
35歳からの戦略コンサル転職:アップサイド&ダウンサイド
戦略コンサル転職後のアップサイドとダウンサイドですが、これはあなたの価値観と優先順位と、将来何をしたいかによりけりです。
アップサイドはあなたの価値観にもよりけりですが、マッキンゼーであれば総合商社よりもPEファンドなどへの道が近づきます。また様々な企業のマネジメントポジションへも道が広がるでしょう。
ただ起業するのであれば、仕事的にはあまりプラスにはなりません(人脈は大いに使えますが)。これらは全て、個人の長期キャリアプランに依存しているので、一概には言えません。
ダウンサイドは、総合商社よりも忙しく労働時間が長いのと、35歳前後だと、総合商社のしかも海外駐在中だと給料が高くなっていて、コンサルに移っても仕事時間は長くなるが、給料は横ばいか大して変わらない、という状況が考えられます。
また総合商社は2000万を貰いながらクビにならないので、「社内調整のプロフェッショナルとして、マーケットバリューになるような専門性は身につかないが、「Withコロナ」のこの御時世、4人くらい産まれた子供を安定的に養う」などの状況であれば、この安定性を失うリスクは御自身の状況に応じて真剣に検討する必要があるでしょう。
総合商社でもコンサルでも転職後に失敗した人の転落人生
なおよろしくない事例では、総合商社でも大して活躍していなかったところ、コンサル転職してそこでも大して活躍せず、経歴だけ立派なので事業会社の経営幹部に入ったもののあまり使えず、そのうちどんどんキャリア転落していった人もいます。
仮に「自分はあまりサラリーマン向いてないかも、あまり労働意欲ないし。。」という場合は、さらに労働意欲が要求されるコンサルなどの業界には、名前がカッコいいからと言っても間違っても転職してはいけません。
総合商社が嫌なのでなく、そもそも働くのが嫌な人は、間違ってもセクシーな響きに乗せられてやすやすと転職してはいけないのです。
隣の芝は青いものです。今回の御相談は、そもそも自発的にコンサル転職を目指したものではなく、たまたま声を変えられて考えているという「深く考えずに転職してしまいがちな展開」だけに、慎重論を書かせていただきました。
またいつでもご相談お寄せください。キャリアでのご多幸をお祈り申しております。