
マッキンゼー、ベイン、ボストンコンサルティンググループのいわゆるMBBに比べ、買収されたブーズ、日本ではプレゼンスの弱いオリバーワイマン(ヨーロッパ、中東では強い)とともに、Tier2ファームとして知られています。しかし日本では、実はBCG,マッキンゼーに次ぐ第三のサイズの外資コンサルファームです。その”大規模でもないが小規模でもない”立ち位置の特徴をまとめます。トップティアとサードティアの間にある中規模ファームならではの特徴とは一体?
ATカーニーは一言でいうと、MBBのTier1、また安価な日系・総合系ファームに挟まれた、中規模Tier2ファームです。
しかしグローバルでの位置づけより日本でのプレゼンスは高く、実はMBBの一角ベインより、日本での人員は多いほどです。そんなTier2ファームの雄・ATカーニーへの就職・転職を考えるうえでの、他ファームに比較した5ポイントを以下に記載します。
1. オペレーション(コスト削減)での強み
ATカーニーは実はマッキンゼーからよりオペレーションに特化したファームとして分化したのが出発点でした。コストカットプロジェクトには定評があり、不況局面でも戦略ケースの鈍化を補うケースが多くあります。
(ただし志望動機として、”私はクライアントの無駄をカットしたいのです”というのは使いづらいので、あくまで特徴の一つとして認識してください。)
2・幅広い安定的なクライアント層と特定分野での強み~日本ではグローバルに比べて大きい
ATカーニーはグローバルではいわゆるセカンドティアですが、日本ではファームサイズも100人を超え、MBBの一角ベインを凌ぐサイズに成長しました。
これは幅広い顧客層に加え、エネルギーや金融分野などいくつかの業界での強いプレゼンス、また定評のあるオペレーション改善パッケージで、高いリピーター率を誇るからです。
実際に財閥系などキークライアントをどっぷり取り込んだ古参のパートナーが売りまくるので、案件に困ることはなく、様々な経験を積むことができます。
3.新卒優遇で中途コンサルの見切りが早い~回転率の速さと、愛社精神の低さ
ここからがチャレンジです。コンサル市況が良いのでどこのファームもプロジェクトを断るくらいリソースが足りていないのですが、150人、200人体制を目指そうと一挙に採用拡大に舵を切ったために、適正が必ずしも高くない中途が増えました。
新卒は長い間見てくれる会社ですが、中途採用組には冷たいという評価が多く(実際に私の後輩で中途でATKに入った人も、1年未満で不本意な辞め方をしました)、マッキンゼーなどに比べて愛社精神に欠ける人が多いのも特徴です(優遇される新卒は別ですが)。
4.ブランド名の弱さ~MBBに勝てないポジショニングの弊害
これはATカーニー永遠の課題ですが、ブランドが弱く、プレミアム価格もとれないので、トップティアの水準をMBBと争って引き付けることができません(実際に私の友人も、ATカーニーから念願のマッキンゼーに転職して大喜びしていました)。
結果的に上述のように、拡大局面ではセカンドティアなタレント比率が高まり、それに疲弊を感じて経験豊富な中堅が退社し、規模拡大に失敗するサイクルが繰り返されています。
しかしこのパターンは中堅ファームが100人の壁、150人の壁を日本市場で超えるときに付きまとう課題であり、いまだに50人規模から大きくなれていないサードティアの外資ファームに比べれば、セカンドティアのトップにまで成長できた、とポジティブに言い換えることはできるでしょう。
(むしろ、そんな段階のファームだからこそ、ブランドと組織力を強めてトップティアの一角に食い込む支援をしたい、などと青臭い意気込みを語ってみる人もいます)
5・トップティアとサードティアの間にある中規模ファームならではの特徴
これまで述べてきたポイントは、ATカーニーの”中規模のトップファーム”という微妙な立ち位置に紐づくことが多いのですが、そのために志望動機が作りにくいファームであるのも確かです。
言い換えれば、「なぜMBBでなくてうちなの?」と聞かれたときに、正直に「MBBでは書類選考にすら通らなかったからです」や、「面接で玉砕したからです」などと正直に答えるだけでは、印象が悪いのは当たり前でしょう。
かといって、幅広い顧客層、優秀な人材、激務だからこその成長の機会、などは、どこのファームも標榜するポイントです。そんな中、しいて志望動機にポジティブに結び付けられるポイントとしては、
①若手の裁量の大きさ(大規模ファームでないため)
②日本でのプレゼンスの大きさ(国内ではトップファームです、と言い張ってみる)
③実行へのこだわり(母体もオペレーションコンサルですが、常駐案件も多く、実行可能性にはこだわりのあるファームです)
そして、もしあなたが新卒なら”新卒を大切に育てるカルチャー”を上げることができるでしょう。(ただし相手が中途で、新卒優遇に怒りを感じているコンサルタントであれば、こんなこと言ってはいけないので、気を付けましょう。)