
”ブラック企業”という言葉がはやる前から、そのブラックぶりで有名だった外資系投資銀行。規制強化と技術進化を受け、業界は激変中です。入ってしまった後に大公開しないための、投資銀行の3大ヤバカルチャーとその背景について解説します。
投資銀行の3大ヤバカルチャーとは?
投資銀行のカルチャーのダウンサイドを3つ挙げるとするならば、すぐに解雇、壮絶な社内政治、社員は道具(利益を生む資産か、カットすべきコスト)の3点です。なぜこんなことになってしまったのでしょうか?
投資銀行は、なぜ簡単に人を解雇できるのか?
第一に、不当な解雇という意味では、実力があるのにナンバー2に近づくと、社長が保身のためにクビにするケースがあります。また、どうみてもミスが多い下っ端を解雇する、順当な解雇もたくさんあります。活躍していても、グローバルで10%切るから、東京でも100人カットして、みたいな割り当てで、切られる人もいます。
そしてその後すぐに足りなくなって補充採用したりするので、どうみても日本で人を解雇するときの法的要件を満たしていないので、なぜこれが横行しているか解せないところもあるのですが、ひとえに「解雇されて会社と争ったら業界にいれなくなる」という不文律が、解雇をめぐる闘争を抑えてきました。
しかし昨今では業界自体に魅力を感じず転出を決めた人が、未練などないとばかりに古巣を相手に訴訟に挑み、見事勝利するケースもでてきました。
それでも、解雇が多い業界なのは間違いがないのですが、これはそもそも解雇が簡単なアメリカ、イギリスのアングロサクソンカルチャーの業界だというのも根底にあるでしょう。
投資銀行の壮絶な社内政治、こんな人は働いてはダメ!
第二の、壮絶な社内政治に関してですが、金融業界の社内政治の激しさにうんざりする人も多いのですが、それがもとで人間不信になってしまう人もいます。
トレーダーのように自分の業績が数字でバシッとでる職種は社内政治の入り込む余地が比較的少ないのですが、投資銀行部のように、チームプレーであり、言い換えれば評価が他人からの評価で決まり、かつ上司や部門長、ヘッドに強い人事権がある場合は、その有力者に対するおべっかやロビーイング、寵愛獲得競争が強くなってしまうのです。
とくに合併や上司の交代が繰り返されると、その新たな権力闘争がはじまり、どちらにつくのかを間違えるとチームごと解雇になったりもします。
よって、「人間関係や政治センスの嗅覚」が働かない、いわゆる「空気が読めない」ひとは、投資銀行部門のように周囲の評価・評判を気にしてうまく立ち回ることがクリティカルに重要な部門で、働いてはいけません。
投資銀行は、なぜ人を大切にしないのか?
第三の、人を大切にしないカルチャーですが、これは金融機関とは資本主義の象徴的な存在であることに起因しています。
会社が株主利益を最大化するマシーンになっており、かつ株主利益最大化の視野がますます短期化していくので、EPSの成長やROEの向上に資すること、つまりトップラインを上げることとコストを減らすことのために、人を”無駄なコスト”ととらえて削減することに、なんらためらいのないカルチャーが浸透してしまっているのです。
ただしこのようなカルチャーでは、給料が多少高くても、グーグルのようにさらに高い給料で、心理的安全地帯を築きながら、社員を大切にするカルチャーの会社が入ってくると、変革が迫られます。人材流出の憂き目にあい、また優秀な人材が志望してくれなくなったことが、変革のトリガーになりつつあります。
オールブラック企業でも、向いている人の特徴とは?
外資系金融機関にそれでも向いている人の特徴ですが、上記カルチャーの裏を返せば、会社に居心地の良さや価値観のフィットなど求めず、とにかく金を稼ぐのが重要で、政治センスも高くて上司との人間関係に自信があり、かつ金融業務が楽しくて自然に頑張れる、という人は、ブラックだろうが何だろうが幸せに働けることでしょう。そういう方こそ外資金融で、ガンバッテーガンバッテー!!(ハカ調)