トヨタ自動車を飛び出して、コンサル転職志望の若手が急増10大理由とは?

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日本を代表する世界のトヨタ。その自動車市場でのリーダーシップとポジショニング、またメードインジャパンを代表する世界的メーカーとしての名声が、多くの優秀な若手を惹きつけています。しかしながらいざ入社すると、豊田市という田舎でトヨタグループの人に囲まれ、大企業の一部の一部を担当する裁量権のない若手として20代を過ごすことに警戒心を抱き、コンサルや外銀、他業種に転職する人も数多く存在します。トヨタ自動車の問題に象徴される、伝統的大企業日本メーカーに就職した時のダウンサイドリスクとは?以下に解説します。

トヨタ自動車はズバリ、よっぽど車好きで田舎暮らしOKで、安定終身雇用志向でない限り、トップティアの若手にはお勧めできない10大理由

1.高い配属リスク

日本の大企業特有の問題ですが、車好きで消費者へのインパクトを見たくて、ないしワクワクするような車を作りたくて入った人が、配属リスクの高さに涙するケースが多くみられます。

まったく関係ない内部管理のポジションに配属されたり、事例で東南アジアに駐在を命じられたりと、希望が通らない配属への不満をもつひとが、数多くいます。

2.最初数年は、ほぼ上がらない給料

新入社員から1000万円支給されたり、入社翌年から100万~200万ずつ上乗せされる企業も多い中で、トヨタは勤勉に働く発給の若手が、何もしない大量のおじさんを支える「日本の縮図モデル」と揶揄されています。

日本を代表するメーカーにして、入社後数年は給料がほとんど変わらないという、不思議な報酬体系がとられています。

3.社内での社員同士の無意味研修

社員研修が多いトヨタですが、その大半は社員同士で行う我流の社員研修です。

その時間の長さと有効性の怪しさには定評があり、「こんなことやっていていいんだろうか」というトヨタ社員の問題意識に繋がっています。

(たしかにトヨタはいろんな研修会社の大手顧客として登場する、研修好きの会社なんですよね)

4.拘束時間の長さ~狭いトヨタ人間関係の中での濃密な飲み会

トヨタ自動車に入れば、その6割はかなり田舎にある豊田市、残りの大半が名古屋、そしてごく一部が東京という配属です。

東京暮らしに慣れ、次はニューヨークかロンドンか香港かシンガポールといったグローバル路線を希望する方には、まさに正反対の超ローカルな勤務地になってしまいます。

また豊田市はトヨタ自動車の城下町になっているため、そこに住む人やサービス提供企業がほぼすべてトヨタ系列です。

結果的に自分の人生、世の中がトヨタ色に染められ、トヨタグループで完結してしまう「世界の狭さ」に問題意識を抱き、他社に転職を志す人がいらっしゃいます。

5.イノベーションを潰す文化

最近のミレニアル世代は、若い時分からイニシアティブをとって裁量をもって仕事に向き合い、自分起点にイノベーションを起こしたいもの。

しかしトヨタでは、自分が担当する細分化された一部の業務に関する改善点のレポートは常に求められるものの、大きなイノベーション、やり方の変更を唱えても、徒労に終わることが多いです。

昔からのやり方に慣れ、やり方を変えても別に報われないミドルマネジメントから大反論をくらい、イノベーションの芽が摘まれがち。

これがイノベーション志向の強い社員の落胆に繋がっています。

6.圧倒的に「他人事」意識

巨大企業で業務と責任範囲が細分化されているため、この色に染まってしまったトヨタ社員は、リクルートがいうところの「圧倒的自分事意識」の反対、つまり「圧倒的他人事意識」を培ってしまいます。

結果的に何か仕事が降られそうなものならば、「それは私がやるべき仕事なのか」とはねつける人が大量発生。

少しでも自分の職務から離れたことは即ブロックする官僚的文化が強まってしまっています。

7.急増する「働かないおじさん」~解雇と降格なき、年功序列・終身雇用の成れの果て

トヨタ自動車で働くうえで、安定志向の人にとっては最大の魅力が「解雇されない終身雇用」と、パフォーマンスにかかわらず給与が上がっていく「年功序列」です。

結果的に何もしなくても1000万以上安定的にもらい続ける中堅以上の社員が非常に多く、降格も解雇もありません。

結果的に彼らの慢性的高所得を、発給の若手社員が支える逆ピラミッド構造が定着してしまっています。

8.強まる創業家個人崇拝~偉大なるトヨタの首領様は、イーロンマスクに勝てるのか?

最近はテレビCMでも目にするようになったトヨタタイムズ。

メディアに出たがり、目立ちたがりと揶揄される一方で、社内では「いま社長が何を考えているか」を考える姿勢の浸透や、社長への忖度姿勢が強まり、近年の創業家崇拝のノリについていけないミレニアルの失望の声がよく聞かれます。

異業種との競争激化、EV化、人工知能化、自動車からモビリティソリューションプロバイダーへの転換など多くの転換が叫ばれる自動車業界。

そんな中、果たして血縁人事がはびこり、創業家という理由で社長に登用された経営者が、イーロンマスクとの競争に勝てるのか、不安視する向きも根強く残ります。

9.納得できない人事

前述の通り、血縁や「上司に気に入られただけ」「人脈で昇進した」などの、人事評価に対する不満が多く聞かれるのも、残念な特徴の一つと言えるでしょう。

10.巨大企業特有の縦割り組織と果てしない社内調整

マッキンゼーや有力スタートアップがスピード、インパクト、合理化、風通しのよさを重視した経営を強める中、トヨタ自動車は昔ながらの縦割り組織と、階層が多いことからくる、時間がかかりすぎる社内調整プロセスに多くの若手が疲弊しています。

合理的でスピーディな組織運営を望む人には、向いていない会社だといえるでしょう。

そんなトヨタでも、さすがは世界のトヨタ、向いている人はこんな人

これまで、トヨタ自動車からコンサルや外銀に転職を志望してストロング・キャリアに登録される方の典型的転職理由を解説してきました。

しかし中には、トヨタ自動車でのキャリアが向いていて、トヨタ自動車での勤続が幸せなタイプも存在します。

その特徴は、

①自動車好きで、仮に局地的な役割で自分の裁量が限られていても、車づくりに携わっていたい

②東京・都会暮らしに別にこだわりがなく、実は名古屋、トヨタ市でひつまぶしと味噌カツ三昧の暮らしも悪くないと思っている

③企業城下町でトヨタグループの一員として終身雇用・年功序列の安定的な暮らしを志向している

④「トヨタが惹きつけるタイプの優秀な人材」に満足できる⑤トヨタの古き良き時代は、自分が勤める40年間も継続可能である

と思われる方にとっては、最高の職場の一つと言えるでしょう。