プライベートエクイティ転職後、手っ取り早くパートナーに昇進する3パターンとは?

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新規ファンド設立及び、既存PEファームのファンドサイズ拡大が続く2021年のプライベートエクイティ業界。ところで入社後に順調に出世して30代で早々とパートナーに昇進して自由を謳歌する人と、大手ブランドPEファームに入ったはいいものの、優秀な社員が多いわりに投資リターンはパッとせず、ファンドサイズが小さくなっていくのに上は詰まっていて、何時までもディレクター止まりで終わる人の違いはどこにあるのでしょうか?以下に解説致します。

プライベートエクイティファンド各社がファンドサイズを大きくし、かつ新規ファンド設立が相次ぐ2021年。プライベートエクイティ業界で働く方も随分増えてきましたが、パートナーまで昇進して自由とリターンを謳歌できるのはひと握りの、①有能なやり手か、②機を見るに敏であった人を見る目のある人か、③有能な上司か友達にたまたま引っ張ってもらった、ラッキーなお調子者です。

以下では有能な競争相手がひしめくプライベートエクイティ業界で早期に頭角を現す人々の3大パターンを解説致します。

1.新規ファンド創設時に、創業パートナーについていく

まず若くしてPEファンドのパートナーになれる人の最も多い事例が、PEファンドの創業時についていくケースです。

これは日本に限らずどこの国のPEファンドでもそうですが、ゴールドマンなりモルガンスタンレーなりカーライルなり、大手名門ファンド(一昔前は投資銀行も社内にPEチームを抱えていたのです)で活躍していたスターバンカーがファンドレイズして独立する時に、ついて行くのです。

このような場合、アソシエイトだったのにいきなり30そこそこでエグゼグティブディレクターなど、立派そうな名前で創業チームに参加できるケースが多いです。

このようなときは、既に前職で上司との相性も証明されているので、順調にファンドレイズが出来れば上が詰まっていないだけに、早期昇進のチャンスが大きいのです。

あなたが仮に今、TPGなりKKRなりカーライルなり大手ファンドで年収5000万+キャリーの好待遇で働く30歳だったとしても、「この人しかPE業界で勝たん!」というスター選手が自身のファンドを設立するときは、思い切ってブランドを捨て、キャリアリスクを取ることを考えましょう。

2.ファンドとチームサイズが小さいときに転職する

上記の「ファンド創業期に連れて行ってもらう」に本質は近いのですが、まだファンドとチームサイズが小さい時から入ると、創業パートナーは恩義に感じ、ファンドが成功した時にその忠誠心に報いようとしてくれるものです。

PEファンドは特に、最初立ち上げる時のファンドレイズが最も苦労します。よって、ファンド創設当時の苦楽を共にした人は、アカデミアでいうところの「テニュア」みたいなイメージで、終身パートナーになっている人が多いのです。

実際のところ、現在の日本を代表する大手ローカルPEファンドの第二世代パートナーたちは、そのようにしてファンドが小さいころに入った人々です。

今でこそ1000億越えのPEファーム各社がまだ一号ファンドで20億や50億規模だったときに、前職からの年収を半分以下に割り込んででも早期参画するリスクを取ったのです。

ただしもちろん、数十億で始まって、数十億で終わってしまうファンドに入ると、大したことない給料で長年、売却できない(出来てもコスト割れでキャリーなどもっての他)敗北案件にどっぷりつかることになります。

すると、次号ファンドでファンドレイズが出来ず、最後は中小MAアドバイザリーブティックファームとして、超冴えないキャリアが待ち受けていることも。

小さいファンドに入るときは、特にそのファンドの将来性を見定めることが非常に重要になるのです。

3.LP投資家か、優良案件をエクスクルーシブで引っ張ってくる

これはPE業界のプロフェッショナルの2大重要ロールなわけですが、どのファンドも結局のところ、LP投資家の資金を引っ張ってきて、それを優良案件に投資して目標リターンを挙げるという「PEの仕事の本質」に、誰が見ても明らかな貢献をしている人は、パートナーへの出世も早いです。中でも、アグレッシブなLPA(Limited Partners Agreement=PEファンドへの投資契約書)を要求する、小口なのに煩い投資家を避け、黙ってボンと放っといてくれるわりに大口のブランドLP投資家を引っ張ってこれる人は最強です。

ないし投資側では、競合他社がオークションのおなじみ案件を激しいビッドでEBITDA倍率12倍くらいまで高めている時に(修正EBITDAでは8倍とか、無理なロジックこねくり回して、適正価格で買ったと言い張りがち)、プライベートな人間関係で鮮やかにEBITDA4倍くらいでエクスクルーシブ案件を持ってくる人は、その後全く仕事をしなくても、何年もパートナーとして居続けることができます。

以上、どのパターンを経るにしても、結局のところ「競争が激しくない初期段階で、リスクをとってエクスクルーシブな案件成立に持ち込む」ことができるかどうかが、PE業界でのパートナー獲得競争の命運を決めるのです。