
投資銀行のランキングとは、何でしょうか?そして、何故どこの投資銀行も自社がナンバーワンだと言い張れるのでしょうか?ビューティーコンテスト(案件に関し、複数の投資銀行が提案書を出す)では、お決まりのように、ほぼ全ての投資銀行が”うちこそ一位”という怪しげなリーグテーブルを提出してきます(これが投資銀行のマーケティング資料が信頼できないことの象徴になってるかも)。そんな投資銀行ランキングのからくりと、Tier1, Tier2の投資銀行について解説します。
投資銀行ランキング~Tier1(トップティア)VSTier2(セカンドティア)
投資銀行ランキングとは、様々なものがあります。各投資銀行がピッチブックに掲載するのが、リーグテーブル。
要するに、いまクライアントに提案しているような案件(株式増資なり、転換社債発行なり、グローバルオファリングなり、M&Aなり)で、如何に自社が、他の投資銀行に比べて優れた実績を有するかをアピールするためのものです。
投資銀行ランキングは、何故各投資銀行が一位なのか?
不思議なのがこの”投資銀行ランキング”、各社が作ったピッチブックで、何故だか各社が燦然と一位に輝くのです。そのからくりは、データを一生懸命切り刻んで、やっとこさ自社が一位になるような基準でリーグテーブルを作るから。
やれ案件規模が300億以下、やれヨーロッパ市場での実績、やれ2018年7月から2020年7月まで、などなど、それはそれは空しい”なんでその基準で選んだの?”という基準でデータを一生懸命ソートし、なんとかランキングが一位になるように、各社しのぎを削ります。
投資銀行転職志望者にとって、意味のある投資銀行ランキングとは?
投資銀行転職志望者は、業界内の人であれば実質的なランキング(つまり重要な案件がどこの投資銀行が奪い合っているのか、どこのチームが実績豊富で強いのか)を知っているので、多言は無用でしょう。
業界外の未経験者であれば、ブルームバーグなどが出しているのでこれらを参考にできます。ただ、この投資銀行ランキングも一定期間の間に大きな案件をたまたまどこかが取れば、一気にランキングが上がるので、その点注意しましょう。
Tier1投資銀行と、Tier2投資銀行の違いとは?
何処の投資銀行が3位だ、どこが4位だ、と投資銀行ランキングが出るごとに優劣を競っても、あまり意味はありません。それは前述の通り、大きな案件一つでランキングは大きく変動するからです。
また、主幹事なのか、それともコリードマネジャーなのかなど、「よく見るとアロケーションの一部を貰っただけで、主導的な役割は何も果たしていないのに、高いランキング表を作るために堂々と自社名を掲載している、よく見ると恥ずかしい投資銀行ランキング”も実在するのです。
結局のところ、MAであればゴールドマン、モルガンスタンレー、その下にTier1.5としてバンクオブアメリカメリルリンチ、JPモルガン、Tier2でUBSやバークレーというのが、日本市場での現実です。
ちなみに、この地球上で最も意味がないのが、例えばグローバルの資産規模で作った投資銀行ランキング。
別にこれは、日本でどのような優良案件を得られるかどうかに、ほぼ影響を与えません。このように、”そのランキング、何の意味があるのさ”という投資銀行ランキングに惑わされないよう、気を付けましょう。