
東大生にとっての人気企業常連である伊藤忠商事。近年の目覚ましい業績成長と社長のカリスマでも知られています。三菱三井を抜くという気概がある一方で、そんなこと部外者にとっては知ったことではないのに、それに共鳴したなどと白々しい志望動機を連発する人が多いのは、就活世界8大不思議の一つではないでしょうか。そんな伊藤忠商事でのキャリアが向いている人、向いていない人の特徴について解説します。
総合商社人気企業、伊藤忠商事への就職・転職を考えるときの7大ポイント
1.中国関連のビジネスに携わり、非資源で頑張りたいひと
伊藤忠商事は総合商社の中では非資源ビジネスに強く、中国、東南アジアに多くのエクスポージャーを有しています。
他の総合商社に比べ、中国語圏に赴任して中国語を学ぶ機会が潤沢です。(逆に言えば、中国ビジネスへのオーバーエクスポージャーが嫌いな人は、向いていません。)
また資源バブルが過ぎた後でも、事業ポートフォリオの構造上、三井・三菱に比べ安定的な経営が出来る事業構造になっています。
2.国内的には強いブランドで、長期間安定的に年収1500万を得たい人
一時はセカンドティアの総合商社というイメージでしたが、近年の好業績で人気ランキングが高まり、総合商社トップティアとしてのブランドを確立しました。
待遇も500万に始まり30で1000万前後、35で1400万~1500万と、この年収レンジまではほぼ誰でも、年収が上がっていきます。
3.何をやりたいか決めていないが、ジェネラリストとしてやっていきたい人
最初に入れられた部署で基本的にキャリアを築いていく上、ジョブローテーションで多様な機能を数年ごとに経験することが可能です。
何かの専門家になることはできませんが、浅く広く多様なビジネス機能を経験することが可能であり、ジェネラリスト志向で特にやりたいこともない人にとっては、比較的意義あるな20代を過ごすことができるでしょう。
4.20代のうちに、2年くらい海外駐在したい人
他の総合商社と同様、20代のうちに大抵、海外に駐在できます。
語学留学中は給料をもらいながら赴任先で語学の勉強をするだけであり、海外駐在員として働くときは高額の赴任手当もつくため、海外駐在中のライフワークバランスとリスクリターンバランスは非常に高いです。
このような要素を20代でのキャリアに求める方には、フィットの高いキャリアと言えるでしょう。
逆に伊藤忠商事をはじめとする総合商社でのキャリアが向いていないのは、以下のようなリスクを避けたい人です。
5.専門性の欠如と場当たり的なジョブローテーション
伊藤忠商事をはじめ、総合商社を辞める人の理由ナンバーワンは常に、「専門性の欠如」。
居心地の良さに長居しすぎた結果、外に出たときに市場価値がつかず、何もできない「働かないオジサン」& Or,「働けないオジサン」になることへの危機意識から、転職する人が多くいらっしゃいます。
6.出世の遅さ
財閥系トップ2社にくらべ組織は小さいとはいえ、それでも日本を代表する大企業であり、その企業文化も日本古来の文化を色濃く引き継ぎます。
30代後半になっても役職が無い人が数多くいます。チームを率いて主体的に動けるようになるまで、20年にわたる下積み・飲み会・先輩へのヨイショが待っているのも、総合商社でのキャリア特有の悩み事でしょう。
7.成長産業でリーダーシップをとりたい人
総合商社のビジネスポートフォリオは古いため、多くがインダストリー4.0時代に淘汰されます。かといって事業投資にも注力しているとはいえ、実際はそれに携われるのはごく一部で、意思決定も極めて遅く、投資スキルならやはり外部の投資ファームに専門性で劣りがち。
実際に投資単体のリターンというより、伊藤忠本体のビジネスの市場シェアのために、高値掴みされる案件も存在します。
新産業ベンチャーで20代で組織を創るか率い、若くして成長産業でリーダーシップを発揮したいという人には、間違ったキャリア選択となります。
伊藤忠商事を志望する時、ないし伊藤忠商事から転職するときに気を付けるべきこと
これらを鑑みますと、伊藤忠商事での向き不向きは
1.ジェネラリスト志向で幅広いビジネス機能を体験して、アジアビジネスに参画したい
2.20代のうちに海外赴任し、その後は転職するので別に興味のない配属先でも頑張れる
3.今どき体育会系・年功序列のウェットな昭和コーポレートカルチャーでも頑張れる
人に向いていて、
4.若くしてリーダーシップを発揮したい
5.興味のない配属先やジョブローテーションなど御免で、成長産業で専門性を突き詰めたい
6.社外でも高いマーケットバリューがつくようにキャリア戦略を練りたい
人には、向いていない職場だといえるでしょう。