
プライベートエクイティ業界でのキャリアは、投資プロフェッショナルだけではありません。ディールメークの段階から、投資後にどれだけ業績を伸ばせるか、価値を高められるかが重要になっている昨今、投資先のバリューアップ専任担当であるオペレーティングパートナーは、成功すればリターンもやりがいも、投資チームをはるかにしのぐことも。PEでディールメークではなく投資先の経営に専念したい方は、PE投資先の経営陣に入るという選択肢も検討してみましょう。
プライベートエクイティで最も儲かる3つの仕事とは?
プライベートエクイティファーム転職するというと、投資チームに入ることを想定している人が多いことだろう。しかしPE業界にもいろいろな仕事があり、必ずしも投資プロフェッショナルだけが儲かるわけでもない。
ファンドレイズチームにはいり国内外の重要な機関投資家とリレーションを築いた人は、その後も世界中の様々なアセットマネジャーから高額で引っ張りだこになる。
またファンドによってはIRもキャリーを貰えるので、自分がレイズに成功したファンドの額次第では(新規獲得額の1%などのボーナス契約があることが多い)、何億というボーナスを手にすることも可能だ。
ただしファームによっては給与がファンドレイズ実績によらず、あくまでファーム全体の業績に連動することもあるので、PEファーム事に契約書が違うということも付け加えておこう。
そんな中、コンサル上りや経営を回したい人に人気なのが、投資先のオペレーティングパートナーだ。
最近はディールメークはオークション案件が多く、値段で決まることも多いので、高い値段を出しても目標リターンを出せるほどEBITDAを伸ばすか戦略的価値を高めることのできる、バリューアップ担当者の価値が上がっている。
その給与体系も、目標EBITDAを達成したら幾ら、また成功裏にエグジットしたら〇億といったように、社長クラスだとかなりの報酬が用意されている。
投資先オペレーティングパートナーの仕事内容
PE投資先オペレーティングパートナーは、投資先の社長になったり、COOになったりと、文字通りその投資先を経営する。
これは月一の役員会に出てきて、報告される月次の資料に目を通しながら、誰でもいえるコメントをしたり、的外れなデータを要求して嫌がられる門外漢の投資プロフェッショナルとは異なり、正に会社を経営する仕事である。
そしてめでたく成功裏にエグジットし、その働きぶりがファンド側に認められた人は、今後もそのファンドが新しい投資をするたびに、社長として招聘されて何度も投資先に送られたりする。
このような”プロ経営者”は日本ではまだ層が薄いので、バンカー上りがさらりとなれる投資プロフェッショナルに比べ、希少価値が圧倒的に高い。
またコンサル上りで経営サイドに回りたくてPE転職を希望する人には、もってこいのキャリア機会となる。投資プロフェッショナルとしてピッチばかりして、社内の投資委員会すら通らないみじめな生活を送ることになる多くの投資アソシエイトに比べ、よっぽどハッピーなキャリアだったりもする。
プライベートエクイティファンドごとに異なる、オペレーティングパートナーへの道
オペレーティングパートナーで多いのは、MBBのコンサルタント出身者だ。中にはマッキンゼーのシニアパートナーとして長らく活躍した後に、PEファームと組んで、その投資先のオペレーティングパートナーとして3つくらいの投資先の社長を務めた人もいる。
またKKRなど大型グローバルファンドになると、KKRキャップストーンに代表されるような、投資先バリューアップ選任チームも存在する。スタンフォードMBAなど、トップMBA上がりも多い、人気職種である。
なおいきなり投資先の社長として抜擢されるようなキャリアが無くても、投資先の主要メンバーの一人として入るだけでも、チャンスが開けることがある。
私の勤める投資先ポートフォリオに、投資チームの若手アソシエイトの友人が投資先の海外支社管理で呼ばれて入ったのだがパフォーマンスが良かったため、まだ30歳前半なのに社長に抜擢。
古い業界で競合の社長は皆60代、70代のところ、若いアイデアとスピードでマーケティングを若返らせ、EBITDAを着実に伸ばし、最後は期待以上のリターンを出して売却することができたのだ。
その後彼は、売却後も投資先の社長として残り、引き続きバリューアップを快調に進めている。
投資先を売却後もその会社が順調に成長していくことは、PEファンド側のマーケティングにとっても重要だ。よって投資先の売却後もPEファンド側の覚えがめでたく、長期的なハッピーキャリアを形成しているのであった。