
コンサルでは平均何年くらいの在職期間が多いのでしょうか?その後どのようなコンサル後の転職先があるのでしょうか?コンサル志望者が投げかける超典型的な質問ではありますが、往々にしてコンサル在職中のモラトリアム期間中に、「自分がやりたいことが見つからなかった」などと嘆く人も少なくありません。しかし、別にコンサルで多くの産業を経験したところで、やりたいことなどたいていは見つからないもの。そんなときのポストコンサル戦略で大切なのは、「めっちゃ成功しそうなスター同僚」を射止める「コバンザメ戦略」なのです。
コンサル在職時のモラトリアム期間に、優秀な同僚に接近すべきたった一つ理由とは?
◆Question (慶應義塾大学大学院 理工学研究科 基礎理工学専攻 男性)
私は幅広いバックグラウンドの人たちと接することができ、組織のヒエラルキーをつきぬけた仕事ができるコンサルタントに魅力を感じ、コンサルを志望しています。新卒でコンサルティングファームに入ったら、一人前のコンサルタントになれるまで一つのファームで働いていこうと考えています。
その後の進路はまだ漠然としていて、コンサルタントとして働く中で方向性を決めていこうと考えています。
一般的にいって、コンサルタントは、一つのファームに一生いるわけではないでしょうが、新卒で入社後、どのくらいの期間一つのファームで働いているのでしょうか?
その後、起業したり、他業界に転職したり、というケースはどのくらいあるのでしょうか?
コンサルはキャリア・モラトリアムを過ごすには最適な仕事の一つ~超優秀な同僚へ接近せよ!?
コンサルに入る人の大半は、その後何をやるかはコンサルをやりながら考える人々ですので、あなたのような方は多くコンサル志望者の中にいらっしゃいます。
御質問に答えますと、一つのファームの在職期間は代替3~5年が多いです。これは一通りコンサルの動きを覚えるのに必要だったり、「コンサルから出た方が追加的な学びが多い」という域に達するまで、これくらいの時間がかかるからと、ファーム側も数年は退職勧奨までに見てくれることが多いからです。
コンサルを10年、15年と続けてパートナーを目指す人は稀で、一部を除き数年単位で転職します。
その転職先はクライアント企業に移ったり、投資銀行でファイナンスを学びにいったり、MBAに留学したり、プライベートエクイティファームに移ったりと様々ですが、30前半までであればトップティア・コンサルティングファームで働くことはその後のキャリアの選択肢を大きく広げるといえるでしょう。
私の同期は結構3年くらいでやめたかたが多いのですが、これはケースを一通り自分で回せるようになった段階でやめる、という感じでした。
その転職先は様々です。東大化学博士さんは東大の産学連携医薬品ベンチャーに行きましたし、京大オーケストラさんは某メーカーの財務部に転出し、そのまた三年後バイアウトファンドに転職しました。
他にはゲームソフトのベンチャーに入って、一年でまた保険会社子会社のベンチャーに、そこの優秀な社長に共鳴して入った人もいれば、他ファームに移った人、辞めたけどまた戻ってきた方など、様々です。
なお日本では最大手のBCGが大変好調で人手不足であることから、結構な人数がBCGに引き抜かれもしました。(引き抜かれたというより、自主的に応募して入った、というのが正しいですが。)
また、BCGからはプライベートエクイティやスタートアップのメディア会社に最近、友人が移りました。
ないし、社内でも特定の市場を経験できるオフィス(たとえば上海オフィスなど)に強く希望して転籍していった若い後輩も数人います。
なおMBB出身者の転職は、その後他業界に転職が大半で、外資金融と違い競合他社に移るケースは少ないです。
これは、MBBなど同じクラスならやることが同じで、Mで向いていなかった人はBでもまず向いていないからです(よっぽど上司とのケミカルフィットが悪かった場合を除いて)。しかし、デロイトなどBIG4から上位MBBを目指すケースは多々あります。
起業はご存じのように、非常に増えています。また資金調達に成功したスタートアップに入る事例も増えています。
これは伝統的大企業にはいっても上にいくまで人が詰まっているのにたいし、ベンチャーだと早めにはいれば特に実力なくてもCXOのポジションを得るので、その立場が自分を育ててくれる事例も多いからです。
また社長としても、”まだ人が誰も目向きもしてくれなかった時に入ってくれたのだから。。。”と、絶大な信頼感と厚遇を受けるケースが多いです。
この意味で、自分がキラキラスター選手ではないという自覚がある方は、コンサル勤務中に独立を画策しているスターコンサルと仲良くなり、彼について行ってCXOを狙うというのも、一つの生存戦略です。
実際にいま有名なスタートアップ企業経営者でも、おそらくコンサルやバンカーとしては大成しなかったところ、ついていく独立者の選択で成功した、という人もたくさんいるのです。いうならば、「グレートコバンザメモデル」とでも呼べる人々です。
コンサルは、求職者の多くにとって、モラトリアムインダストリーです。30代前半までは、まだまだ自分の価値観、情報、関心の幅を横に広げる段階です。
コンサルをやりながら様々なケースを経験し、自分に合うもの、やりたいことがどんどんわかってきて、全身全霊を打ち込める仕事(仮にそんなものない時は、少なくとも全力で付いていきたい同僚)に出会われることをお祈りいたします。