
コンサル転職後のメリットは、意思決定スキルがつく、人脈ができる、履歴書で有利になる、多様なプロジェクトを経験できる、など様々挙げられるが、最も重要なのはコンサル転職でおわらず、そこで活躍して高いレピュテーションを得ることである。コンサル各社が大量採用をするようになり、コンサルファームにいたことがクオリティコントロールを意味しなくなった今、単にコンサルで数年頂けの人と、コンサルタントとして成長し、ファームの看板を使って新規に顧客を得られるようになった人では、同じコンサルでも雲泥の差があるのだ。
コンサルに転職してコンサルを経験する、3大メリットと重要注意点とは?
コンサル転職後のメリットに関してだが、2020年以降の様々なコンサルファームの新たな試みを鑑みた上での直近レポートを以下にお届けしよう。
①プロジェクトマネジメントスキルや意思決定スキルが身につく
コンサルに転職してまずよかったのは、プロジェクトマネジメントや意思決定の方法を学べることだ。
投資銀行では大きな組織の歯車として、若いころは出来る仕事の範囲がかなり限定的なのだが、その点コンサルは扱うトピックが幅広く、またいろいろな人と共同作業するので、プロジェクトマネジメントを効率的に学べたのは大きかった。
どのタイミングでいろいろな人の話をきいて、どのように仮説を構築して、どのようにそれをテストして、どのレベルにもってけばお客さんから何千万や何億請求できるものになるのか身を以て体験できる。
また最近はコンサルに転職しても、パワポファイルをつくるだけではなく、クライアント企業の中に送り込まれて常駐する機会もあるし、マッキンゼーのリストラ・ターンアラウンドを専門にするチームとかにはいれば、単なるアドバイザーではなく意思決定者として様々な企業のプロジェクトに参画することができる。(私の友人がマッキンゼーのアムステルダムオフィスでこのチームに入っているが、その満足度は非常に高い。)
コンサル転職者が強いのは、このプロジェクトマネジメントや資料作成の基礎は、どのような仕事に転職してもほぼ共通して使えるものだという点である。
②コンサル転職後、コンサルファームで作る人脈が重要
この点、現役のコンサルタントで、あまり同僚や上司との関係構築の重要さに若気の至りで気付いていない皆さんに特に強調しておきたい。今いるファームの人間関係大切にしないと、10年後、本当に後悔しますよ、と。
コンサル転職後に得られる最大級のリターンは、そのファームでのトップタレントと強固な人脈を構築できるかどうかにかかっているのである。(大抵のトップファームでは、毎年各ファームの歴代アルムナイを集めてパーティーを行ったりするが、コンサル転職者はいろんな業界で活躍していることが多く、よい人脈形成の場として機能する。)
たとえばプライベートエクイティファンドも、ベインアンドカンパニー時代の同僚が立ち上げたとか、マッキンゼー時代の同僚と立ち上げたとか、そういうコンサル時代の同僚との共同創業が非常に多い。
コンサル転職後に、さらに他社に転職したあとも末永くありがたいのが、コンサル退職後に気付く”コンサル卒業生(アルムナイ)ネットワークの質”である。
これもコンサル退職後、2年後、3年後とかより、10年くらいたってくると威力が増す。
まず基本的に能力が高く、 野心的な人がコンサルファームには多いので、各分野でシニアマネジメントになっていたり、独立して影響力のある会社を運営していたりで、多くのビジネスにとって、極めて有用で広範なネットワークが形成される。
③コンサル転職後のレジュメ(履歴書)も有利に―ただしコンサル転職後に”単に在籍”するのではなく、”大活躍”することが大切
MBBなどのコンサルファーム転職を果たせば、その後の転職の機会も大きく広がる。多くの産業や企業の課題に接することができ、また多様なクライアントと働くので、 お客から誘われて転職の機会があるのみならず、仕事の適応性や幅が広がる。
実際コンサル出身者の転職先は極めて多岐に渡っているし、多くが若くしてマネジメントのポジションで転出していくのである。
特に金融、プライベートエクイティ転職などをすると、レファレンスで仕事の有無が決まることも多いので、信用できるネットワークを作っておくのは将来貴方のキャリアを大いに助けるであろう。
実際にプライベートエクイティファンドを立ち上げた人の経歴を見ると、マッキンゼー転職時に共に長年働いていた、など、コンサル時代に形成した人脈を、その後の仕事に生かしている人が非常に多いのだ。(なかでも、マッキンゼー人脈がプライベートエクイティ転職では圧倒的に多い。)
マッキンゼーやボストンコンサルティンググループ、ベインアンドカンパニーなどのトップティアのコンサルティングファームへ転職できれば、当然ながらレジュメのクオリティも上げてくれる。
グローバルコンサルティングファームトップ数社の名前はどこの国に行っても一定の威光を放つ。海外で就職活動する時も、留学する時も、貴方の解りやすい自己紹介になるだろう。
単にMBBに入っただけで終わるのではなく、そこで活躍して同僚に一目置かれたかどうかが重要
ただし、コンサルに入ったから、またレジュメに書けるから、といって喜んでいてはいけない。
マッキンゼーやボスコン出身者は、ビジネスコミニュティの上層部に行けばいくほどいくらでもいる。
よって、どれだけ社内でスーパースターとしてのレピュテーションを有していたかが重要なのだ。
単に”ベインに三年いました”程度で威張ってるようでは全然凄くないのである
(この社内レピュテーションこそが、貴方の将来の機会と年収を大きく左右する。)
なお、単に面接が上手くてコンサル転職を果たした人と、コンサル転職後もスター選手として活躍した人を分ける指標として、海外MBAに留学するときに会社からスポンサーされたか、入社時と退社時で、給料がどれくらい変わったか、またどのくらいのスピードで昇進したかなども記載しなければならないこともあることに気を付けよう。
コンサル転職できただけで満足していたら、そこどまりのしょうもないキャリアとレジュメになってしまいかねないのである。
コンサル転職後に経験すべき、”コンサルプロジェクトの多様性”
さて、コンサル転職後で重要なのは、多様なプロジェクトを経験し、自分の強みがあり、自分が面白く感じ、自分が進むべきコンサル後の進路のヒントを得ることである。
某大手米系ファームのパートナーが、「中国の戦国時代の諸子百家というか、各国を渡り歩いて色々助言して回るので飽きずに面白い、」と仰っていたが、確かに飽きるという事はあまりない。
ただし、楽しいからと言って無計画にアサインされるプロジェクト全てに入っていると、何の専門家にもなれずに気が付くと転職不能なお年頃になっているので、そうならないよう気を付けなければならない。
たまに不幸にして2-3年同じ会社のビッグプロジェクトに入れられて、クライアントの社員と化している人もたまにいるが、マーケティングから投資デューディリジェンスから新規サービス開発から特許関連まで、それはそれは多様なケースを経験することが出来る。
この多様なプロジェクトの中から、貴方に向いている仕事、そうでない仕事の選別も進んでいくことであろう。
コンサル転職後、経験できる仕事の幅は拡大している―一昔前のコンサルとは違う!
コンサルに転職すると、一昔前と違い2020年代以降では、かなり多様な経験を積むことができる。中にはエクスターンシップと言って、クライアント先企業に一年間送り込まれるプログラムもあれば、マッキンゼーのように非営利組織や財団の社会貢献プロジェクトに特価したコンサルチームに入ることもできる。(ベインなどでもあるが、主にヨーロッパオフィスが多い)
また上でも述べたが、従来のコンサルプロジェクトとはことなり、リストラとターンアラウンドに特化したチームに入れば、コンサル契約時にクライアント企業はコンサルタントが指定する一定のアクションをとることが義務付けられ、しかもそれで浮いたお金の一定割合がコンサルフィーに上乗せされるという新たな契約形態もある。
よって、従来とは異なりコンサル転職後の様々な成長機会が待っていることも、今のコンサル転職(もちろんトップファームとそうでないファームで提供される機会は違うのだが)の魅力の一つだろう。
コンサル転職後は、お客が自分につくまでは転職してはいけない?
なお、やはりお客さんが喜んで次のプロジェクトに名指しで呼んでくれると、コンサル冥利に尽きる。
顧客の信頼を得て、長期的ビジネスストリームを作り出すことが貴方及びファームの継続・発展 に重要なのだ。
かつ貴方の事を気にいったお客さんは、ファームと言うより貴方についているので、貴方が独立する時に大きなサポーターになるのである。
また仲良くなったお客さんは今後も社内でどこのコンサルを使うか議題に上がった時に貴方を推してくれるし、他の会社の潜在顧客にも推薦してくれたりする。
コンサルにしても金融にしてもそうだが、アドバイザリービジネスは元顧客からの信頼・レファレンスが貴方の長期的命運を分けるのである。
コンサル転職後に限らずどのような仕事でもそうであるが、”一人前の経験をした”というためには、その業界で自分の名前で客を引っ張ってこれるようになっていなければ、”単に在籍しただけ”の人に過ぎないのである。
最後にまとめると、コンサル転職後のメリットというか、コンサル転職後に意識的に得なければならないものは、
①プロジェクトマネジメントの経験
②コンサル転職後に得られる、トッププレーヤーとの人脈
③自分がやりたいことを見つけるための多様な経験
④単にコンサル転職で終わらず、ファーム内での名声
⑤他社に転職したり独立するときに引っ張ってこれるお客
に他ならないのである。コンサル転職後の皆さんの奮闘を、祈念しております。