
外資系投資銀行への入社後、どのような生活が待っているのか、臨場感を出すために実際に私の上司が私に言いつけてきたことを思い出して、紹介いたします。
投資銀行に入社して1年目に行う実際の仕事内容を、上司の命令口調で再現!!
◆Question (慶應義塾大学大学院 理工学研究科 基礎理工学専攻 男性)
投資銀行に入社して1年目に行う実際の業務の詳細を教えていただけませんでしょうか?
◆Answer (セミナー講師より回答)
投資銀行部門入社後のイメージをつかむため、実際にどのような指令が飛んでくるのか、下に挙げてみましょう。
”佐藤君、明日の朝4時までに、スイスのガーウェンに電話して、うちのヨーロッパ市場での転換社債の実績、タバコ産業に限定してケースをできるだけ集めといて。あとそのアフターマーケットの株価の展開をインデックスと対比して、パフォーマンスがいいのをいくつか選んでおいて。“
“広田君、これ大和のカウンターパートと一緒に、セールスから投資家の需要を聞いてブックビルダーに打ち込んで、プリントアウトしたの朝会に報告しといて。”
“趙君、アンドリューがファミリーマートの財務部に会いに行くから、彼の下に一週間フルに入って。ピッチブックの提出あと一週間だから、それまで予定全部抑えておいてね。”
“永井君、日本の車メーカーのバリュエーション比較を、グローバルピアーで10社くらい選んでA社のディスカウント状況グラフで見せてくれる?”
“ちょっと!なんでこれダブルチェックしておいてくれなかったの!! 何回も言わせないで、ここに句読点入ってないし、ここも大文字になってない!!”
“ あとこのグラフは右下のほうが見やすいでしょ!!?? あとこのリーグテーブル、なんで2017年から2020年なの? 500億以上の案件だけ探せって言ったのに、これ380億になってるよね?? いい加減にして!!”
“おいおい、ここ会社のロゴがゆがんでるじゃないか!こんなの客先に持っていけると思ってるの?”
“このチャート、右にバランスが悪いよね。あとこの矢印、もっと大きく赤色で囲めっていっただろ!!”
“ちょっと、ここ改行しといてくれる? あとここの”てにおは“、佐藤さんと伊藤さんのコメント全部反映して、大野さんからチェック貰った後で翌朝デスクに置いといて。(夜の3時くらいにバンと渡されたりする。)
Etc etc,,,, 一年目の業務、下手したら二年目、三年目の業務として続いてるケースもありますが、あくまで毎日のように大量に降ってくるアサインメント事例を紹介しておきました。
中にはバリュエーションやディールのエクセキューションなど、いい経験も待っているのであまり悲観せず、心の準備程度に参考にしていただければと思います。
なお、どのような仕事が降ってくるかは貴方の頑張り次第ということも強調しておきたいと思います。最初はつまらない仕事しか振ってこなくても、それを「信頼を勝ち得る手段」とみなして、全力投球しましょう。
上司のアソシエイトヴァイスプレジデントに任せるより、あなたに任せたほうが小さなミスが一つもない、という評判を築く中に、徐々に上司の仕事が降ってくるようになるのです。
仕事の質次第でほかの部署からもお声がかかるようになりますし、複数のチームから取り合いのような状態を作り出せればしめたものです。
すっかり交渉力が強くなるのでやがて自分で好きな仕事を選べるようになり、昇進の速さやボーナスの額でも同期と大きな差がつけられていくのです。
くれぐれもアナリストの3年間を、最下層の下作業だけこなして忙殺されることだけは避けなければなりません。
最初の3年は目の前の、他の業界より多少多い程度の給与で満足してはいけません。
ゴールドマンのIBDに3年いたからこそ学べることはすべて学んだ(会計の知識やバリュエーション/モデリングの実務、ドキュメンテーションの作りかたやディールの交渉のポイント等)、また社内に十分な名声を築き人脈を築いた、と言えるようになってこそ、その連日の深夜労働の激務が報われたと言えるのです。