ファンドレイズできるか不安なPEファンドから内定をもらった、どうする?

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数多くの新興プライベートエクイティファンドが100億程度のファーストファンドを調達し、リクルーティングを積極化しています。ディールソーシングやエクセキューション、次のファンドレイズのために、多少無理してでも高めの給料をオファーしてくることもあります。しかしワンマン体制が多い業界だからとはいえ、社長面接一発でいきなり内定貰うと、逆にちょっと不安になりますよね?そこでPEファンドから内定貰ったはいいが、ちょっと不安なPEファンドの特徴と、対処法について解説します。

プライベートエクイティファンドといってもピンからキリまであり、KKRやカーライルといったグローバル一流ファーム、ユニゾンやアドバンテッジパートナーズ、Jスターと言った国内独立系一流ファームから、保険会社や証券会社の傘下にあるPEチーム、そして数ある「ディールバイ・ディール」の新興ファンドまで、そこで経験できることは大きく異なります。

中にはプライベートエクイティとは名ばかりの会社もちらほら。それでは、PE業界からオファーを貰ったはいいものの、その会社がどう見ても新興ファンドで、チームが充実しておらず、ファンドサイズも微妙で、次のファンドレイズが可能かどうか不安な時、貴方はどのように考えればよいのでしょうか?

まず、既にそのファームが多くの投資先を抱えており、かつそれらの会社が面白い会社でバリューアップを経験できる会社であったならば、悪くありません。取締役会でガバナンスを聞かせたり、チームを補充したりリーダーシップを交代させたりといった経験は、その後のキャリアで大いに生きてくることでしょう。

また、100億程度のファンドですとマネジメントフィーは毎年2億5千万であり、オフィスなどを払うと、投資プロフェッショナルは8人がせいぜいの小規模所帯となるでしょう。

その時、人数が少ないだけに、自分がカルチャー的にフィットする人々かどうか、見極めることも大切です。社長と会っただけで内定貰ったからそのまま入る、ではなく、サインする前に社内の人々の評判を調べ、出来れば会ったりズームコールで情報を得るようにしましょう。

何が何でもそのファンドでパートナーを目指すわけでもなければ、数年後に再度ファンドレイズできるかどうかは、そう気にしなくてよい?

そのファンドが次のファンドレイズに成功できるかどうかは、ひとえに今のファンドがよい案件によい値段と条件で投資し、投資先のバリュエーションを向上させ、2倍以上、出来れば3倍でエグジットできるかどうかにかかっています。

もちろん、そのファンドとともにキャリアの命運が決まるパートナークラスは別ですが、アソシエイトやVPクラスで入った場合、別に向こう5年や10年といったマネジメントフィーが保証されている状況ですと、責任が無い立場(つまり、いざとなれば他社に移れる立場)で、少なくとも数年間は内部からプライベートエクイティ業務を経験できることになります。

投資銀行業界と同じで、一度業界に入ると、レジュメ選考では通過しやすくなりますし、PE業界に入ったらPE協会などに入って他ファームの重役と顔なじみになり、間接的な転職活動に繋がる機会も増えることでしょう。

ファンド間でのセカンダリー取引や、複数のPEファンドによる共同投資案件、また数多くあるPE業界のカンファレンスなどで、同業他社の経営陣に会う機会は作ろうと思えば、いくらでも作れる業界でもあるのです。

よって、ディールソーシング、バリューアップ、ファンドレイズなどの経験を数年できるならば、別に「長期的にそのファンドが次のファンドレイズをできるかどうか」に過度にこだわることなく、数年間経験を積んで次のよりよいファンドを目指すステップにする、という選択を取る人も、少なくないのです。