
これからプライベートエクイティ業界への転職活動を始める方向けに、転職前に絶対に知っておくべき20ポイントの基本事項を、実際のPE業務経験に紐づけてわかりやすく解説します。どのようなアセットクラスであり、パートナーがLP投資家に何を売っており、プライベートエクイティのリターンの源泉は何で、ファンドレイズに重要なことは何かを知らずして、本質的面接対策はできないのです。
プライベートエクイティ業界や、PEファームの投資の特徴、転職のために知るべきことを簡単に理解するための20ポイントを以下に纏めます。
1.多様なPE投資のアセットクラス~日本は伝統的なバイアウト市場
プライベートエクイティは、文字通り「私的な株式」です。公開株のように上場されているわけではないので、自由に売買することができません。
公開株ですと、ブルームバーグの端末どころか、PCの画面、携帯画面一つで買えます。しかしPEの場合は長い間の信頼関係づくりから、弁護士・会計士・税理士を動員した投資契約書及び投資ストラクチャーの設定等々、壮大な手間がかかります。
しなければならないことが多岐にわたっているからこそ、PEはビジネスの総合格闘技とも言われるのです。
さて、プライベートエクイティのアセットクラスも多岐にわたります。ベンチャー、グロース、バイアウト、ディストレスドアセットというように企業の成長ステージに応じたアセットクラスがありますが、日本は伝統的にバイアウトマーケットとして知られてきました。
これは90年代後期の日本PE黎明期が、バランスシートリストラの真っ盛りで安く売りに出ていた企業が沢山あったことに起因します。
なおアジアの先進国は韓国も含め、総じてバイアウトマーケットとしてPE市場が成長してきました。
これに対し中国や東南アジアは、巨額のベンチャーキャピタルとグロースキャピタルを世界中から惹きつけてきました。
2.プライベートエクイティとベンチャーキャピタルの関係
上記で述べましたよう、ベンチャーキャピタルもプライベートエクイティの一種です。
しかしバイアウトと違ってマイノリティ投資なので、一度投資すると、特に会社に影響を与えることはできません。むしろそのような干渉を要求するなら、起業家に投資させてもらえないでしょう。
ただここにきて、ベンチャーキャピタルマーケットが日本で大きく成長し、成熟してきたので、グロースキャピタルとの境があいまいになり、時にはバイアウトファンドとも連携するようになってきました。
バイアウトファンドとしては、VCによって育てられた企業を買収する局面も出てくることでしょう。
バイアウトとベンチャーキャピタル連携の有名な例としては、近年ユニゾンキャピタルとグロービスの連携が発表されました。
3.プライベートエクイティ不動産ファンドの人気
プライベートエクイティの多様なアセットクラスの中には、企業投資のみならず他のオルタナティブ資産も含まれます。
インフラや不動産はその代表格です。日本でもエートスなどが良く知られています。
不動産ファンドに人気があるのは、巨大な資金源である年金投資家が、不動産の”実物に裏付けられた資産価格で、安定的なキャッシュフローを見込める」という性質が、年金基金のマンデートと整合性が高いからです。インフラに関しても同じことが言えます。
ちなみにこの上場版が、REIT(リート)となりますが、不動産プライベートエクイティファンドはその開発物件を、REITが強い株式市場で集めた資金で高値Exitを実現してきました。
4.プライベートエクイティファンドの、知る必要がある歴史
プライベートエクイティの歴史というと、よく何年にリップルウッドが進出して、何年にMKSが設立、その後崩壊して、、といった個別のお話が出回ることが多いですが、知るべき歴史はそのようなことではありません。
PE業界を志望する人にとって意味あるPEの歴史とはズバリ、PE業界が経験した、大きな失敗とそこからの教訓です。
PE業界の失敗も数多くあるので全てはスペースの都合で書けませんが、端的に言えば「日本市場で適切なPEファンドのサイズはいくらか」と、「PEファンドの戦略の一貫性の有無」ということに尽きるかと思います。
これまで複数のファンドが2000億の壁を越えては、十分な投資案件が無いので少数の案件に群がり、オークションで値段を吊り上げて結局大損を出し、ファンドサイズのカットと次号ファンドでの資金調達苦戦というサイクルを繰り返してきました。
また、PEファンドの戦略が変わる局面も、たいていPEファンド投資が失敗するパターンを見せてきました。
✔これまでスモールキャップだったファンドがいきなりビリオンドル越えのファンドサイズになった時、✔これまでバイアウト専門だったファンドが上場株に手を出した時、✔これまで日本特化型ファンドだったのPEファームが、海外案件に手を出した時等々、典型的な「PEファンドのリスクが高まるパターン」も、私たちは学んできました。
5.プライベートエクイティファンドへの投資家とは?
プライベートエクイティ業界を語るとき、LP投資家の存在を抜きに語ることはできません。
年金(公的・企業)、国富ファンド、銀行、ファミリーオフィス、ファンドオブファンズ、エンダウメントなど多様な資金源がプライベートエクイティに投資しています。
プライベートエクイティファンドの成長と継続のために重要なのは、質のいいレピュテーションの高いLP投資家と、長期的な信頼関係を構築することです。
LP投資家層を見れば、そのファンドの質のレベルがかなりわかってしまうものです。
PEファンドへの投資や転職先のPEファームの選び方として、LP投資家の名前を見れば、それで実質的なランキングがすぐに分かってしまうものなのです。
6・プライベートエクイティ業界につきものの、PE業界カンファレンス
プライベートエクイティ業界には、様々なカンファレンスがあります。
中でも最も重要なのはスーパーリターン。これは参加費も一人5000ドル程度と高額ですが、さらに数万ドル、時には数十万ドルの高額スポンサーフィーを支払ってでも、世界中からプライベートエクイティファンドが集結します。
これは、世界各国の有力LPが一同に介するので、LPマーケティングの為の格好の場となっているためです。
このようなカンファレンスに登壇して「業界の第一人者」としてのアピールをし、ファンドレイズに役立てるのがPEファーム側の目的です。
LP投資家にとっても、多様なアセットクラスの様々な国と地域で活動するPEファンドマネジャーに効率的に出会えるので、PE業界の一大お祭りイベントとして定着しています。
スーパーリターンは本家米国、ヨーロッパ、またアジア(香港とシンガポールで開催されることが多い)、中東(ドバイ)など、世界各地で開催されます。
なおスーパーリターンとは別に、AVCJ, PEIなどもPEカンファレンスとして有名で、日本でも毎年開催されています。(しかしながら、参加するGPと投資家と登壇者に、代わり映えが無いのですが)
7.プライベートエクイティ投資を、公開株投資と比較した時の特徴
プライベートエクイティ投資は前述の通り、公開株と異なり市場で誰もが売買できるわけではありません。
また公開株が公開情報をもとに投資する(正確には、そうすることになっている)のに対し、プライベートエクイティ投資はそれこそ、ほぼ全て非公開情報、つまりインサイダー情報をもとに行われます。
このインサイダーネットワークにどれだけ深く入り込んでいるかが重要であり、ローカル市場での政財界における広範なネットワークが、PEファームの優劣を決めると言っても過言ではありません。
だからこそ、ネットワーキングが得意な人でないと、PE業務の重要なマーケティングをすることができません。
(ただしこの手のネットワーキングが苦手でも、エクセキュ―ションに特化したり、ファンドアドミに特化したパートナーの道はあるので、自分はIntrovertだからといって、PEでの成功を諦める必要はありません。ご安心ください。)
8.プライベートエクイティの業務内容~激務ではない理由とは?
プライベートエクイティは、その多くの方々の前職である投資銀行やコンサル、主にゴールドマンサックスやマッキンゼーに比べ、各段にワークライフバランスは良いです。
もちろん、コンサル上りのハードコアカルチャーが浸透したファームですと、PEに転職したのにマッキンゼー、GS時代並みに忙しかったというケースもあるのですが、多くのPEファームでは総じて8時以降には人はいませんし、パートナーに至っては6時以降にはいないくらいです。(というか、そもそも滅多に出社しない人も。)
これは、PE有のビジネスモデルの賜物です。ファンドを一度集めると、そのファンドは10年間基本的にマネジメントフィーを払い続けるので、投資銀行やコンサルのように常に走り続けて営業しなければならないわけではないためです。
9.プライベートエクイティの年収の仕組み
プライベートエクイティ業界での年収は、ベースサラリーとボーナスとキャリーとGPカンパニーの配当という4階建てで構成されます。
このうち、キャリーは一般的にディレクター以上、そしてGPカンパニーからの配当はパートナーからもらうことができます。
ファンドサイズの2%が投資期間中の5年間入ってきますし、その後の5年間は投資額に対する1.5%などがマネジメントフィーとして入ってくるので、一度ファンドレイズに成功すれば、極めて安定的に収入が見通せます。
また10億ドル越えの大型ファンドでも投資チームの人数は20人そこそこなので、ベースとボーナスでディレクターでも5000万水準になります。
なおアソシエイト時代はGSのアソシエイトの方がもらえるかもしれませんが、安定性と仕事の量と、将来のアップサイドが大きく違うのです。
ちなみに、上記の数字は日本のトップティアでビリオンドル近くのファンドサイズのファームの話であり、これが100億、200億といったスモールキャップファンドでは、アソシエイトは1000万水準になることもあります。
10・プライベートエクイティへの未経験からの転職
プライベートエクイティへの転職志望者は非常に多く、転職市場でコンサルタントの数が増えただけにコンサルからの志望者も更に増えています。また実際のところ、PE業界への未経験者の転職は、実際に投資銀行部門と上位コンサルMBBがほとんどです。
ただ総合コンサルやセカンドティアからも、日系のキャプティブ系のアソシエイト採用は数多く行われていますし、一度大和PIや新生銀行PEなど日系金融機関傘下のPE部隊に入った後で、独立系の名門PEに転職するケースも複数あります。
PEの業務内容の骨子が、投資とバリューアップと売却とファンドレイズですので、このどれかで即戦力として貢献できる人材が大半です。
これは、PEファームは前述の通りあまり人数がいないため、社内トレーニングに掛けるリソースが足らないことも一因です。基本的にはGSやマッキンゼーでInstitutional Trainingを受けた人でないと、基本的な御作法が身についていない上、教える時間的コストを払えないことに起因しているのです(ただ実際は、時間はあるのに面倒で自分で教えたくないからなのですが)。
11・プライベートエクイティに転職する年齢とは?
プライベートエクイティに転職してくる人の年齢は、20代中盤から後半が大半です。30前半で入ってくる人もいますが、やはり入るなら早く入ったほうが、その後の出世に有利です。
20代前半でPE転職を果たした人は、10年たっても30代前半なので、30代中盤でファームのパートナーに昇進している人も複数います。
これが30前半でのPE転職になると、基本的なアソシエイトとしての動きを知らないまま入ってくるので、下からは「自分より給料をもらっているのに、基本をわかっていなくて使えない」と、厳しい突き上げを食らうことになります。
また20代ですと、PEが向いていなくてもまだ30前半で転職できますが、30前半でPE転職しますと、「PE業界は自分が向いていない・・・」と悟ったころには30代後半で、その後行ける場所がなくなってしまう人も沢山見てきました。
よく20代後半でコンサルタント出身者が、PEに行く前に投資銀行で数年働いてからアプライしようと思っている、、、などと悠長なことを言っている人が多いのですが、(仮に可能性のあるキャリアであれば)わざわざ数年の激務を挟まず、直接アプライすることをお勧めします。
12.PEファンドは新卒でも入れるのか?
PEファンド人気の高まりから、新卒学生の方の中にもプライベートエクイティ業界でのキャリアを目指す人が増えてきましたが、果たして新卒でPE入社はあり得るのでしょうか?
これがどうして、実はあり得るのです。学生向けのインターンを主要トップファームが夏にやっているので、(もちろんいわゆるトップティアの学歴でないと選考に通らないのですが)探してみると良いでしょう(探すと言っても、これをしているのは数社しかないのですが、ここで紹介すると殺到して私の同僚が困りそう。。)
またインターン中での働きが非常に良かったということで、その後そのまま採用された人もいるのです。
ちなみに地方で地銀などの支援を受けて地方に勃興している小規模ファンドであれば、「地方創生に役立つ投資」しかできないという政策的な制約はありますが、一応新卒で入った人も何人か知っています(九州など地方にも存在)。
ただしこの手のPEはフィナンシャルリターンを目指したPEファンドではないので、仕事内容も目的もPEファーム内での年収も、大きく異なることは覚悟しておきましょう
13.プライベートエクイティのランキングや偏差値とは?
プライベートエクイティ業界への転職を考える方は、数あるファームのランキングや偏差値はどうかなどと質問してこられることがあります。
端的に申して、受験時代の大学選びではないので、PEファンドのランキングや偏差値など考えても、あまり意味はありません。
そもそも何を基準にランキングを付けるのかという問題もありますし、偏差値にするなら、定量化できる項目しか使えないので、「質的要素が重要なPEファーム」の評価を的確にできない為です。
それでも一応言えば、ブランド比較という意味ではコンサルのMBBに当たるのが、世界的にはKKR,カーライル、ブラックストーンと言えるでしょう。
ただしPEファームの質はグローバルブランドよりローカルチームの強さの方がよっぽど重要なので、グローバルブランドにひかれて入ったら、日本チームは弱くてすぐ撤退した、というケースも実際にあるので、この点、気を付けましょう。
14.プライベートエクイティ転職の難易度は?
プライベートエクイティへの転職は一般的には非常に狭き門で、GSやマッキンゼーで揉まれた人の中から更に極一部が選ばれるのだから、非常に難しいと思われることでしょう。
しかしこれは正攻法で入る人の場合です。プライベートエクイティは上述の通り、投資もファンドレイズも私的なネットワークで行われるのですが、往々にして採用も私的なネットワークで行われます。
PEファームの中で活躍している人は、人事にも影響力が強いのです。その人が強く押せば、面接自体が「単なる顔合わせ」になり、とんとん拍子で採用される人も結構います。
裏を返せば、PEで働いているからといって、その他プロフェッショナルファームのトップティア人材より総合的に能力が高いかといえば、必ずしもそうではないと言えるでしょう。
要するにそのような人との巡り合わせがあったかなかったかという縁が、採用にしても資金調達にしても投資案件にしても、大きな影響を与えるのがプライベートエクイティのプライベートたる所以なのです。
15.プライベートエクイティ転職前に有利な資格・スキルとは?
では、プライベートエクイティに転職するために有利な資格などはあるのでしょうか?結論を言えば、別にありません。
実際に弁護士や会計士資格を有している人は結構いますが、資格で規定されるスキルで、良い投資が出来るわけでも、効果的なファンドレイズが出来るわけでもないのです。
ただしPEファームはこれらプロフェッショナルに多くの仕事をアウトソースするので、弁護士や会計士の使い方を心得ているという意味では、幾分プラスに働くでしょう。
またPE投資は、どのような契約書で投資するかが非常に重要です。したがって、契約書の一行一行を面倒くさがらず粘り強く交渉し、「ベストのコントラクト」をつくることに拘れる人は、PE投資を実行する局面や、ファンドレイズのLPA締結の局面で活躍します。
16.プライベートエクイティ転職時に聞かれることとは?
プライベートエクイティ転職時の面接では、どのようなことが聞かれるのでしょうか?
実際のところは極めてオーソドックスです。前職ではなにやってきたのか、何故PEに転職したいのか、なぜ弊社なのか。
これらどの業界でも聞かれる基本的質問に加え、プライベートエクイティ投資家としてどのような投資をしたいのかを聞かれたときに、きちんと答えられるようにしておくことが望ましいです。(参考コラムはこちら)
「どのような投資をしたいか」をよく考えてこそ、意味のある生産的な議論がPEファームのパートナーとできますし、この深い施策から自身の投資哲学が産まれ、各PEファームの違いを生み出していくのですから。
17.プライベートエクイティの面接で重要なコミニュケーションマナーとは?
上記のようにプライベートエクイティの転職面接では、オーソドックスな質問が聞かれ、オーソドックスな回答をすることが多いだけに、「いかに話すか」がより重要になります。
と申しますのも、プライベートエクイティは人間関係、信頼関係、ネットワークが全てなので、基本的に「人好かれ」「信用される」話かたの人が、大いに有利なのです。
特にミッドキャップバイアウトやスモールキャップの投資先は、マッキンゼーで相対してきたようなグローバル大企業のCクラスではありません。
時に地方にいる中小企業のオーナーオジサンであり、彼らの「どのPEファームと組むか」の決定要因は、貴方のバリューアッププランやバリュエーションの理由より何より、「そもそも自分が子供のようにかわいがっている会社を任せたくなるような、可愛げのある人かどうか」であることが多いのです。
(参考コラム:プライベートエクイティ転職後にビックリした4大ポイント)
18.プライベートエクイティファンド転職後に活躍する人の特徴
そんなプライベートエクイティ業界ですが、PEファーム転職後に活躍する人の特徴は、やはり多くの企業に相談される人です。
いついつまでに、どの子会社を切り離さなければならない、いついつまでにこの会社を売りたい、市場に知られないように迅速にエクセキュ―ションしてほしい、等々。
広範なネットワークで、かつ各企業の意思決定者クラスに何かと相談事を持ち掛けられる人は、ディールソーシングにしてもファンドレイジングにしても、一人で八面六臂の活躍を見せます。
また人間的に信頼されるのみならずチャーミングなので、セラーに気に入られ、多少低めのバリュエーションでもなんだかんだ理由をつけて選んでもらえるので、信頼とチャーミングさがPE投資のエントリーバリュエーションを抑え、リターン最大化に大いに貢献するのです。
19.プライベートエクイティファンド転職後に、全く活躍しない人の特徴
これとは逆に、✔PE転職後に全く活躍しない人の特徴は、投資委員会で批評だけして付加価値を出せない評論家タイプの人、✔ファンド創世記に入ったというだけでパートナーになっていて、本質的な仕事はしていないのに社内の内向けな”偽仕事”ばかり作り出して周囲を疲弊させる人。
そして極めつけが、✔潤沢なマネジメントフィーでビジネスデベロップメントだと称して、どう見ても不要な海外出張(どうみても単なる旅行)や、✔「潜在投資先や投資家と仲良くなるため」という大義名分で、会社のお金で合コンや六本木・銀座のキャバクラばかり言っている人たちです。
20.プライベートエクイティ業界の今後
プライベートエクイティ業界への転職に関し、多様な角度から「転職前に知っておきたい実態」を論じてきました。ここで最後に考えておきたいのが、PE業界の今後です。
マクロ環境的には日本では、低金利どころか超低金利、実質マイナス金利が長期間政策的に作り出され、銀行がどれほど取引先のBSとPLが怪しくても貸し出し続けています。
需給的にも、PEファンドと言えば本来バイサイドなはずが、一生懸命か削りまわって何年間もお願いした押して企業に”資金を受け入れてもらう”という”PE資金供給過多”が常態化している市場において、世の中の資金は豊富なので、投資しきれないほどの資金が、PE市場に流れ込んできています。
そんな中、PEファームの成長戦略はをどう描くのでしょうか?仮にジャパンバイアウト一本に集中すると、経験値がたまっているので成功率は高まりますが、ファンドサイズは大きくならず、アセットクラスも広がりません。
これでは本来資産運用ビジネスの成長の定石である、”一つのアセットクラスで成功したら、そのブランド価値と既存投資家層を活かしてマルチアセットマネジャーに進化”という展開に繋がりませんし、実際に日本ではそのような大成功事例はありません(局地的な拡大と局地的な多様化はありますが)。
1998年に黎明期を迎えた日本のPE業界も、新興ファンドが増え、伝統的なマーケットリーダーの創業者が引退の年齢に差し掛かり、また古巣から飛び出した若手パートナーが新たなPEファンドを次々と創設し、また潤沢なGRIFや日本郵政の資金を目当てに多くの海外PEファームが日本上陸を果たしています。
このようなプライベートエクイティ業界の激変期のさ中、貴方はPE業界に転職して、どのようなコンセプトの”良い投資”で市場と社会に貢献したいと思っておられるでしょうか。
以上の論点を咀嚼された上で、PE転職の面接に臨んでいただければと思います。