投資銀行転職後の年収の全て~何故給料が高いのか?部門別年収ランキングとは?

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投資銀行の年収の実態とはどのようなものなのでしょうか?よく日本の上場企業平均年収ランキングなどで、2000万そこそこの会社が一位として騒がれますが、投資銀行の年収の実態と比べれば、その数字は随分と霞ます。新卒で1000万を優に超え、3年目で2000万、5年目で3千万、30そこそこで部門を率い、30前半で億越えの年収を稼ぐ人も存在します。若くしてマッキンゼーの数倍の水準を稼ぐ人が多いのですが、なぜこのような高収入が可能なのでしょうか?またどの部門が稼げるのか、日系投資銀行との比較付きで解説します。

投資銀行転職後の年収の全て~何故給料が高いのか?部門別年収ランキングとは?

外資系投資銀行の給与は、高いです。新卒で入った途端1200万、3年目で2000万、5年目で3000万に迫る人も。30そこそこで5000万貰うディレクターになる人もいますし、30半ばでMDとして億越えの人もいます。

給料としては、リーマンショック以降ボーナスが下がりベースが上がっていますが、長期間の政策的ブルマーケットが続いたおかげで、トータルパッケージは他業界の追随を許さない水準を謳歌しています。 

投資銀行の年収はなぜこうも高いのでしょうか?3000万というとマッキンゼーのアソシエイトパートナーと同水準ですし、シニアパートナーでも一億もらう人はそうはいません。

それにくらべ、どう見てもスキルが偏っており、年齢も若く経験も限定的なのに、若くして高額の年収を手にする投資銀行。

その年収の実態と高所得の理由を解説します。 

投資銀行の年収が、若い時から高い4大理由とは?

投資銀行のフロント業務の年収が高い理由は、第一に規模の経済が働くビジネスであること、第二に規制産業で参入障壁が高い事、第三に(外資系投資銀行に関しては)すぐに解雇するので分け前を比較的少人数で分けられること、第四に、ズバリ、それほど奥が深くないので、30そこそこで経験値の蓄積からくる生産性の上昇が止まることが挙げられます。

出世の速さという意味では、凄い事例だと30半ばというか前半で、東京支店のヘッドをつとめるツワモノも。

投資銀行の給料で注意しなければならないのは、自分の高い給与水準で「勘違い」している人が多いことです。

実はよく見ると大した仕事をしていない人でも、数千万もらいながら「給料が低い」と自慢のように言う人がいますが、投資銀行というビジネスモデルと組織力で稼いでるだけであり、ひとたび業界を出ると、潰しが効かずに全く稼げない人も多くいます。

言い換えれば、若くして解雇され、他業種への転職時に潰しが効かないリスクが高いだけに、その分、若くして働いている間に高い年収を貰うことでトータルでバランスが取るモデルともいえるでしょう。

投資銀行の高い年収に潜む、重大リスク

投資銀行では、なぜ若くして解雇されるのでしょうか?それは経験の積み上げが正比例でパフォーマンスに直結するわけではなく、比較的短い年数でスキルのキャッチアップが可能であるため、年収の高まる30代から解雇リスクが高まり、ディレクター、MDに上がるほど、解雇リスクと隣り合わせだということです。

マッキンゼーで2000万もらっているマネジャーはアウトされても横展開できるスキルが多いですが、投資銀行の社員はそうではありません。

その業種でしか通用しないニッチなスキルと業務知識が多いため、特にマーケッツ部門やトレーダーの潰しの効かなさは、十分稼ぐ前に解雇された人にとって、かなりリスクが高いものと言えるでしょう。

最も潰しが効かないスキルを使うトレーダーの年収が一番高いのは、このダウンサイドリスクに対するプレミアムととらえることが出来るかもしれません。

(実際はボタン一つで効率的な取引ができ、アセットサイズとリスク許容量の規模の経済が最も効くから、最も稼げるのですが。)

外資系投資銀行の年収はどれくらい?シティグループ, バークレイズ, UBS, クレディスイス, ゴールドマンサックス, モルガンスタンレー, バンクオブアメリカメリルリンチ,JPモルガン等の年収の実態

投資銀行の年収は、外資と日系、部門、ポジション、その年の会社の業績と自分のパフォーマンスで大きく変わります。

当サイトの読者層を鑑み、外資系投資銀行のフロントで申しますと、新卒で1000万超えが当たり前、1200万スタートの傾向。3年から5年で2000万、30歳で3000万~5000万という人も多くいます。

ヴァイスプレジデント(”VP”)あたりから業績次第ではボーナスがベースの数倍、一億越えのプレーヤーも、トレーダー職では現れます。投資銀行部門のMDもボーナスしだいで億越えです。

しかし30歳そこそこのVP/ディレクタークラスで3000万~5000万貰うため、解雇リスクも大きく、転職先も限られるので、野球の選手のように若い間に短期間で大きく稼いで、まだ他業種に転職出来る間に足を洗う人が多いです。

それでは以下で、投資銀行のポジション別の年収と、投資銀行でのキャリアをお考えの方が御関心おありであろう、「若いころに稼げる部門ランキング」を少し紹介したいと思います。

投資銀行のポジション別年収~アナリスト

外資系投資銀行ではズバリ、新卒アナリストにして、ベース650万~700万スタート+ボーナス500万弱で、1000万突破のスタートが多いです。ちなみに30歳そこそこの秘書さんでも、700万くらい貰っています。

JPモルガンなどでは最初のアナリストのころは残業代もつきますが、その分ボーナスで調整されるので結局、主要外資系IBは横並びに給料水準をベンチマークしています。ベースサラリーは毎年100万~150万、10%以上加算されていきます。

2年目でボーナスが年収の100%となり、3年目で年収が2000万に到達することも珍しくありません。

なお22時以降はタクシー代が支給され、毎日3000円から4000円のディナー補助金も支給されます。また、借り上げ社宅制度での税務面のメリットもあります。

投資銀行のポジション別年収~アソシエイト

3年のアナリストプログラムが終わったのち、上がれる人はアソシエイト昇進ボーナス500万弱をうけとり、ベース1200とボーナスで、アソシエイトの間に2500万超えというのが一般的です。


アソシエイトで最終年度にベースは1800万程度まで上がり、これにボーナスが0%から年収の150%水準で付くので、6年目アソシエイト最終年度で30前で3000万も達成可能です。

このアソシエイトの前か終わるまでに、海外トップMBAに留学する人も数多くいらっしゃいます(投資銀行から前向きに足を洗う、最初のチャンスです)。

投資銀行で若いころに年収が高い部門ランキングは、①トレーダー②マーケッツ③IBD④リサーチ⑤バックオフィスの順

ちなみに若いころに一番稼げるのは、規模の経済が最も働き、年齢を重ねることが必ずしも上達に繋がらないトレーダーで、30そこそこで実力があるか運のいい人は、1億を超えます。 


次に、アソシエイトやVPくらいまでは上記のIBDよりマーケッツの方が稼げる人が多く、職業柄ボーナスの幅が大きいので、キャピタルマーケッツ5年目アソシエイトで3500万もらっている人も。

これに対し、エクイティ部門のコストセンター扱いされるようになった証券アナリストはこれより低めで、5年目で2000万弱の水準が多いです。投資銀行部門のIPO案件獲得のためのフロントとしての役割を担っていたころは、トップアナリストは酢億円の報酬を得ていましたが、今は昔話です。

なお他にも様々な部門はありますが、一番年収が抑えられるのが、バックオフィス。

本コラムの最後で詳述していますが、要するに顧客を引っ張ってくるか市場からお金を獲得するフロント業務以外は、ボーナスの幅が小さく、1000万そこそこの年収が多いです。

投資銀行のポジション別年収~ヴァイスプレジデント(ディレクターと呼ばれるケースも)

投資銀行部門のVP/ディレクターレベルの年収は、基本給1800万~3000万弱です。このポジションからボーナスでの差が大きくなり、ボーナスが0%から数倍つきます。

しかし会社の業績が悪い時に「つなぎ止め」で昇進した時は、年収はたいして上がらないのに、タイトルだけ上がることも。

ちなみに株式営業などマーケッツのポジションで個人の業績が分かりやすく、反映されやすいポジションですと、ベース1800万にボーナス3000万で、5000万程度の年収になります。

なおVP以上のオフィサーは、ボーナス部分が現金、退職金、株に三分割で支給されるのが一般的です(トータル年収が一定額こえると、株式給与の支給割合が大きくなります)。

ちなみに景気が悪くなると現金部分が減り、株を受け取るには6年程度かかる“ディファ―ドペイメント”方式で、長期会社にとどまるインセンティブが生じる給与体系に変わります。

投資銀行のポジション別年収~マネジングディレクター

激しい競争と社内政治を勝ち抜き、めでたくMD(マネージングディレクター)まで昇進すると、基本給3500~4000万、ボーナスは0%から数倍で、5倍貰うことも。年収が億越えになるのがMDです。

給料が高くなる分、解雇されるリスクも高まり、40歳そこそこで解雇されるまでに十分稼いで、大学の非常勤講師から教授を目指したり、謎のブティックファームを開業して懇意にしていたアナリストを引き抜き彼の長期的キャリアを台無しにしたりする人もいます(実際に目撃)。

MDは投資銀行では天井人扱いですが、転落も早いです。MDであろうと部門ヘッドであろうと、上り詰めるのに長年苦労した割に、グローバルの社内政治であっという間にクビになるのですから、その天下も長く続かないものです。

外資系投資銀行VS日系投資銀行の年収比較~野村証券、日興証券、みずほ証券は、福利厚生も馬鹿にならない

さて、日系証券会社では、いわゆる投資銀行枠の採用をされた人(総合職ではなく、いわゆる特定専門職採用)でも30まではズバリ、外資系投資銀行の半分から1/3の水準です。

野村、日興、みずほの順に給料が下がる傾向にあり、総じて10年選手で1000万から1200万ですが、野村証券などでは一部に、このくらいの年齢で1500万に達する人もいます。

なお日系投資銀行は福利厚生が厚く、ハワイで療養所を格安で使えたり(野村)、家賃補助が手厚く会社がマンションを用意してくれたり、人間ドック年一回無料だったり、10万円弱の支給をしてくれるので、額面+100万程度のインパクトがあります。


たとえばみずほ証券は一番低めで450万スタートですが、家賃補助を勘案するとこれに+100万のイメージです。国内銀行系ということもあり、解雇はされません。

また多くの外資系投資銀行と異なり、残業代もつくので、見た目の額面の差よりかは、幾分ギャップが緩和されます。 

日系投資銀行の年収増加のタイミング~若いころは解雇されず、横並びで昇進・昇給~しかし抜擢されると野村証券の給料は高い

日系は日本企業らしく最初の3年間くらいは横並びですが、野村証券を筆頭に、4年目から大きく昇給します。

3年目までは、ボーナスで少し差がつく程度ですが、基本的に横並びです(700万程度。月収額面30万弱に同程度の残業代と、ボーナス100~200万程度)。

課長代理くらいまでは、ほぼ皆昇進できますが、課長から選別の度合いが高まり、ぐっと絞られることになります。

年収は35歳の課長で2000万に達しますが、実績のない課長は1300万程度です。なお部長に昇進するのは同期入社の一割程度で、年収は2500万程度に上がります。

なお日系トップの野村の幹部職は給与も高く、VPで2000万~3000万、EDで3000万~5000万、MDで5000万超えになります。

ちなみに評価は同僚からの評価も含めた360度評価と直属の上司ですが、直属の上司の一存インパクトが大きいのは世の常です。 

日系投資銀行の給与が外資系に比べて”不公平に低い”のは、解雇が無いからと、全体の業績に引きずられるから

日系投資銀行の年収水準は、外資系投資銀行に比べて見劣りしますが、解雇リスクの低さを加味した”リスク・アドジャステッド・サラリー”で見ると、そう悪くもありません。

しかもみずほ証券は評価者を自分で選べるので、激甘裁定で仕事をしていない人も居残れる分、出来る人の給料も下に引っ張られます。

銀行系なので銀行からの出向組と一緒に働きますが、出向組は銀行の給与なので、同じ仕事をしていても給料が大きく異なります。

かつ、転職組の給与は前職の給与が土台となるので、外資金融からの転職組と日系からの転職組で、同じ仕事をしていても給与が大きく異なります(外資をクビになったイケてないバンカーを、高給で迎え入れていたりする)。

なお横並び志向の強い日系投資銀行は、会社全体の業績にボーナスが連動する割合が大きいです。

よって、長期的に縮小するリテールが大きい日興証券などは、リテールの不調に投資銀行枠社員のボーナスも引っ張られます。なお日興証券は退職金を廃止している分、毎月の給与に数万円の”かつての退職金相当分”が上乗せされます。)

出来る人にとっては諸々不公平感を感じる報酬体系です。しかし外資系証券会社と異なり、解雇リスクは極端に低いので、長く安定的にこの仕事(投資銀行やマーケッツ部門)を続けたい人は、日系の投資銀行枠採用も視野に入れましょう。 

投資銀行バックオフィスの年収

さて、同じ投資銀行の仕事でも、バックオフィスの年収は、投資銀行の中ではフロント業務に比べて格段に低いです。

これはバックオフィスという文字通り、ビジネスをとってくるわけではなく、コストセンター扱いされるからです。従って、基本給の割合が大きく、ボーナスの幅は少なくなります。

投資銀行のバックオフィスとしては、リスク管理、オペレーション、コンプライアンス、テクノロジーなどがありますが、テクノロジーはテック企業との人材の取り合いが激しいので、比較的給与は高くなります。

新卒時は650万から750万スタートでベースに関してはフロント業務とたいして変わりませんが、ボーナスの幅が大きく異なります。順調に昇給して、業務部4年目で1000万、新卒5年目で1400万位貰えることもあります。

なおバックオフィスとはいえ、全体のパフォーマンスを左右するMDになると、バックオフィスでも年収は5000万に迫ります。

外資系投資銀行のバックオフィス業務は、30代後半の給与で考えれば日系とたいして変わらず給与のリスクリターンバランスでは日系証券会社を選考する人も多いでしょう。

以上、投資銀行業界の年収の実態と、その年収が高い理由について解説してきました。投資銀行転職検討時の参考にしていただければ幸いです。

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