ポストコンサルキャリア事業会社への転職~外資系メーカー転職の是非10ポイント

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著者紹介:山岸慎司。国内大手企業の後、外資系戦略コンサルティングファームで勤務。その後、複数の外資系企業で、事業部長、執行役員、社長を歴任。現在は経営コンサルタント、国家資格キャリアコンサルタント、ワークライフバランス認定コンサルタントとして活動する。東京大学農学系修士、ロンドン大学インペリアル校経営管理学修士(MBA)。

外資系メーカーの楽しさ:ワークライフバランスが圧倒的に良い!

    私は外資系コンサルファームの後、複数の外資系メーカーにマネジメントメンバーとして勤務しました。

 このサイト読者には、現在のプロフェッショナルファームの次の仕事は、外資系メーカーを考えている人も多いと思います。

 ここでは、多くの外資系メーカー日本法人に共通する「楽しさと厳しさ」をまとめてみます。

 
世界最高レベル、最新技術の製品サービスを取り扱える

グローバルに事業展開する外資系メーカーは、差別化できる製品サービスを販売していることが多い。

例えば、最先端の医薬や医療機器、スマートフォンに代表されるような最先端ITツール、オシャレな高級ブランド服や時計などを、日本市場に普及させることは仕事のやりがいがあり、とても楽しい。 

 
実力主義なので、自分次第で高いポジションに就ける

年功序列ではない実力主義なので、若くても実力があれば、責任の大きなポジションを任される。その結果、自分自身も大きく成長できる可能性がある。


特に外資系コンサル、外資金融のような厳しい世界で、若くしてプロ意識と専門能力を磨いた人には、チャンスが大きい。また、性別による差別も無いので、特に優秀な女性にとっては、日本企業より明らかに昇進機会が多い。
 

 
ワークライフバランスが良い

特に強調したいのは、ワークライフバランスの良さである。まず年間労働時間は、プロフェッショナルファームより、ずっと短い。成果主義が当然なので、ダラダラ働くことに意味が無く、残業は少ない。欧米人のトップやマネージャーは当然のように休暇をとるので、日本人社員も休暇を取りやすい。私は年間20日以上の有給休暇は毎年使い切っていた。 

 
世界各地の多様な国籍・文化の人たちが同僚になる

外資系メーカーの場合、サプライチェーンが世界中でつながっているので、あちこちの同僚と仕事のつながりができる。


例えば、開発がドイツと米国、部品工場がメキシコとハンガリー、組立ては中国、最終パッケージはシンガポールのような製品のマーケティングを担当すると、多様な人たちと仕事をすることになる。時差は面倒だが、面白い発見も多い。
 

 
給料が高いことが多い

同じ業界の日本企業に比べ、外資系は20-30%くらい給料が高いことが多い。特に管理職ポジションになると、その差は広がる。マネージャーだと50%、役員クラスだとそれ以上のイメージである。 

要するに、外資系コンサルで何年か働いた後、ワークライフバランス重視で転職するなら、外資系メーカーはとてもお勧めです。次に、厳しい面を見てみましょう。

 

外資系メーカーの厳しさ:ポジションが高いほど、ハイリスク!

 
結果重視なので、プロセスは評価されない

年初に決めた目標を達成するかどうかが最重要なので、それに至るプロセスは、あまり評価されない。そのため、翌年の目標設定のための上司との面談は、極めて重要である。個人の目標達成率にボーナスが連動しているケースが多いので、結果が収入に直結する。 

 
英語で論理的な交渉ができないと損をする

外国人と接するポジションの場合、やはり英語ができる方が有利である。特に日本市場をあまり知らない外国人に対し、物事を論理的にわかりやすく説明し、当方に有利な結果をもたらす交渉スキルは重要である。外資系ファームの出身者は、ここが得意な人が多いので、腕の見せ所である。 

 
外資系の品質サービス基準は日本メーカーより劣るように見える

日本メーカーは、必要以上に品質やサービスの基準が高い。外資系メーカーは世界標準なので実用的な問題は無いはずなのだが、日本の顧客から見ると、日本メーカーより品質やサービスが劣るように見えてしまう場合がある。パッケージデザインやホームページの見やすさなども、日本の競合の方が、日本人向けに洗練されていることが多い。 

 
日本市場のプレゼンスが低下している

業界にもよるが、日本の市場成長率はアジア諸国より低いため、アジアパシフィック地域でマネージしている外資系メーカーでは、日本への投資を控える傾向がある。例えば、日本人の好みを反映した新商品開発は、アジア諸国向けより後回しになったり、マーケティング投資も日本より中国に集中、といった意思決定がされることもある。

 
高いポジションのリスクは高い(しかし退職パッケージは高い)

日本法人の社長や事業部長は、毎年の業績評価が悪いと、仕事を失うリスクが常にある。また、普通の社員でも、本社の都合でリストラはあり得る。と言うと「外資系は怖い」となるが、辞めてもらうための割増退職金パッケージは、良いことが多い。

特に欧州企業は本国もリストラのための法律が厳しいので、高いパッケージを提示する。某フランス製薬企業は、早期退職に3年分の年収を提示したので、多くが喜んで辞めて他社に移った。以前、某ドイツ企業は5年のパッケージを出したという。一方、米国企業はドライで、パッケージは1年以内が多い。

 

以上、外資系メーカーの楽しさと厳しさを見てきましたが、いかがだったでしょうか?

外資系コンサルや外資系金融の次のキャリアとして、外資系メーカーを視野に入れると、選択肢が広がると思います。

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