プライベートエクイティ複数社から内定を獲得ー給与交渉すべきか?

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入るのが難しいプライベートエクイティ業界ですが(といってもファームによりピンキリなので、逆にオーバースペック過ぎると、頑張って長くやってくれないと思われて内定がでないことも。)運よく複数の内定を貰う人がいます。こういうとき、給与を双方に競わせて、給与を押し上げるべきでしょうか?

プライベートエクイティ複数社から内定をもらったら給与交渉するべき?

プライベートエクイティファーム複数社からめでたく内定をもらったあなたは、多幸感と自己高揚感に包まれる。そしてそれまで条件など関係なく御社から内定が出れば即、二つ返事で入りますとか言っていた割に、突然給与交渉モードに突入するのだ。

そして、「今のベースは低いですが、来月昇進するので+300万です。競合他社はベース1500で、ファンドレイズが成功すればそれにさらに上乗せ、あとキャリーも若手に多く出すと言ってくれています」云云かんぬんと、不確定で怪しげな話を繰り出し、給与を上げようと交渉を始めるのだ。

実際に海外ビジネススクールの授業でも、給与交渉する人としない人では、生涯所得の違いがあることが示される。しかしこれら「給与交渉のインパクト」データは欧米のデータであり、日本のデータで示されたものではない。そして日本の事例で言うと、やはり奥ゆかしい人が好かれるので、資本主義の象徴的な業界であるプライベートエクイティ業界とはいえども、入る前からの給与交渉はあまり好かれるものではない。(もちろん、貴方の交渉力と相手の出方次第ではあるので一概には言えないのだが。)

こんな時、まず間違っても言ってはならないのは、現職の給与などで嘘をつくこと。これは年金手帳の引継ぎとかで一発でバレる嘘なので、気を付けよう。なお、他社が高い給与を出してくれていると間違った言い方で言うと、「ならそっちへいけ!」とへそを曲げられ、オファーが取り消されることもある。

また入口のところで給与交渉でベースをあげても、パフォーマンスが低ければその分ボーナスで調整されるだけだと、私の勤務先の上司は言っていたものである。活躍できなかったときにベースの下げられない給与が高ければ、その分クビになるリスクが高い報酬体系を設定してしまっている、と言い換えることもできる。

なお、この夏から今のアソシエイトからマネジャーに昇進しますとか言っときながら、その時を迎えてもタイトルと給与が変わらない人がいる。このようなホラは、印象が一発アウトになるのでくれぐれも気を付けよう。

給与交渉は、アドバイザーに頼む?

給与交渉をしたいときは、こういう時こそ、業界スタンダードとレンジを知っていて、交渉相手の各ファームと緊密な関係を築いているエージェントが、珍しくその有用さを発揮する局面でもある。

給与交渉という時に気まずい役割を、転職候補者への印象を落とすことなく、「私が勝手に忖度してこれを相談させて頂いているのですが、、、」などと自分のせいにして、間違っても候補者への印象が悪くならないように気を付けつつ上手く立ち回ってもらうことで、2割程度の増額を達成というのは、そう珍しい話でもないのだから。

もちろん、アンダーバリューされている時にフェアバリューに高めるという意味で、オーバーバリューされている時や、フェアバリューされている時に2割無理矢理上げるといったわけではないのは、言うまでもない。この手の給与交渉は、フェアバリューから著しくかけ離れている時のみするべきで、自分が発揮できるバリューより高く貰っても、「なんかわりに合わないねこの人」というのがバレて、いづらくなるのは自分自身なのだから。