その仕事、危険!!AIに代替される外資金融・投資銀行の仕事3大ポイントとは?

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金融業界の既存の仕事の多くは、AIに自動化される仕事です。特に公開株のアセットマネジメントになると、ポートフォリオアロケーションやストックピックなど、AIに優位性があるものばかりです。そもそも、なぜこの株は上がっているのか、なぜこのポートフォリオ構成にするのかといった判断は、かなり適当なガッツフィーリングで決められているところも多かったのですが、AIはビッグデータからどの変数が効いているのかを自動的に明らかにします。ただし、AIが代替できない金融の仕事も確かに存在します。

AIで金融キャリアの旨味は落ちるのか?

お世話になっております。外資系金融のアセット・マネジメント部門か、コンピュータIT関係かに将来的に進みたいと考えていた件で再び質問があり、連絡させて頂きました。

本題ですが、米国2年制大学と4年制大学を卒業後、大学院でMBA取得後アセット・マネジメント部門に就職するというのが、現段階での目標なのですが、将来AIの発達によって金融の仕事の大半が置き換わるという声もききます。


そこで質問なのですが、AIによって金融の仕事が、ほとんど無くなってしまい、現段階での給与や待遇の低下は現実的にあり得るでしょうか?


また、自分としては第二の目標にIT企業に就職するという目標があります。どちらを選択するべきなのか。この2点を教えてください。お願いします。

講師からの回答:AIで代替できない金融職もある

AIによって金融の仕事がほとんどなくなると言いますが、正確にはなくなる種類となくならない仕事、そして新たにできる金融の仕事があります。


希望されている資産運用の、投資家レポーティングの仕事は現状かなり非効率なので、自動化が進むでしょう。

AIに代替される金融の仕事の第一の特徴は、基本的に数字を扱うルーティンワークだということです。

これとは逆に、非連続な局面で、人間の想像力と洞察に基づく投資判断は引き続き、価値を持ちうるでしょう。アルゴリズムトレードが結局勝ち続けられないのと同様、AIプログラムが完全に代替するのは難しいはずです。

というのも、予測不可能な要素があまりにも多いので、パターン化で乗り切れない新たな状況が沢山生じるからです。

例えば直近の事例でも、米大統領が関税戦争をしかけた、中国が同程度の関税で応戦した、北朝鮮の指導者が米大統領と会った、イランがホルムズ海峡を閉鎖するという観測が原油市場に与える影響などなど、イベント自体も、そのイベントの影響の幅も、到底モデルに組み込めるものではないからです。

誰が2020年東京オリンピックがキャンセルされ、コロナ拡散でGDPが10%近く低下すると2020年初頭に想像できたでしょうか。

第二に、多くのデータの中からパターンを抽出する仕事も、AIに代替されるでしょう。

例えばまた株式の売買判断や、ポートフォリオ構築も、「大量のデータの中から、実際は何が原因でこの株価が変動しているのか」というパターン抽出は、人間の脳よりAIが得意なのです。

第三に給料がどうなるかですが、当然のことながら代替されるタイプの金融職は給料が下がるどころか仕事自体が無くなります。例えばトレーダーの仕事の多くは失われましたし、株式セールスの仕事もますます厳しさを増しています。ファンドマネジャーも、ただでもインデックスファンドやアルゴリズムトレーディングに仕事を奪われてきたのに、ここにきてAIにトドメを刺されようとしています。

ただし、逆に一部の生き残り組に資産がさらに集中するため、このような生き残り組の給料はさらに上がることでしょう。

とくにAI時代に生き残るファンドマネジャーは、一部の非連続な運でバカ勝ちするラッキー以外の何物でもないケースを除けば、AIをライバルファンドマネジャーよりも、上手く使いこなせたファンドマネジャーだと思われます。

AIに代替されるファンドマネジャーと、AIを上手く使いこなすファンドマネジャーの差

AIを使って、そもそもその対象銘柄のバリュエーションが本当はどのような変数の組み合わせで決まっているのかを正しく理解できる展開は、非常にエキサイティングなことです。

今のところなぜかファンドマネジャーは、ファンダメンタル分析派や、テクニカルチャート派や、バリュー投資派や、アルゴリズムトレード派や、それぞれ違う”宗派”とロジックで投資するのですが、これらを上手く融合して、AIモデルを補完的に使えるファンドマネジャーは、新たに生じるポジションだと思います。

むしろここで重要なのは、”AIが万能で全ての問題を解決する”と誤解と過度な期待に踊らされることなく、AIが得意な事、逆にできないことをきちんと理解することが大切です。

なお日本語では正確な情報がいまひとつありませんが、英語で探せばYoutube, ユーデミー、リンダなどでいくらでも正確な情報にアクセスできます。

お勧めは台湾の著名AI投資家Kaifu Lee氏、またイギリスのディープマインドのDemis Hassabis氏の講演などを動画で見まくると、実態がよくわかるかと思います。

金融業界ではなく、IT業界に就職すべきか?

もう一つの、”金融ではなくIT業界に就職すべきか”という問いについてお答えします。

答えは、貴方が金融かIT業界どちらでより適性があるのかに依存しますし、金融もITも定義が広く、ポジションによってもまったく違うでしょう。もちろん、いくら将来の需要が増える仕事でも、自分と同等以上のライバルが多ければ、優秀な人が頑張った割に大して儲からない仕事に転落してしまったりもします。

たとえば英語データだとインド人、中国人の優秀な大量のエンジニアとの勝負になり、頑張った割に儲からないリスクもあるので、あくまで日本語の壁で守られたエリアxディープラーニングの掛け合わせが、貴方が活きる道ではないでしょうか。

なお、金融の中でもAIに代替されない仕事の最たる例が、投資銀行部門のM&Aアドバイザリーなどの仕事です。

これは、秘匿性のためにデータが公開されないことも多く、またパターンというより本来は高度に戦略的な仕事(下っ端のエクセキューションの仕事は別ですが)であるためです。

一言で申せば「過去のデータパターンをもとに完結する仕事」ではないだけに、実はここにきて投資銀行部門の仕事がAIに代替されない金融の仕事として、にわかに脚光を浴びつつあるのです。

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