
昨今のPE案件でつけられることが多くなった、「表明保障」及び「表明保障保険」に関して簡単に解説致します。
最近のトレンド:売り手が買い手に「表明保障」を付ける保険商品が大人気
現在プライベートエクイティ業界で大人気の保険商品を御存じでしょうか?そんなの知ってる方、PPE業界かPEファームにアドバイスする弁護士、そして保険会社の方しか知らないですよね。以下で端的に解説致します。
会社を売買するときは、売り手は買い手に表明保障をつけなければなりません。
企業とは大変複雑なもので、売り手は会社が本当にどんなリスクがあるのか知らないことも多いものです。
そこで、売却時には把握できていなかった問題が発生した時は、その責任を売り手が担うというのが「表明保障」です。ただ御想像の通り、これは売り手にとって実に嫌なものです。
仮にファンドが売り手だった場合、売却益からLPにリターンを返し、自分たちもキャリーの恩恵にあずかりたいわけですが、表明保障の違反が発生したら、分配したお金を投資家から返金してもらったり、せっかくもらってウハウハだったキャリーを返金しなければならなくなります(まぁ、こういう事態に備えるため、一定期間は一定額をエスクローアカウントに入れるのですが)。
これに対し、欧米ではかねてより一般化していたのですが、2021年終盤の今では保険会社が表明保障保険を販売するようになりました。
仮に表明保障違反が発生したら、保険会社が支払うのです。これはPEファンドにとって、とても都合がいい保険商品で、現在国内案件でも使用事例が増えています。(人気がありすぎて、今年はすでに各保険会社で枠が使い切られているくらいです。)
プライベートエクイティの表明保障とは、要するに「M&Aにおける売り手責任」
表明保障保険というとタイソウな響きですが、まぁ他の買い物するときは常識的についているサービスですよね。アマゾンでミルクウォーマーを買って壊れていたら、アマゾンかその出品者が返品か返金か修理に応じてくれるはずです(最近の実体験)。
それより金額が1000万倍くらい違う企業の売買に関しても、「売り手が知らなかった」では済まされない売り手責任の保険を付けましょう、ということなのです。