
起業やスタートアップで必要なスキルやマインドセットとは使う脳の筋肉が違うコンサルファームでのお仕事。そんな中、起業を目指す人がコンサルとしての仕事に取り組む上でのポイント、注意点とは何なのでしょうか。
またコロナ+(仮に実現したとして)東京オリンピック後のさらなる不況でコンサル業界が厳しくなるなか、何を志望動機でいえばいいのか御悩み中の方からのキャリア相談に、お答えいたします。
戦略コンサル志望動機~将来起業を目指す人は、コンサル志望動機をどう言うべきか?
質問
よく言われる、新卒でコンサルに入社し数年経験を積んでいざ起業をした時に、自ら生み出す事をしてこなかったコンサルタントは事業を実際に自分でやる時に苦労する、という事があると思いますが、今から新卒でコンサルに入社し、将来起業を志す場合、仕事に取り組む上でのポイント、注意点などお伺いしたいです。
また、東京五輪(2021年に実行されるとして)以降に予想される日本経済、世界全体のさらなる悪化を考えた時、やはり真っ先にクライアントがカットするであろうコストはコンサルタントフィー、広告料などの間接的なものだと思われます。
このような状況を考えた時に、この経済不況の煽りを受けるのは他業界よりも何よりコンサル業界なのではないかという思いがあります。
そんな中であえてコンサルタントを志望する理由(志望動機にプラスするもの)として「こんな経済状況にさらされている、大きな問題を抱えているからこそ、この状況を変えるべくクライアントの問題解決をしてきたい」というような答えしか用意できずにいます。
実際にそう思っているのが事実なのですが、この理由 では他の学生との差別化が謀れないと思っています。
この現在の経済大恐慌の中であえてコンサルを志望するアピール力のある理由、今の経済状況におけるコン サルのあるべき姿などの話も踏まえてお聞きできればと思っております。
講師による回答
複数の御質問を頂きましたので、分けて答えさせていただきます。
コンサルからの起業におけるポイント~将来の起業準備のために、どのようなコンサル生活を送るべきか?
コンサルタントとしてのスキルは企業経営のスキル(産業や分野、規模にもよりますが)と異なる点も多いのです。とくにスタートアップとなればなおさらです。
たとえば”ぶつぶつフレームワークとか分析の軸とか200ページのレポートつくる前に、とにかくお客さんに会ってハートをつかんでこい!”という点がすぐに思いつく違いの一つです。
また、数か月かけて仮説検証などと悠長なことを言っている場合ではありません。数か月たつとすでに環境も機会も変わっていることも多く、とにかく動きながら考え、修正できる敏捷さが重要なのです。
なお起業を意識しながらコンサルで仕事に取り組む際は、第一にクライアントが将来独立した時のお客さんになってくれるように直接的な人間関係を築けるよう信頼を勝ち取ることが重要です。(実際、コンサル時代に独立後の客を確保してから辞めれる人は、強い。)
第二に、ファームを離れた後も古巣やアルムナイに相手にしてもらえるよう、社内での名声を高めることも大切です。
第三に、コンサル中野プロジェクトに関してはできれば営業系や、現場に送ってもらってクライアント先の名刺を貰って一緒に現場でオペレーションをする、系のプロジェクトに入れてもらえれば、相当起業に役立つことでしょう。
ちなみに将来、経営者として大成するには、エゴンゼンダーのコンサルタントなどもよく言っていますが、若いころにPL管理、大きな組織のリーダー経験、新規事業立ち上げ、停滞部門のリストラなどを経験していることが重要なので、これらの経験に繋がるプロジェクトに入れれば、より起業での成功への助けになるでしょう。
差がつく志望動機?~志望動機は「他社と差をつける為」に語るのではない!
コンサル志望動機ですが、まず「差をつけるための志望動機」という考え方が頂けません。「アピール力のある志望動機」を他人に聞いても仕方ありません。
志望動機は他者と差をつけるために語るのではなく、自分が何故その仕事を志望するのか、自分の納得感を高めるために自問するものです。
同じ志望動機でも、その人の原体験やバックグラウンド、これまでしてきたこととの整合性と一貫性が無ければ、言う方も聞く方もむなしく苦痛の面接時間になるのは、目に見えているのです。
また実際は自分は志望していないのに、受験勉強のように”会社受けする志望動機”をコピーして語ったところで、たいていは無駄に終わります。面接に迫力が出ないのは当然の事ながら、首尾よく入っても、納得感が低いので、たいして活躍できないでしょう。
コンサルの志望動機は抽象化するとしょせん同じようなパターンに集約されるので、その主体的で抽象的なメッセージに真実味と迫力を与える、具体的な原体験とそこからの正直な教訓が重要になります。
コロナ時代、オリンピック後に求められるコンサル像とは?
なお御時世を鑑みますと、日本の構造的な不況に加え、コロナショックとデジタル化の遅れ(行革担当相がハンコ廃止を突然打ち出し始めましたが)、米中対立によるサプライチェーン再編など課題が山積みなので、チェンジエージェントになれるコンサルの役割は、潜在的に非常に大きなものがあります。
いまの経済状況を鑑みたコンサルのあるべき姿といっても、コンサルの仕事は幅広いので、結局は「必要とされているからやる」という需要充足型の志望動機ではなく、「自分はこれがやりたいんだ」ないし「学びたいんだ」という本当の志望動機を語るのが、貴方の言葉の力と重みを最大限強めてくれることでしょう。