
プライベートエクイティ投資リターンの3大源泉その①EBITDAを伸ばす
プライベートエクイティ業務の仕事内容で一番重要なのは、投資先のEBITDAを伸ばすことです。
もちろん、エグジットするときだけお化粧で無理矢理EBITDAを伸ばしてもバレルので、継続的なフリーキャッシュフロー創出能力を上げることが重要なわけですが、そのために引けるレバーを数多く持っておくことが重要になります。
しかしながらミッドキャップやスモールキャップバイアウトでは、一件当たり30億の投資額、売り上げ200億程度の会社に、マッキンゼーに3か月2億円払う余力はありません。
よってマッキンゼー、ベイン、BCGからトップコンサルタントを年収3000万+キャリーで雇うことにはある種の経済合理性もあります。
(実際にミッドキャップバイアウトですと、使うコンサルファームは市場より安めの価格でマッキンゼーより3割働いてくれる、ローランドベルガーなどのティア2を使っているところも多いのです。)
単にリターンを上げるだけでなく、EBITDAを伸ばす能力を示すことが重要
さて、2000年代初頭のようにPEのリターンの源泉がバランスシートリストラクチュアリングだった時代は、投資銀行出身者が重宝しました。
しかしバランスシート不況ではなくPL不況を直すための案件が増えると、戦略コンサル出身者の出番が増えてきました。
ただし、単にマッキンゼーにいました、ベインにいました、ではなく、これらMBBでスター選手として評判がよく、既にPEに移った先輩に引き抜かれるというプライベートなリクルーティングが多いので、まずは今いる現職で評価されることが先決です。
気になるEBITDAの伸びですが、これは出来れば投資期間中にEBITDAを1.5倍にしました、2倍にしました、などの実績をつくりたいところです。
そうできれば、案件のリターンがその分高まるのみならず、LP投資家のデューディリジェンスで”このPEファームはEBITDAを伸ばせるチームだ”とアピールできるのです。
よって、そもそもの投資検討時からEBITDAを伸ばす余地に自信がある会社を選ぶことが重要であることも、付け加えておきます。
プライベートエクイティ投資リターンの3大源泉その②レバレッジを効かせる
プライベートエクイティの二つ目のリターン源泉が、レバレッジです。
これはレバレッジが潤沢に出る環境ですとEBITDAの8倍、下手したら10倍以上レバレッジがつくこともあり、おかげさまでエクイティリターンもその分高まるかと思いきや、その分エントリーバリュエーションも高くなる(競合もレバレッジをたっぷりつけて高い値段でビッドしてくるため)ため、”諸刃の剣”的要素があります。
ただこのレバレッジはバイアウトの重要なリターン源泉であり、上記のEBITDAが仮に一切伸びずに一定で、次に論じるマルチプルもずっと一定だったとしても、リーズナブルなバリュエーションで買えばレバレッジを4年かけて返すだけで、リターン2倍確定というディールも多いのです。(詳細はプライベートエクイティ転職対策テキスト第二章参照)
またレバレッジマネジメント能力が試されるのが、投資先が苦しいとき。コベナンツにヒットした時のコベナンツ再設定交渉、期限通り返せないときのロールオーバー交渉、そして潰れかけているときのヘアカット交渉など、銀行側の信頼を得て、銀行がどのようなロジックで動くのかを熟知していることが重要です。
プライベートエクイティ投資リターンの3大源泉その③マルチプルを高める
PEの投資チームの本質的な役割のもう一つが、売却時のマルチプルを高めることですが、これが単に市況が良くなって上がっただけだと、”単にラッキーだっただけでしょ”とLP投資家から評価されません。
重要なのは、市場シェアが高まったり、成長市場に進出したり、アッドオン投資等を通じてその企業の戦略的価値を高めることで、マルチプルを高めることなのです。
以上のように、PEファームの投資チームに入れば優良投資案件を探してきて魅力的な条件で投資実行し、上記3つの基本的なバリューアップ活動に勤しむことになるのです。
参考:プライベートエクイティ転職対策テキスト第三章