
総合商社トップ企業の三菱商事。好待遇と国内ブランドの強さで知られる反面、多くの若手が時代に合わないカルチャーから転職しています。三菱商事でのキャリアが合う人と、転職して新天地を求める人は、何が違うのでしょうか。そのポイントを解説します。
三菱商事~プチグローバル・国内ブランド安定志向にとっては最高のキャリア
1.規模の大きなプチグローバルキャリア
総合商社のトップファームとして、規模の大きな案件に携わることができます。
また4年~6年ほど海外勤務することができます。
ただし滞在先での日本人相手のビジネスが多く、組織も日本人が大半であるため、プチグローバル志向の人に向いています。
2.老後の心配一切なし?解雇がないローリスクミドルリターン
解雇されない割に、給料は高水準です。コンサルや外資金融に比べ労働時間も短く、かつ昔の「総合商社は激務」というイメージは薄れ、ワークライフバランスは随分と改善しています。
国内企業最高水準の高給を、長期間継続的に享受することができます。
入社時は低くとも二年目から毎年200万単位で上乗せされ、30で1000万水準、35で1500万、40歳で2000万、部長になれば2500万という高水準の年収を手にすることが可能です。
65まで働けば退職金の2000万に企業年金年間200万弱、それに401Kの積み立て(毎年30万程度)で、老後資金は合計一億弱が、公的年金に上乗せされます。
資源高騰時代に蓄えた潤沢なキャッシュと、過去に購入した資産の含み益で、日本が潰れない限り存続する日本を代表する超安定大企業です。
3.強力な国内ブランドと信頼の王道ビジネス
日本国内でサラリーマンとして生きる限り、最強クラスの信頼のブランドを手にできます。
コンプライアンスに厳しく、「三菱商事として恥ずかしくない仕事」に拘るため、社会的な信頼感は抜群です。
4.ほぼ差がつかない年功序列
強固なバランスシートと余力がある反面、変わらなくても存続できるため、いまだに年功序列が色濃く、頑張っても頑張らなくてもたいして給料に差が尽きません。
入社年次の尊重はメガバンク並みで、年功序列が色濃く残っています。
入社後10年たっても大きな裁量があるリーダーシップをとれる役割はなかなか回ってきません。
半面、働かなくても高給を享受し続けるおじさん社員も多く、それへの問題意識から退社する若手社員も増えています。
5.官僚的でスピード感のない意思決定
大組織につきもののスピード感のなさ、社内調整作業の多さに辟易して退社する人が少なくありません。
組織の三菱といわれるだけあって社内ルールの完備や社内組織の細分化が進んでおり、過去の前例や慣例に反することは拒否される傾向が強いです。
結果的に組織を出た時に市場価値がつかないことに不安感を覚える若手社員が多い傾向にあります。
6.インダストリー4.0時代に恐竜企業で生きるリスク
AIが社会的に浸透する中で、ITソリューション機能が弱い総合商社はその仕事の多くが脅威にさらされます。
利益の大半を資源投資から賄ってきた時代は、継続が疑問視されています。
アメリカはシェール革命で安価なエネルギーの大量生産体制が整い、そこにロシアとサウジアラビアが価格競争を行う昨今、エネルギー依存からの脱却が進んでいない総合商社はマージンの大きな低下に直面するでしょう。
またAI対応に遅れており、新規ビジネスへの対応という意味で、変化のスピードが速い時代に取り残されるリスクをはらんでいます。
三菱商事に向いている人はこんな人
以上のポイントから、三菱商事への就活や、三菱商事からの転職を考える人は、良くも悪くも以下のような会社の特徴と、ご自身のビジョンのフィットを考える必要があります。
1.グローバルで規模の大きな仕事に、配属への希望が通らず裁量権もなくても、ジェネラリスト志向のキャリアで携わっていきたい人
2.一流の安定ブランドを重視する人。そして安定的な高給の代償として、会社の一コマとして長期間組織人間になることをいとわない人
3.実力主義のスピード出世やスピード感ある成長よりも、解雇されない長期安定キャリアを望む人