森本千賀子氏が語る、20年後後悔しない、Z世代キャリアの歩み方

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Z世代の若者が、20年後にキャリアで公開しないために大切なこととは、どのようなことなのでしょうか?40代で最高の自分であるために、20代、30代のキャリアで大切なこととは何なのでしょうか?これまで2000人以上の転職支援を成功裏に導いてこられた、「NHPプロフェッショナル~仕事の流儀」でも有名なオールラウンドエージェント、(株)Morich代表取締役の森本千賀子様に、Zキャリアフォーラムに御登壇頂き、お話を伺いました。

森本千賀子氏が語る、20年後後悔しない、Z世代キャリアの歩み方

自分をブランディングできる場所を考えよう

本日のテーマは長期的に持続可能な女性のキャリア20 年後も幸福でサステイナブルなキャリアのつくりかたです。それでは森本千賀子さん、よろしくお願いいたします。

 株式会社Morich代表取締役 森本千賀子氏 ホームページはこちら

はい。ご紹介ありがとうございます。まずは私の方からも、私が何者なのかというのをお伝えしておいた方が良いかなと思いますので、自己紹介させていただきます。

私のファーストキャリアは、獨協大学で外国語学部を専攻したところから始まります。たぶん皆さんは知らないかもしれませんが、私が高校時代に「スチュワーデス物語」というドラマがありました。それを見て、海外に行きたい、とかスチュワーデスっていい仕事だな、と感じるきっかけになりました。

そして、単純に語学を学べばスチュワーデスになれる近道なんじゃないかと思い、外国語をしっかり学べる学校を専攻しました。ところがスチュワーデスをいざ志してみると、英語ができることが強みなんて人がもうゴマンといました。その中で「あ、この世界で私の目立つ場所・私ブランディングできる場所はここにはないな」と言う風に思いました。

結果として、私が新卒で選んだ場所はリクルートというまさに“営業”ができる会社です。今から 30 年ほど前になりますが、女性としては今もまだ少ないのですが、当時は本当に少なかった営業職に就きました。「女性×営業」は、当時はおそらく全体の1 割もいなかったと思います。
私でもリクルートで頑張ったらもしかすると自分ブランドが作れるのではないかという思いもあり、その環境に身を投じました。

そこから約25 年間、まさに4 年前までリクルートの中で「転職エージェント」として企業と人のベストマッチングを目指し、転職支援をmissionにしてきました。気がついたら、2000 人超の転職支援をさせていただいていました。その間、1000 人を超える経営者の方とのネットワークができました。お客様だけで言うと、北は北海道から南は沖縄まで、またスタートアップから何万人という上場会社まで4000 社を超える企業様とのご縁を得ていました。

私は留学したわけでもないしMBA ホルダーなどのピカピカキャリアではないのですが、そんな私でもしっかりと実績出せば、受賞のシーンに食い込むことができるのだということです。気がついたら30 個近くのトロフィーを獲得したり、様々な場面で受賞してきました。そんな25 年のサラリーマン人生を過ごしました。

25 年間、いろいろなことがありました。現在子供二人がいるのですが、今年中学一年生になった次男が生まれたタイミングに東日本大震災がおきました。このころ私自身はそれまで組織マネージメントの経験を通して、将来は社長になってやるぞ!くらいに思っていた時期でもありました。

そんな中でどちらかというと、メンバーや部下の育成をしながらリクルート内に向いてやっていたキャリアを東日本大震災をきっかけに、もっと外向きに、自分が貢献できる場所は無いかということで、副業という形でパラレルキャリアを始めたのが2012 年になります。

自分の強い意思が縁に繋がる機会でした。

そういう時に、NHK の「プロフェッショナル仕事の流儀」という番組出演の話がありました。本当に自分がWillという意思を持って行動すると、次の行動のきっかけになるようなご縁がどんどん積み重なっていくなということを実感しました。

本を執筆したりこういうイベントに登壇したりみたいなことがどんどん増えていき、「morich」という会社も、リクルートに所属しながら立ち上げるという副業の先の複業を実現していきました。その延長線で4 年前に独立をして今はその会社を経営しています。

今している仕事は、人と企業との最適マッチングではありますが、特にCxOといわれる、組織ピラミッドの上位にいる全体の1 割程度のエグゼクティブ・プロフェッショナル、いわゆる成功者といわれるような方々に対してのキャリア支援を主にしています。

そういった方々に日常的にお会いして、次のキャリアの相談を受けさせていただいています。また、ほかにも「morich」という会社組織自体は10 人未満の少数の会社なのですが、それ以外の場所でもNPOの理事を務めたり、スタートアップの社外役員や顧問などを歴任し気づいたら20枚近くの名刺を持ちながら、パラレルワークを体現しています。

30 年近く、キャリア・転職などといったことと対峙し、向き合いながら仕事をしてきた私の方から、今日はぜひ皆さんに単なるキャリアではなく「ハッピーキャリア」につなげるためには、どういう意識と行動と、どのようなターニングポイントでどういった選択をしていけばいいのか・・そんなお話ができたらと思っています。 

SA からの質問

質問者:中央大学 有賀さん

Q:私は、今大学4 年生で来年の4 月から就職をします。就活を経て外資系の企業に進むことになりましたが、外資というと自分の力でどんどん物事積み上げていって、成果を出す、というイメージが強く、自分で決めたは良いものの少し不安に感じることがあります。


森本さんは、自分で何でも考えて、自分の力で積み上げてきたというキャリアを歩んでいらっしゃっている方なので、仕事に対するモチベーションの持ち方だったりだとか、その保ち方などコツみたいなものがありましたら教えていただけると嬉しいです。

良い上司の部下になれるよう頑張る:メンターになってもらえるよう努力することが大切

A:はい、ありがとうございます。今日は、大テーマに「おじさん解体論」というのがあるとおもいます。おじさんに負けずにがんばろう!とか、そんなトーンですよね。

今いただいた質問の趣旨とは若干異なることかもしれませんが、大前提としてお伝えしておきたいことをお話しします。皆さんもお分かりの通り、日本の社会・企業・自治体、組織と言われるもののほとんどは、意思決定に並んでるボードのほとんどがおじさんなんです。

女性の管理職比率は14%程度しかなくて、なおかつ、では経営ボードに女性がいるのかと言われると、たったの1.1%程度なんです。100 人に1 人しかいないという現実があります。そういう意味では残念ながら権限・権力を持ってるのおじさんなんです。

だから、その価値観を持っている人たちに立ち向かって行こうとしても、実際は難しいのです。だから、私の30 年振り返ると実はおじさんと闘おうなんて1 ミリも思ってなくて、どうやったら共存できるかっていうこと、どうやって味方につけるかっていうことを念頭に置いていました。

もちろん、頭にくるとか腹が立つとかストレスフルな人もいたりします。そんなことがあった時、今の世の中はありがたいことにクレームが言いやすくなっていると思います。

30 年前、私が新入社員の時は「頑張れ」とか言いながらおしりをポンっと触られても「頑張ります!」とか言って平気でヘラヘラしていました。それが普通だと思っていたんです。ですが今は、そんなことがまずできない社会になりました。パワハラとかセクハラとか、そういうものにおじさんたちは怯えています。

女性が我慢せず、おかしいことを口にすることができる、それ自体は私も尊い行為だと思っています。けれど、そうやっておじさんたちを駆逐したいというわけでもないということです。

いかにうまく共存していけるか、うまく味方につけるかということをしてきたので、今ここに居ることができるのも正直にいえば、おじさんのおかげだと思っています。

自分の上司だったり、メンターだったりそういう方々をうまく味方につけていくか。迎合するって意味ではなくて、応援してもらうんです。有賀さんも入社したらわかると思います。感度の高いおじさんっているんです。特に、外資だったらおそらく、より生息率が高いと思います。逆にレガシーな日本企業みたいなところだと探すのに苦労するかもしれません。

外資の企業には、そもそも本社(HQ)には女性のマネジメントはいるはずです。その分、女性の能力を公平に評価したり、前向きな女性を応援したいと考える方も多いはずです。

これから出会う上司の中には、そんな考えを持つひとも、必ずいるはずです。そんな人をまず、見つけて欲しいです。自分の上司だったらとってもラッキーです。そして、感度の高いアンテナを張りながら、「あの人だな」と思った人の部下になるためにはどうすればよいかということです。

私も一生懸命行動しました。しかし、必ずしも直属の上司・部下の関係になれないこともあります。そういう時には自分からメンターになってもらってください。

会社の中では、結局のところやっぱり自分が意思決定の立場にならない限りは、決められたことに文句をいっても変わりません。決める側の立場になることが大事です。その会社・組織の中で自分のブランドを作り認識してもらう事が、その後の可能性にもつながっていきます。

きっと、応援してくれるバックアップしてくれる人は、会社組織の中にひとりはいるはずです。そういう人をいち早く見つけて、自分のメンターになってもらうということがまずは大事かなと思います。

対立しがちな若者とおじさんの協力関係は何から産まれるのか?

Q:森本さんというと、世の中のおじさんを必ずしも入り込んで可愛がってもらって利用しようとか、そういう悪い意味ではなく「decision maker に応援される人になる」っていうことをされてきた方だと思います。

森本さんが今されている仕事も、色んな会社から応援されてここまで来られました。しかし、「ナチュラルボーン応援されるキャラ」ではなかったのではないかと思います。何がきっかけでどういう風なポイントが、対立しがちな若者とおじさんをうまいこと協力し合える関係にすることができたのか、Z 世代女性の方々にインプリケーションいただければと思います。

A:その答えとしては、やはり、「ああこいつは使えるな、仕事できるな」と思っていただくことなんです。これがまず何より大事なんです。単なる可愛いだけではだめなんですね。だからこそ、まずは皆さんが就職した場所で、しっかり花を咲かせる事が重要です。与えられたその場所に文句を言ってばかりではしょうがないと思います。

例えば、これから皆さんが就職する先はみなさんにとって自分がやりたかったことができる場所かもしれないし、もしかすると自分がやりたかったこととはかけ離れた場所になるかもしれません。でも、まずはその与えられた場所でしっかりと花を咲かせるということです。

その場所でさえも花を咲かせられない人が、自分はこっちだったら絶対に咲かせられるのに、と思いながら青い鳥症候群じゃないですが、隣の芝生が青く見えてそっちに行ってしまっても、難しいと思います。まずは自分が置かれた場所で一生懸命花を咲かせる努力をする、ということです。

Q:ありがとうございます。
たしかに、金融機関や投資銀行、コンサルティングファームで働く同僚を見ていても、やはりあの自分に任されたセクターが小さい、とかお客さんが小さい、とかプロジェクトの粒が小さい、とかと文句を言って、まだその場所で咲いてないのにも関わらず、仕事のサイズだけ大きいものを要求してしまうことで結果として転落キャリアを行くっていうのが多いなという印象です。

もちろん、どう考えても私じゃないなって時は無理にその場所に身を置いたままにせずに出ていく、というのも1 つの選択肢としてあるし、必ずしも無理強いをするわけではない、というのが言わずもがなの前提としてあるとは思いますが。

さて、森本さんは今まで、1 万人を超える様々なビジネスプロフェッショナルのキャリア選択や、キャリアスイッチを支援されてこられた経験がおありです。そんな経験をもとにお答えいただきたいのですが、今新卒の方で、20 年後に引く手あまたな方とドン引きされる方2つに分かれると思います。そして、引く手あまたな人の中でも特に、好きなことを楽しくやってハッピーに引く手あまたの人がいると思います。


森本さんがお考えになる、20 年後にハッピーに行く引くてあまたな方の特徴と、そこからくるアドバイスはなにかありますでしょうか。

20代・30代で一つの仕事を極めるだけでは足りない理由とは?

A:今って、ビジネスキャリアが長いですよね。60 歳で定年ってわけにもいかないですし、健康寿命とか含めて100 年時代ですから。そういう意味で言うと多分 脂がのって年収格差も含めて1 番差が開く時って、40 代だと思います。

それまで培ってきた自分の努力だったり、人脈だったりが活きてくる、そんな時期だと思います。例えば 20 30 代で知り合って積み上げてきた人脈が、40 代になってくると相手の方もですね、意思決定ができるような立場になってたりとかっていうこともあります。

そんなことも含めて、40 代の時はおそらく1 番自分がいろんな仕事もしやすくなるし、いろんなビッグチャンスも訪れるし、自分が積み上げてきたいろんなトレーニングのようなものが、筋肉として身についた状態で発揮できる時だと思います。40 代に、最高の自分で居るためにおそらく20 30 代があって、その20 30 代の間にいかに自分に投資できるかなんです。

だからこそ、ヒリヒリ経験、これが必要だと思います。自分自身がヒリヒリするような日々を、毎日学びに溢れた環境に自分が身を置けるかどうかです。ちょっと最近楽してるな、とか自分がそれまで経験してきたものを切り売りしながら、再現しながら楽にキャリアを積んでいく20 30 代であっては、そういう40
代にはならないと思います。

20 30 代うちに、うーんと努力しながら、腕だけとか太ももだけ、じゃなくバランスよくマルチタスクで筋肉を付けて欲しいんです。例えば今の私たちにとっては時間や労力が必要な難易度の高い業務が、ある日AI やロボットに代替される可能性もあります。そういう意味でもできるだけ様々な変化に対応しながら、全身にバランスよくどの筋肉も使えるようにしなくてはいけないと思います。

私は陸上しかできない、とかソフトボールしかできない、じゃなくていろんな競技ができるような、マルチタスクなアスリートが理想です。例えばピッチャーで言うと、大谷翔平選手のようにバッターもピッチャーもできるとか、先発も中継ぎも抑えもできるとか、そんなビジネスパーソンであるべきだと私は考えています。そのためには、20 30 代の内に、1 つのことだけを極める、ということだと足りないと思います。

ある程度のキャリアの1 区切りは5 年だとよく言われます。だから、5 年の間に1つの分野にある程度専門性を高めて頂いて、2 3 つと複数で掛け算していただく。そうすれば、希少価値の高い人材として、競合の少ない市場から求められると思います。希少性と市場性を掛け合わせながら、バランスの良い筋肉質な体を 20 30 代で作ってほしいなあと思います。

これまでの経歴で、一番苦しかったタイミングと転機とは?

Q:森本さんは長い期間リクルートで働かれて、それをやりながら副業されて、起業されているということでしたが、今までの経歴の中で1 番苦しかったタイミング、転機だと感じたタイミングはいつでしたでしょうか。また、それをどうやって乗り越えてきたかというのを教えて頂きたいです。

A:まず、私は比較的ストイックなところがあるので、苦しいことも楽しみながらやってた方ではあると思います。今日は時間が少ないので全部は話せないので、私のホームページとかを見て頂くと、そのようなことの背景が分かるかと思うのでよかったら見てください。

私も実は、リクルートに入社して3 年間は結構トレーニングを積みました。アスリートで言うと、毎日トレーニングじゃないですけど。私の大学生活4 年間は外国学部英語学科だったので、経済とか経営とかおそらく皆さんほどに感度も高くないし、学びもしてなかったんです。

ですから、最初2 年間はもう休みをデートで使うだけじゃなくて、もちろんそういう遊びも大事なんですけど、本当にインプットのために時間を使いました。学生時代で学ぶインプットと、社会人になってからのインプットはやはり違いました。

日々の中での学びもそうですし、いろんな経営者に会いに行くのもそうですし、いろんなネットワークをつくるもそうですし。今日はおそらくそういうことを積極的にしている、前向きの人たちが集まっている場だと思います。

とにかく、私は得た人脈を大事にしながら自己啓発とか自己啓蒙のために、最初の2 年間を過ごしました。この時期は、苦しいといえば苦しかったし、楽しかったとも思います。今考えるとその2 年間での積み重ねが、ある意味リクルートで先頭集団に入るための一歩目だったのかなと思います。

3 つ子の魂100 までと言う通り、3 つ子の時期が大事なんです。フルマラソンの42.195 キロで言うと、最初の5 キロが大事なんです。はじめに先頭集団に入ってなければ、絶対に優勝はありえないんです。

なので、もう這いつくばってでも最初の数年努力してみてください。皆さんはまだ間に合いますから、これから社会人になるみなさんに自己投資してほしいということをアドバイスとしてお伝えします。

自己投資といっても、その時間はやはり苦しいかもしれないです。ですが20 年後、それ以降の自分のためにいろんなインプットをして、前向きな人との横の繋がりを作りながら自分自身の基礎を作り上げる時間をぜひ経験していただきたいなという風に思います。

どのような会社を選ぶべきなのか?~早く意思決定者になれるチャンスを多く与えてくれる会社

Q:なるほど。森本さんがおっしゃる通り、40 代で希少価値があって市場価値のあるdecision maker になれるように、キャリア初期段階で前向きの自己投資が重要だということですね。

そんな中で、森本さんのように多くの会社をクライアントに抱えられているエージェントの方からご覧になられて、今のz 世代の女性に勧めたい、みてほしい企業として挙げられる会社がありましたら、具体名を挙げて教えていただきたいです。
A.
 Z 世代のみなさんにとって、20 代であったとしてもいろんな機会を提供して下さる会社だと思うんです。
そう意味では、皆さんがこれから聞かれるgoogle さんをはじめ、グローバルカンパニーで数々の人材育成・人材教育に投資もされている会社で、すでにロールモデルのようななる方がたくさんいて、さらに年齢やバックグラウンドに関係なく、実績出した方にどんどんチャンスが与えられる、外資系の企業やグローバルカンパニーっていうのも1 つ、あります。

もう1 つは、ベンチャー(スタートアップ)も候補としてあると思います。ここでは、社員が少ないので否応なくマルチタスクでやらざるを得ない環境なんです。

残念ながらレガシーな日本企業は、「よーいどん!」で始まって、ある程度自分が実績出してもチャンスを与えられるまで、またdecision maker になるまでには少し時間がかかる仕組みになっています。

そうは言ってもレガシーな日本企業の中でも数社ではありますがそうでない企業も存在します。私の古巣であるリクルートなんかもそうかもしれません。そういうところを見つけて頂くといいかなと思います。

A:早く意思決定者になれるような会社、チャンスを与えてくれる会社を選ぶことが大切だということですね。本日は貴重なお話、ありがとうございました。

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