プライベートエクイティファンド転職時、絶対知るべきファンド間の違い7大ポイント

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当サイトにはマッキンゼーやゴールドマンサックスなど、コンサル・投資銀行社員の皆さんが、プライベートエクイティファンドへの転職準備のために多く訪れられます。またプライベートエクイティファンドから他ファンドへの転職を志望される方も、数多く登録されています。それでは、数あるプライベートエクイティファンドは、どのような観点で分類されるのでしょうか?その基本的な7ポイントを解説します。

1.ローカルファンドとリージョナルファンド、グローバルファンドの違い

まずは、当該ファンドが特化している市場です。ユニゾンキャピタルやアドバンテッジパートナーズといった、日本発で日本に投資しているのが、ローカルファンドと呼ばれます。

KKRアジアやベインアジア、CVCのように(日本に特化したファンドを同じGPが持っていることもありますが)、アジアなど地域一帯に投資するのが、リージョナルファンドと呼ばれます。

また中には、一つのファンドからグローバルに投資するグローバルファンドと呼ばれるファンドもあります。

どのタイプのファンドで働くかで、投資先の国や種類がずいぶん変わってくることになります。

たいていはローカルファンドのほうがその市場での専門性が高いはずだからリターンが高いはずと言われがちです。しかしリージョナルファンド、グローバルファンドで安定的な高リターンをあげるファンドもあり、有意な差はないように思われます。

2.独立系ファンドと、キャプティブ系ファンドの違い

独立系とは、上記で述べたユニゾンキャピタルやアドバンテッジパートナーズ、またJ-Starやインテグラルのように、どこの金融機関や財閥グループにも属さない、文字通り独立系のファンドを指します。

彼らは、親会社やグループ会社の意向に左右されず、リターンにフォーカスすることができるので、海外投資家は一般的に、独立系ファンドへの投資を好みます。

これに対しキャプティブ系ファンドの事例としては、たとえばみずほ系や伊藤忠系といった、銀行系、総合商社系、生命保険会社系など多数あります。

一般的にはグループ会社や親会社の戦略的移行に左右され、金融リターンの最大化という意味では弱いと言われがちです。

しかし一方で、東京マリーンや日本未来、アントキャピタル(これはほぼ独立しているようなものですが)のように、遜色ないリターン実績を有するファンドも存在します。

3.サイズの違い~スモールキャップファンド VS. ミッドキャップファンド VS. バイアウトファンド

100億のファンドサイズで一件当たり5億~20億の投資をするスモールキャップファンド、500億程度のサイズで、一件当たり50億~100億の投資をするミッドキャップファンド、1000億越えで一件当たり100億~200億の投資をするラージキャップファンドに大別されます。

一般的に、ファンドサイズが大きくなればなるほど、サイズの大きなリージョナルファンドやグローバルファンドとの価格競争になりがちです。

結果としてエントリーバリュエーションが高騰する傾向にあります。

4.戦略の違い~バイアウト VS. グロース VS. ディストレスド

成熟期にある企業を100%ないし支配権を買収するバイアウト、成長中の企業のSignificant Minority(投資前に、どのような項目は自分たちの合意が必要かといった、株主間契約で縛りをかけることもある)投資をするグロースキャピタルの数が、大きく増加しました。

また債務超過案件のバランスシートをリストラし、既存株主を吹き飛ばして優先株などで入るディストレスド戦略など、プライベートエクイティファンドでも、その投資先のタイプによって複数のファンド戦略タイプに分かれます。

5.フォーカスセクターの違い

レストラン、小売り、医薬品、ラグジュアリーグッズ、自動車部品、造船子会社などなど、過去の投資実績でトラックレコードが良かったところに、同じような案件が持ち込まれる傾向にあります。

結果的に過去成功した投資領域が徐々に得意分野としてファンドの特徴を決めていく側面があります。

6.バリューアップ戦略の違い

ガバナンスの改善を中心にするPEファンド、競合買収で市場シェアを一番にする作業を中心に行うPEファンド、コストカットやノンコア資産売却などリストラ型のPEファンドなど、いわゆる「バリューアップ戦略」のタイプに大きな差があることがあります。

また中には投資チームとバリューアップ戦略チームが分かれていたり(KKRとKKRキャップストーン。大型グローバルファンドや中国の大型ファンドも、同様の組織分割)、アジア進出支援を投資テーマに掲げていたりと、志望されるPEファンドのバリューアップ戦略の特徴は大きく異なりうるので、その違いをしっかりと踏まえたうえで、転職のアプライしましょう。

7・LPベースの違い

LPが世界一流の欧米年金や大学基金、ファンドオブファンズといった洗練されたブルーチップ投資家に支えられているファンドと、国の政策を受けて動かざるを得なくなった国内投資家が、未経験者の社員に急ぎで投資させた資金に支えられているファンドでは、レピュテーションと今後の長期間の安定的資金調達動向に大きな差が尽きます。

むしろ、LPの名前を見るだけで、そのファンドの世界的なリアルランキングが分かるといっても、過言でないかもしれません。

以上、数あるプライベートエクイティファンドの中から自分にフィットしたプライベートエクイティファンドを考える際のご参考にしていただければ幸いです。