
GAFAの一角の中でも最も巨大で成長目覚ましいアマゾン。国内でも新卒・中途転職ともにキャリアの機会が広がりました。コンサルや投資銀行に比べてもそん色のない給与水準、それをはるかに上回る待遇を享受する社員もいます。以下ではアマゾンでのキャリアを志向する人が考慮すべきポイントを論じます。
アマゾンを志望するときに知っておくべき8つのポイント
1.14の行動指針の徹底(Our Leadership Principles)
アマゾンのHPを含めあらゆる媒体で知られるところですが、社員は全員リーダーであるというコンセプトのもと、以下の14の行動指針が宗教の教条のように重視され、人の評価や会社での議論の中でも浸透しています。
以下の14ポイントを重視した適性判断がなされ、また入社後もこの基準で評価されるので、そもそもご自身がカルチャー的にフィットしているかを判断する必要があります。(以下、アマゾンOLPの要約)
1.Customer Obsession
客から信頼を獲得し、維持していくために全力を尽くす。
2.Ownership
オーナーシップが必要。長期的視点で考え、短期的な結果のために、長期的な価値を犠牲にしない。「それは私の仕事ではありません」と口にしない。
3.Invent and Simplify
リーダーはチームにイノベーション(革新)とインベンション(創造)を求め、同時に常にシンプルな方法を模索する。状況の変化に注意を払い、新しいアイデアを探しだす。
4.Are Right, A Lot
正しい判断を下す。 優れた判断力と、経験に裏打ちされた直感を備えており、多様な考え方を追求し、自らの考えを反証する。
5.Learn and Be Curious
常に学び、新たな可能性を探求し、自分自身を向上させ続ける。
6.Hire and Develop the Best
すべての採用や昇進における、高い評価基準を持ち、それを引き上げる。優れた才能を持つ人材を見極め、組織全体のために積極的に活用する。リーダー自身が他のリーダーを育成し、コーチングに真剣に取り組む。社員がさらに成長するための新しいメカニズムを創り出す。
7.Insist on the Highest Standards
常に高い水準を追求することにこだわる。継続的に求める水準を引き上げ、チームがより品質の高い商品やサービス、プロセスを実現できるように推進する。
8.Think Big
大胆な方針と方向性を示すことによって成果を出す。顧客のために従来と異なる新しい視点を持ち、あらゆる可能性を模索する。
9.Bias for Action
スピード重視。多くの意思決定や行動はやり直すことができる。計算した上でリスクを取ることに価値がある。
10.Frugality
少ないリソースでより多くのことを実現する。スタッフの人数、予算、固定費は多ければよいというものではない。
11.Earn Trust
注意深く耳を傾け、率直に話し、相手に対し敬意をもって接する。間違いは素直に認め、自分やチームの間違いを正当化しない。
12.Dive Deep
すべての業務に気を配り、詳細な点についても把握する。
13.Have Backbone; Disagree and Commit
同意できない場合には、敬意をもって異議を唱える。安易に妥協しない。しかし、いざ決定がなされたら、全面的にコミットする。
14.Deliver Results
たとえ困難なことがあっても、決して妥協しない。ビジネス上の重要なインプットにフォーカスし、適正な品質で迅速に実行する。
2.新規事業とスピード経営
世界最大級の起業にして、毎年2桁成長を続ける稀有な企業であるアマゾン。
その魅力は次から次へと新規事業が生み出され、また決断と実行のスピードが速いことです。スピーディーな環境で、急成長する組織で自分を成長させたい人に向いています。
3.業界最高水準の給与
投資銀行や戦略コンサルから優秀な人材を数多く引き抜くだけあり、Eコマース業界のみならずいわゆる最高水準の給料を支払う業界と比べても、高い給与水準を誇ります。
階層はL1~L12の12段階ありますが、新卒正社員のL4で、RSU(数年後に現金化できるストック)を含めれば1000万近くの水準になることも。
部長クラスのL6ではベース1500万、株価上昇局面ではベース以上のRSUを得て、3000万、4000万という高水準の給与を得る人もいます。(ただし評価への透明性へは反発も多く、直属の上司の一存で決まる要素が強いのは、多くの企業で同じです)
4.優秀な人材
組織が急拡大する中、成長志向性の強い優秀な人材を引き付けています。
トップMBAからの採用が最も多い企業の一つであり、外資系戦略コンサルや外資金融出身者の若手MBAを多く採用しています。
ここまでは、アマゾンに入社する際の魅力について論じてきましたが、以下ではアマゾン入社を考える際のチャレンジについて解説します。
5.英語力重視
シアトルに本社がある多国籍企業であり、英語が苦手な人は活躍の幅にキャップがあります。
社内では、日本支社は別にそれほど英語を重視しなくてもいいのでは、という不満があがるくらい、言い換えれば「英語がうまいだけでたいして仕事ができない人が優遇されている問題」を指摘する人もいます。
6.激務で長く働けない?~比較的短期在職者が大半
GAFAの中でも最も激務の会社で知られています。実際にMBA採用され後に、多くの人が数年で退社する人も少なくありません。またボトム10%の評価を受けた人は、退職を余儀なくされる傾向にあります。
国および部門、直属の上司次第で職場環境とカルチャー、ひいては満足度に大きな差があると心得ましょう。
7.米国発で、日本発のイノベーションは無し
基本的にアメリカでうまくいったモデル、サービスの日本展開が仕事です。
日本発のイノベーションを世界に発信したいと思っていたりすると、途中で限界を感じます。
8.主体的に仕事を選ばないと、市場価値は意外と下がる
企業が巨大化する中で、効率性重視で職能が細分化されているため、社内ポジションへの応募で希望する職種が無かったり移動できないと、アマゾン組織内でしか通用しなそうな同じ仕事の繰り返しで退職を選択する人もいます。
以上、アマゾンへの転職・就職を検討される際に知っておきたい、8つのポイントを解説しました。アマゾンへの入社を考えるときの、参照にしていただければ幸いです。