ゴールドマンサックスIBDでまだ入社直後・・プライベートエクイティ転職は可能?

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ゴールドマンサックスに、なんとなく入ってしまった人は意外と少なくありません。やれ大学の先輩に誘われた、やれ証券会社でインターンしたら面白かったので、どうせならとゴールドマンを受けたら受かった、やれ、なんとなく憧れて受けたら受かった、等々。。しかしIBDで、コロナ明けの御時世でも深夜や明け方までのオフィス勤務が続く中、「金融は面白いけど、GSはちょっと、、、」そんな理由でプライベートエクイティ転職を考えるあなたに捧げるコラムです。

ゴールドマンサックスのIBDの仕事は、長い。長いだけだといいのだが、忙しいときは、そして大抵忙しいのだがパワーポイント資料を作ってくれるアシスタントを使うこともできず、アナリスト、アソシエイトが日々、フォント直しとカラーを整えることに執念を注ぐ毎日を深夜早朝まで続けることになる。

プロダクトチーム、とくにM&Aチームで鍛えられれば、財務会計やモデリング(できればファイナンシャルスポンサー案件に絡んでPEのLBOモデルも在職中に障れるようになっておくと、その後有利)、ドキュメンテーションや弁護士、会計士の使い方など一連のディールの流れが学べるのだが、悲惨なのは、案件もとれないクビになる直前のバンカーにくっついて、営業回りに神経と人生をすり減らしたわりに、別にスキルと呼べるものがあまりつかなかったというパターンである。

給料は、新卒1年目の割に、さっきまで学生だった身としては破格の給料に思えることだろう。いきなりベースは1000万で、最初の年は夏のボーナスまで3か月分とはいえ、100万上乗せされる。実は他社のトレーディング部門とかだとこれより労働時間はよっぽど短く、かつ数百万給料が高いのだが、20代の時の年収数百万の違いなど、後々考えれば実に微々たるどうでもいい誤差である。

さて、週末だろうと休日だろうとIBDの仕事に人生を捧げるには、よっぽどこの仕事が好きで納得しているか、よっぽど従順で、上から言われたことをただこなすことが意外と苦でないか、よっぽどお金が必要で、苦しくても溜まるまで頑張ると決意しているかのどれかであろう。

逆に、「あれ?この仕事にここまでコミットできないな、、、」と感じるのは、①特に関心はなかったが偶然受けたら学歴と地頭がいいのでそのまま入社することになったものの、②もともと主体性が強い方で、言われた仕事をこなすだけの下っ端作業は嫌だが、③主体性を発揮できる(というか、仕事の大半が偉くなった友達とディナー食べてゴルフ行ってるだけ)のMDになるまで15年を費やすのはまっぴらごめん、等と思い、「少し上のアソシエイトやヴァイスプレジデントが、たいしたことない人生を送っていないことに「将来、こうはなりたくない」と思ってしまっている方々である。

ゴールドマン、クビになる前に高値で自分を売れ!?

御存じのよう、現経営陣の下でリテールバンキングに進出しようとして大失敗し、ニューヨーク本社で多くの幹部社員が他社に流出してしまったこの御時世、次のボーナス査定の時に、給与カットを受け入れざるを得ないのは、貴方が他社に移れば会社に大打撃が加わるようなスターバンカーでない限り望み薄だ。かつクビになると面接先の企業が足元を見てくるので、給料の低下率も拡大しがちである。そんななか、金融、コーポレートファイナンスの仕事は面白いが、外資系投資銀行のIBDでそれを続けるのはつらい、と思っている人は少なくない。

しかし、まだ3年間のアナリストプログラムも終わっておらず、下手したら入社して1年もたっていない人が、経験豊富な若手バンカーが押し寄せるPEファンドへ転職できる可能性はあるのだろうか?

結論から言えば、ある。ファンドサイズが順調に積みあがっており、また内部昇進が順調に進むファームは常に、優秀な若手人材を雇い入れたいと考えている。日本の大学が、まったく勉強しないがスクリーニング効果で「ある程度優秀な人材」という保証機能が求められているのと同じで、ゴールドマンのIBDに入って、一年後の評定でまだクビにならなかったということは、全く使い物にならないわけではないという一抹の安心感を雇い手に提供する。

またLBOモデルをまわすのは、別に現在完全な知識やスキルがなくても、とくにロケットサイエンスでもないので実はそんなに難しくないため、十分キャッチアップできると思われている時もある。実際バイアウトファンド次第では、モデルテストがないことや、多少できなくても「まぁ、この経歴だと仕方ない、入社後トレーニングしたら、いいか」で通過するファームもあるのだ。

むしろ20代前半のプライベートエクイティ転職は、伸びしろポテンシャル採用だけに、行動特性の本質的なPE業界へのフィットが見られる。また大手投資銀行と異なり、社内トレーニングリソースが少ない(というより、やろうと思えばやれるのに、別に自分の報酬に跳ね返ってこないからか、やってくれない。ないし、PEは自分がやらなければならない仕事以外、外部にアウトソースしてそれをマネジメントする仕事なので、ノンコアなモデル教育などは自分でやりたくない)ので、自分で勝手に勉強して学習速度が速そうかが重要である。

あとは「何故プライベートエクイティ転職志望か?」「なぜ弊社志望以下?」という、聴かれても困る質問(なぜなら本音は、多少給料下がってもいいけど大台は切らず、20時には家に帰れる普通の生活がしたい、に尽きるから)に、限られたディール経験をなんとか膨らませて実体験に結び付けながら、賢げかつ可愛げたっぷりに話せるかどうかにかかっているのである。