
投資銀行やアセットマネジメント会社の面接で「そんなこと聞かれても困りますわ、、、」となるのが、「あなたならどの株を買いますか?」というストックピッチの質問。株が好きですとか言っときながら、実は少額トレーディングすらしたことがないので、何と答えていいか途方にくれますよね?以下の質問は外資金融バリュエーション研修のユーザーの方で、外資系投資銀行マーケッツ部門に内定を受けられた方からのご質問ですが、金融機関就職活動中の方にも大いにご参考頂けるので、以下にQ&Aを御紹介致します。
外資金融面接で、どの株を勧めるか聞かれたら、コレを考えよう!
ストックピッチについてお伺いしたいです。 外資金融バリュエーション研修を購入させていただいた〇〇と申し
つきましては、
Strong Career 講師陣からの回答
内定、おめでとうございます。長かったブルマーケットも終わり、かつ株式営業を取り巻く規制が厳しくなり、ボーナスも下がっていく一方だと思いますが、株を好きな人にとってはこれほど楽しい仕事もないことでしょう。(逆に、株が好きで好きで仕方がない、というモティベーションが無ければ、長くやり続けると他に転職できなくなるので要注意なのが、このマーケッツ部門の難しいところです。)
さて、バイサイドに響くストックピッチについてあなたが書かれたことは、ズバリこの”外資金融バリュエーション研修”に記載されることに基づいているため、その通りと言うのが率直な回答です。
それに付け加えるとしたら、以下の通りとなります。
①投資家層別配慮~長年持ち続けるロングオンリーの年金基金を運用している大手運用会社には、1割程度の小さな変動を数か月単位でアドバイスしても、無意味です。サイズが大きいため、彼らが買っている間に値段も30%上がったり、逆に売っているときは同じことが逆方向に起こるからです。しかし顧客が数百億規模のヘッジファンドで、持ち分がせいぜい数%というときは、短期的なモメンタムを司るニュースフローもありがたがられるでしょう。この、”顧客層ごとに意義ある情報のレベル感”を、投資銀行の株式営業部の経験が浅い方々はわかっていないことが多いので、この”資金源ごとの性格の違い”を踏まえることで、同期や先輩に一味、二味と違った付加価値を出すことが出来るでしょう。
②自社アナリストと違う意見(但し取り扱い要注意)~これを大っぴらに若手がやると、”おたくのハウスビュー(投資銀行としての味方)はどうなってるんだ?”と怒られかねないのですが、経験豊富な投資家は、営業がアナリストの話を売り込むとき、”あー、今朝の朝会で営業部長にこれを売り込めと言われたんだな、内心こんなアナリストのつまんない話、ブル̪̪シットだと分かっているのに・・・・”と見破られるものです。
重要なのはお客の機関投資家との長期的信頼関係であり、小さな声でこっそり”実は私はそうは思っていません”などと正直に言われると、バイサイドとしては嬉しいことがあります。ただ基本的に今は全て電話も録音されているので、オフラインの時に言うのが安全なのですが、これに限らず本質的に重要なポイントは、”無理やり株をトレードさせようとしているのではなく、お客様の利益を最優先している”という姿勢を、会社以上に自分が出せば、業界での名声が高まるでしょう。
③ポイントシーズン前以外もきちんと接待を~これは接待を嫌いな投資家向けには止めといたほうがいいですが、接待好きの投資家に対して、ポイントシーズン(四半期ごとの、投資家からの人気投票)の直前だけ接待に誘われても、アカラサマ過ぎてせいぜい最低ポイントに気持ち上乗せ程度で終わるものです。
かといってきちんと意味あるサポート無しに接待ばかりされても大抵の投資家はウンザリするので(日系の銀行系のオジサンとか、会社のお金でクラブ連れてってもらうのを心底楽しんでいる困った人も確かにいるのですが。。)、要するに重要なのは、”あまりに打算的な付き合い方をしても、すぐお見通しなので常に誠実に振舞いましょう”ということでしょうか。
なお、最強に迷惑なのが、たまに勘違いしている時代遅れの株式営業部長が指令する、”毎日電話せよ”です。特に大手の機関投資家は毎日何十通とボイスメールと電話を受けるので、無駄な電話は本当に止めて欲しいのです。とくに電話だけして、特に話す内容はなく世間話だけされると、何を考えているのだと心底腹立たしいものです。
企業の業績と同様、電話やメールもROIを考えて、その大口機関投資家が使う時間当たり、他のアナリストやセールスに費やしたら得られたであろうメリットを上回るメリットを提供できないと、幾多もの迷惑な営業の一人に成り下がってしまうので、重々注意しましょう。
投資銀行の株式営業部でのご多幸を、お祈り申しております。