
投資銀行のトップバンク、ゴールドマンサックスと、コンサルティングファームのトップ企業、マッキンゼー双方から内定をもらった場合、どのように比較して自分とのフィットを考えるべきでしょうか?比較軸は人によって違いますが、総じて「お金、成長の方向性、潰しが効くかどうかの汎用性、退職後ネットワークの有用さ、そして評価制度」に違いが出ます。双方ともに総じて、成長志向の強い人が集まりますが、”成長”には”
”自分のビジョン”と”評価制度”が重要になってきます。
ゴールドマンサックスとマッキンゼーでは、共に優秀でも求めるものが違う
マッキンゼーとゴールドマンサックス双方から内定をもらった場合、ないし双方を志望する場合、何を基準に自分とのフィットを考えるべきなのでしょうか?以下にその5ポイントを記載します。
1・お金へのこだわり
両者を比較して顕著なのが、仕事へのモティベーションの源泉としてゴールドマンの社員は大半がお金を第一にあげます。ボーナスがたくさん出たときに一番頑張れると。
これに対しマッキンゼー社員はクライアントに貢献できたとき、社会に貢献している感が強く、成長を実感するときだと回答します。
もちろん個別事例はありますが、大勢を比べたときに、”仕事のモティベーションの最大の源泉”が大きく違うことを心得ましょう。
2.成長の方向性へのこだわり
両社ともに成長志向が強いエリートが集まりますが、どの方向への成長なのか、またどのようにその成長を支援するのかが両社で異なります。
”成長したい”という就活生の方は多いものです。しかしどのベクトルへの成長を目指したいのかにきちんと納得できていないと、あとで「なぜこんな激務に耐えているのだろう?」とモティベーションが急降下するので、くれぐれも気を付けましょう。
これは業界の差という側面が強いですが、リーダーシップ(うまく周りを巻き込めるか)、コンサルでは問題解決能力、ケースを自分で回せるか、仮設や分析で付加価値のある軸を出せるか、クライアントに動いてもらえるコミニュケーション能力があるか、などの方向性で成長が求められます。
また評価頻度は高く、プロジェクトごと、また半年ごとに昇進の見込みと、そのために何をしなければならないかが伝えられます。
これに対し投資銀行では、一応リーダーシップやダイバーシティの重視、コミニュケーション能力などいくつかの基準はあるものの、基本的に若いころは正確さとスピード、マルチタスク能力と、膨大な仕事を押し付けられてもやり遂げる責任感が、求められる成長の方向性です。
3・汎用性(つぶしが効くかどうか)へのこだわり
全体的にはマッキンゼーのほうが汎用性が高いスキルが身に付きますが、仮に3年働くのであれば、どちらの仕事も非常に汎用性高く、どこへ行っても重宝されます。
素早く正確にマルチタスクという意味ではゴールドマンに軍配が、資料のわかりやすさや人の巻き込み方、コミニュケーション能力やプレゼンではマッキンゼーに軍配が上がるでしょう。
これが5年になってくると、金融の仕事はコンサルに比べ比較的同じ作業が多いので、順調に昇進して仕事内容が上がらない限り、「それしかできないつぶしのきかない人材」になりがちなのは、金融機関の仕事です。
それでも投資銀行部門の仕事はまだ、汎用性が高いですが、トレーダーやオペレーションになってくると、金融機関を離れたらかなり役に立たない人になってしまうことも少なくありません。
コンサルの仕事も、長居しすぎると転職リスクが高まります。コンサルとしての動き方は上手くなるものの、実務を実行する力はつかないので、コンサルだけで30半ばを超えてくると、いざ他業種に移ったり独立したりするときに、壮大なパワポはつくれても、何事も起こせない人になってしまうリスクがあるのも確かです。
4.退社後ネットワークの重要さ
コンサルのほうが総じて、アルムナイコミニュティが強く、卒業後も何かとともに仕事する機会が多いものです。それに対し投資銀行は、クビになって殺伐と去る人が多いからか、アルムナイコミニュティはそれほど強くありません。
実際にコンサル各社はアルムナイパーティが毎年ありますが、投資銀行では首になった人が会社の悪口を言い合う、殺伐とした座談会くらいです。(これは多少冗談ですが、コンサル各社がアルムナイコミニュティを大切にするのは事実です。)
なおゴールドマンは、活躍した人たちだけのアルムナイコミニュティがあり、たっぷりお金を稼いだマネジングディレクターやパートナーが資金を提供して、様々な案件を仲間内で回していたりします。
5.評価制度
ミレニアル世代の次のZ世代は、評価の透明さや公正さによりこだわる傾向がありますが、この点マッキンゼーの圧勝です。
評価基準はグローバルで統一されており、また社内カルチャーが”優秀な人材の成長”を重視しているため、頻繁に公正で、納得感の高いレビュー制度が存在しています。
この評価制度は非常によく出来ており、マッキンゼー出身者が転職先や独立先の企業にも導入することで、多くのプロフェッショナルファームによい影響を与えています。
これに対し投資銀行は総じて、特に人材の成長には関心がなく、利益を上げることにより強い情熱を感じている機関です(もちろん、人材成長にコミットしている、とは表向き言いますが。)
収益は市況に敏感であり、かつ社内政治も激しく、上司の一存で解雇されるので、評価の不透明さや不満度は高い傾向にあります。
以上、就職される際に考慮されがちな、お金、成長性、汎用性、ネットワーク、評価制度という観点で両社を比較しました。業界選択、ファーム選択にご参考いただければ幸いです。