
IBD,株式調査部、株式営業部では仕事内容やその適正はどう変わってくるのでしょうか?IBDのビジネスモデルは顧客に起業売却や買収、資金調達のマンデートを貰い実行することです。バンカーはクライアント、上司、他部門、弁護士・会計士等との効果的なチームワークが求められます。株式調査部は、機関投資家から評価されるかが最も大切です。投資銀行部と異なり調査活動自体は一人で完結する作業が多いですが、多くの投資家に売り込む営業の強みが求められます。営業は投資家からの評価とどれだけトレードさせたかが重要です。
投資銀行でチームワーク能力が超重要な簡単すぎる理由~各部門で必要な資質とは?
京都大学大学院 経営管理教育部YMさんより質問
投資銀行に関して、各部門での、求められる素質や向いている人材を教えてください。
投資銀行のジュニアバンカー、アナリスト、アソシエイトに求められるのは迅速な正確さと、従順さと、体力!?
ジュニアとシニアでは求められるものが大きく異なりますが、新卒対策のコラムという主旨を鑑み、ジュニアとしての資質について書きたいと思います。
まず投資銀行部は第一に、正確で迅速で1日14時間、リアルに働けること(しかも連日)が大切です。
第二に、上司には決して反抗しない従順な姿勢も求められます。
第三に、相当体力的にきついので、「なぜこれをしているのか」という志望動機の納得感が重要です。過酷な環境の中でモティベーションを維持するには、なぜこの仕事を選んだのかという納得感が重要なのです。
第四に、面倒な仕事をいとわず、しかもダブルチェック、トリプルチェックを怠らない慎重さも重要です。逆に”自分は細かいこと気にしないかも、、という大雑把な人は、決して志望してはいけません。
第五に、几帳面なチームワーク精神です。他部門と異なり多様なステークホルダーやサービスプロバイダー、同僚、後輩、上司との協業が必要なので、時間に正確、計画的、細心のコミニュケーションなどなど、大規模チームワークに求められる几帳面さ、責任感の強さが全体的に求められます。
投資銀行の株式調査部は、調査自体は自己完結型だが、大量の営業活動が待っている
株式調査部は第一になんといっても、人好かれすることが重要です。
投資家に四半期に一度人気投票されるのですが、そのポイントに連動してフィーが分配されるため、株を当てるなり、投資家に依頼されたデータやモデルを提供するなり、工場見学を手配するなり、番作つくして投資家に好かれ、信頼を勝ち取ることが重要なのです。
第二に、自分でレポート書いたり顧客にプレゼンするのが好きな人は、この点においては向いているでしょう。
第三に、やはり株価分析(企業分析との違いに留意)が好きな人です。
というのも、往々にして企業分析が好きでご自身の本来の役割である、機関投資家の投資判断を助けるという役割からかけ離れた方向に突き進むアナリストも中には存在するのです。
投資銀行の株式営業は、投資家ごとのニーズを把握し、それに応じた銘柄提案をすることが、機関投資家からの信頼獲得の基本
株式セールスに関しても似ており、第一に彼らは機関投資家と自社のアナリストの関係を良好に取り持ち、かつ機関投資家にサービスをしてポイントを貰うことが仕事ですので、とにかく人好かれすることが重要な仕事です。
第二に、株自体を好きでないと、朝5時に起きて6時出社、、という生活を続けられないので、自分は買いたい株があるのか、そもそもこの手の情報を常に集めて考えるのが好きなのか、自問することが大切です。
第三に、どの投資家にもとにかく電話をかけまくって、各投資家のニーズ関係なく部門長が勧めろといった株をひたすら話すだけの営業は、毎日何十本もの営業メールと電話に忙殺される(ボイスメール聞いているだけでも、まじめに全部聞くと毎日2時間くらいかかる)機関投資家には迷惑がられるだけです。
くれぐれお、”相手のニーズにカスタマイズしたい”という工夫に拘るようにしましょう。
第四に、やはり営業の仕事なので、モノやサービスを売るのが得意な人でないと、「ビジネスに繋がらない接待ばかりする」人になってしまいかねません。
投資銀行の全ての部門に共通する重要な基本的資質は、協調性とチームワーク
あとはどの部門にしても、チームワークできる可愛げのある人でないと、すぐに干されてしまいます。
投資銀行部でもそうですが、仕事の質や投資のアイデアなどでは、一部のスーパースター的存在を除き、同じようなレベルの人が競争に凌ぎを削る当業界では実際のところ、差がつきにくいのが実際なのです。(そもそもスーパースターではなくチームワークと仕組みで勝負するからこそ、投資銀行がバンカーに対して交渉力を持ちうるのだとも言えるでしょう。)
投資銀行に入ればどの部門に入るにせよ、上司、同僚、部下、セクレタリー、顧客、ビジネスパートナー等、多様なステークホルダーとの良好な関係構築を忘れてはいけません。
目下の人に威張りたくなる慢心を戒め、結局腰の低い人が最後は笑うことを肝に銘じて日々の業務に励まれることをお勧めいたします。