
戦略コンサルティングファームの現状と今後についてまとめました。質問への回答をまとめると、①実は結構楽 ②景気が悪くなってもそれなりに仕事が多いので、金融に比べミドルリスクミドルリターン (ただし景気後退時にコンサル予算が減るのは事実)です。
◆Question (東京大学教養学部 Iさんより質問)
私は、外資系コンサルティング会社への勤務を希望していますが、それに関して、2点確認したいことがあります。一つはスケジュール、今ひとつは経済状況とコンサルタントの相関性です。
まず一点目は、所謂仕事の厳しさについてです。証券会社などは、四六時中動き続けるマーケットについていかなければならないため、睡眠時間が極端に少ないなど、容易に想像できます。一方で、コンサルタントは、自分が関わって いる案件の山場の時だけ徹夜が2日3日続くというような「甘い」イメージしかもてません。私はある程度規則性をもって生活できるならば、睡眠時間が少なくなっても働いていける自信がありますが、実情を教えてください。
次に、経済状況とコンサルタントの仕事量についてです。一般に、コンサルティング代は、 非常に高く、企業にとって大きな負担になると考えられます。特に今日のような、金融危機に際した、長期的な不況が想定される場面では、勿論この不況を勝ち抜いていくために、多少の費用を払ってでもコンサルタントを雇う会社も存在するかもしれませんが、私は多くの企業が、コンサルタントの利用を控えるように感じます。この点に関して、実感などありましたらご教授ください。
◆Answer
何を基準に厳しいとするかですが、コンサルの仕事は楽しいですし(これは私に向いていたからですが)、プロジェクトの合間に結構長い休みをとれますし、トップファームの一角であればそうブラックではありません。
プロジェクトの合間などは暇な時は本当に暇で、出社時間も多くの会社で10時(ないし更に遅く)出社が許されていることもあり、総じてカチカチの日本企業よりもプライベートの時間はとりやすいです。
最近は優秀な若手コンサルタントを採用し、リテインするために、コンサルタントのワークライフバランスも、随分よくなりました。これはロンドンなど欧州オフィスで顕著で、マッキンゼーなどで東京からロンドンに移った人は8時には誰もいない生活、そして休みが1か月以上ある生活に大喜びです。
なお経済状況との関係に関しましては、一概にいえないのです。2019年終わりになっても続く長期景気拡大局面では確かにプロジェクトが順調に増え、多くのファームが規模の拡大に成功しました。東京ではBCGが勝ち組の中の勝ち組といえるでしょう。
また、コンサルは不況の時は不況の時で、リストラやコストカットのプロジェクトがあります。コンサルはビジネス・経済のあらゆる局面でやることがあります。当然リセッション期はクライアントのバジェットが減るので仕事は減りますが、金融機関に比べればリスクの幅は小さく、また転職するときも潰しがきくのは、間違いのないところです。
このように不況時もそれなりに仕事があることが、業種としてのリスクを減らしており、これが金融に比べてリスクが低く、アップサイドも低いことの業態的な理由ともいえるでしょう。