プライベートエクイティからの転職~そのキャリアパスとは?

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プライベートエクイティ業界に転職した後のキャリアパスはどうなっているのでしょうか?PE転職後、そのままディレクター、パートナーと順調に昇進できるのは1割未満です。大半はどこかのタイミングでPE業界の外に出るわけですが、この選択を間違えると、たちまち悲惨な転落キャリアに。以下ではPE業界で長年勤務するストロングキャリア講師陣が、豊富な実例をもとに、プライベートエクイティからの転職先、キャリアパスをまとめて解説致します。

プライベートエクイティに転職した後のキャリアパスは、どうなっているのだろうか?

20代で投資銀行やコンサルからPE未経験で採用されると、2~3年はアソシエイトとして勤務する。

その後、ファームに活躍・貢献を認められれば、ディレクターにあがり、そこで4年なり8年なりを過ごしてパートナーに上がるか、ディレクターどまり(つまり上には行けないので他探したほうがいいですよ、という扱い)になるかが見えてくる。

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コンサルや投資銀行から、仕事の“手触り感”や株主としての経営フルコミットメントを求めてプライベートエクイティ転職を果たした貴方。

しかし結局は月一の取締役会や新設した謎の経営会議、時折行く合宿形式のビジョン研修などでは、「このままでは本当の経営力はつかない」という、コンサル時代に感じたのと同様の焦りを感じ始める。

かといって今のPEファンドでは、最近のファンドレイズの時にパートナーに上がれなかった。次のファンドが募集されるまであと4年は、今のポジションにとどまらなければならない。

同期ないし後輩だった気の合わないアイツ、ないし去年外部から転職してきた人間が、パートナーに昇進したというのに、平静を装っても自分の悔しいポジションは周囲に丸分かりである。

そこであなたは、比較的楽で安定的で悪くない給料と社会的地位を得られたPEファームからの転職を考え始める。

しかしこの選択に間違えると、かなり長期間、危険なキャリア迷走街道に突入してしまうので、くれぐれも気を付けよう。

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プライベートエクイティファームからの様々な転職先

上記のような理由から、40代半ばくらいまでには、パートナー競争に敗れた人はPEファームを出るのが一般的だ。

ちなみにパートナーに上がっても、シニアのパートナーが何人もいて、自分は実質ジュニアパートナーでかつての上司に頭が上がらず、結局転職する人もいる。

そしてその転職先は、実に様々である。

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まず気を付けたいのが、PEを出た後にどこぞの企業の社長を目指すというケース。

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実際にそのような誘いを受けて最後にはしごを外された人や、なったはいいものの「名ばかり社長」で部下が全然いなかった悲惨なケース(単に一人で全部任されただけ)を見たことがある。

PEファームで働く人の中でも、ある程度のサイズの会社の社長になれるのは、PEで投資先のオペレーティングパートナーとして社長として派遣された系の経歴を有する人なのだ。

また、PEファームから他のライバルファームに転職するケースもある。

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これはライバルPEファーム間でもパートナー同士で仁義を切るのが一般的なPE業界では稀なことではあるが、それでもたまに生じるケースだ。

その理由は第一に、自分はディレクターだが古参のディレクターがたくさんいて、パートナーに上がるのは「次のファンドレイズのサイクル」であり、それまで待てないパターン。

また第二に、海外志向の強い人が、ドメスティックなローカルファンドの仕事に飽きて、リージョナル、グローバルな案件でキャリアを築きたいと思うケース。

そして第三は、これまた社内でパートナーに上がれないのが判明したタイミングで、日本に進出する世界的に名の知れたファンドの寄せ集めチームにスカウトされるパターンだ。

しかしながら他のPEファームから転職してきて、転職先で上手く昇進したケースはあまりいない。

これはやはり、アソシエイト時代から生え抜きで長年貢献してくれた人を、ライバルファームの一つから入ってきた人より優遇したいという心理も働いていることであろう。

プライベートエクイティからコンサルに出戻りするケースも結構多い

プライベートエクイティファームから、古巣のコンサルファームに戻るケースも複数私は目撃してきた。

これはコンサルファームが優秀な社員の出戻りを歓迎しているからでもある。

またPEに入ったはいいが、✔下っ端のうちはコンサルとたいして給料も変わらず(MBBにいたほうがベースとボーナスに限って言えば多い人も)、✔仕事で相手にする企業のスケールは小さくなり(日本のバイアウトはスモール・ミッドキャップバイアウトが大半なため)、✔大企業向けコンサルの方が自分に向いていると悟ったケースがある。

他にも、新卒でいきなりPEファームに入ったはいいものの、若いうちに経験の幅を広げて将来PEに再度戻ってくることにした人が、PEからマッキンゼーのPEチームに転職という事例もある(ちなみにこれは筆者の親戚の最近の話である)。

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またPEから転職してCFOとして資金調達やIPO準備する人は複数見てきたが、これは結構成功例が多い。

これはその人が凄かったというより、2020年まで続いた長期ブルマーケットでスタートアップのIPO案件とその担当者ニーズが大きかったためである。

スタートアップが大きくなり上場準備で内部統制を進めたり、資本政策を考えたり資金調達できる人が重要になるが、そのような経歴を有する人材は少ないので、PEの30そこそこのアソシエイトにもこのようなポジションのお声が掛かるのだ。

そんな若手CFOの彼は、PEファームの同窓会で、「事業会社の社員は、投資銀行やPEファームにいたプロフェッショナル人材とちがって、あほばっかですよ~」などと不遜な独白をしながら、同窓会の祝杯の乾杯の音頭を取るのである。

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