
ヘッジファンド等公開株マネジャーが、プライベートエクイティ投資に進出してくる事例が増えています。プライベートエクイティから公開株に投資するPIPESファンドも増えてはいますが、公開株からプライベートエクイティファンドへのクロスアセット投資の方が活発です。この背景はいったいどのようなものでしょうか?以下に端的に解説致します。
プライベートエクイティの方がアルファを出す余地が大きい
近年、多くの公開株マネジャーがプライベートエクイティ領域ににじみ出てきています。クロスアセット戦略などとも言われますが、これは何故なのでしょうか?それはひとえに、プライベートエクイティの方が儲かるからです。
公開株は何せ公開情報を元にトレードされるうえ、誰でも携帯一つでトレードが可能なので、競争が極めて厳しいです。またインサイダー情報に関する取り締まりも強化されており、配当を上げたり上方修正をしたりといった情報が、マネジメントミーティングで何となく漏れ聞こえてきた牧歌的な時代とは大きく様変わりしています。
これに対しプライベートエクイティは、そもそもインサイダー情報を頼りに企業価値を高められますし、オークションに参加できる潜在的バイヤーも限られています。おまけに買った後は経営陣からアセットからオペレーションから何でもかんでも変えることが出来ますし、不採算ビジネスをリストラすることもできますし、コーポレートガバナンスを強化することもできます。
また売るときも、利益が伴っていなくても戦略的な価値を高めることで、金融投資家ではなくストラテジックバイヤーが高く買ってくれたりもするので、エグジットオプションも幅広くなります。
端的に言えば、プライベートエクイティの方がパブリックエクイティに比べ、バリューを出すためにひけるレバーの数が多いのです。かくして、多くの公開株マネジャーがプライベートエクイティ領域に進出してきているのです。
(但し、大幅な金融緩和局面でどのような株も爆上がりするリーマンショック後からの10年くらいは、単に米株のインデックスに投資したほうが儲かった、という局面もあるので、勿論一概には言えないのですが。)