ファンドオブプライベートエクイティファンズへの転職~ダウンサイドリスクとは?

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プライベートエクイティファンドに投資するファンドである、ファンドオブプライベートエクイティファンズ。ちょっとややこしいのですが、要するに年金や国富ファンド、ファミリーオフィスなどからお金を集めて、カーライルやユニゾン、J-StarなどのプライベートエクイティファンドのGPに投資します。この仕事が向いている人は、オタクのようになって、”生けるプライベートエクイティ・ディクショナリー化”しますが、向いていない人はかなり退屈な日々を送ることになります。その特徴を解説致します。

国際的な業務が多く、世界有数のPEファンドの創業者パートナークラスと日々やり取りをすることになる、FoF(Fund of Funds)の御仕事。日本をカバーする担当者は総じて香港やシンガポールで他の市場と共にカバーするか、ないし日本ですでに大口の御客を抱えるFoF(ハーバーベストやパートナーズグループ等)であれば、日本オフィスを構えて東京勤務が基本となります。

前回コラムではFoFでのキャリアのメリットについて解説しましたので、今回はそのデメリット3ポイントに関して、紹介いたします。

1.受け身で退屈

これがファンドオブファンズの仕事で何と言っても辛い所ではないでしょうか。GP(General Partner)であれば、経営陣を変えるなり、事業を組み替えるなり、リストラするなり、何かとマネジメントの余地があります。

これに対しLP (Limited Partner)であれば、出来ることはほぼ無いです。「ウォッチリストに追加しました」などと言って、ひたすら情報を要求して報告頻度が増すくらいでしょうか。

もしも投資先ファンドの運営自体が問題になるような事態ですと(つまりLPAの違反など)別です。

しかし通常は投資先に対し、情報要求以外特に出来ることはないのです。(アドバイザリーボードに座るアンカーインベスターとかはまた別ですが。)

2.報告作業が多い~「値段が高いジャーナリスト」?

FoFの仕事は、報告作業が超絶に多いです。これは、FoFへの投資家が非常に多いのと、投資先のファンドもこれまた多いので、両サイドとのコミニュケーションややり取りが非常に多くなります。

また投資先のファンドはどこのFoFも驚くほど同じようなところ(なぜならば、前回ファンドのトラックレコードが良かったところにFoFが殺到するため)が多いものです。

よってFoF間の競争は長年激化しており、報告頻度など「なんか頑張ってるパフォーマンスが出来るところ」での熾烈な競争があります。

結果、やっていることの大半が取材とレポーティング業務みたいになっていて、インベストメントプロフェッショナルというより「給料が高いレポーターでは」などと揶揄されることもあります。

3.その後の潰しが効かない?

ファンドオブファンズに若くして入ると、意外とその後の仕事が潰しが効きません。社内で順調に出世するならまだしも、GPに転職する時はファンドレイズ担当になりますし、その他の業界に移るときはほぼ、ファンド投資のスキルが転用できないのです。

運よく大手ファミリーオフィスの幹部や、資金が潤沢な会社のファンド投資プログラムの責任者として招かれるケースを除き、結構な苦労が待ち構えています。たとえば転職すると大抵仕事は大変になる割に、給料は落ちます。(そんなに忙しくない割に、大手FoFだとそれなりにもらえるため。)

ディール最前線でアクティブにソーシングしたりバリューアップマネジメントをしたいという人は、一度入ってしまうとフロントラインから結構遠ざかるリスクがあることを念頭に、キャリアを判断しましょう。(ただし、もちろんFoFでのお仕事が向いていてハッピーな方も多くいらっしゃいますので、こちらのコラムも併せてご覧ください。)