
投資銀行就職後、優良な案件に恵まれ早く成長するには何が重要なのでしょうか?市況や会社によってはエクセキュ―ションの経験に恵まれずピッチばかりで、マーケティング資料しか作れない人になってしまいます。また下位投資銀行に入ってしまうと、筋の悪い案件(それこそIRアシストとか、他の主要バンクが手を出したくない評判の悪い会社の、怪しげな金融商品での資金調達等)ばかりやる羽目になります。しかし何より重要なのは、迅速で正確に大量の仕事をこなして、「この人はポジション以上の仕事をこなしている」と評判の有無です。
投資銀行就職後、案件に参加できるまでの時間と、向いている人の資質とは?
京都大学大学院 経営管理教育部 女性より質問
投資銀行で一案件に参加できるようになるまで、どのくらい時間がかかるのでしょうか。
講師からの回答
まず第一に、その投資銀行のマーケットポジションと、マーケット全体の環境によりけりです。
ニューヨークやロンドンでのトレーニングが終わる前からすぐに案件に放り込まれるほど忙しい会社もありますし、トレーニングから帰ってきてもひたすらピッチ(営業資料作り)ばかりで、入社して2年間、一度もエクセキューション案件を経験することなく会社を去ってしまった若手バンカーも存在します。
2020年初頭までのように市場で投資銀行の案件が多い時、トップティア(三菱モルガンスタンレー、ゴールドマン、BOAMLなど)は、大変多くの案件を抱えていました。野村証券など国内証券会社、またM&Aを扱うコンサルティングファームも現在、きわめて多くの案件を抱えており、この時期に働いていた人は数多くの案件に参画する機会を得ることができました。
しかしコロナショック後に案件が減り、人員が削減されたような局面では、当然案件獲得のボリュームも件数も下がってしまいます。
優秀な投資銀行アナリストの特徴:効率的で正確無比で、給料以上の仕事をやっている
ちなみに私の同僚にも、一人で3人分くらいの仕事をやっている人がいました。彼は文字通りハードワーカーで、仕事は早く効率的で、正確無比でした。
よって様々なセクターのMDから引っ張りだこで、VPやアソシエイトが仕事を振るのが許されないくらい、より重要なMDからの依頼をたくさん抱えていました。
あまりに多くの仕事を迅速にこなすので、さらにその人に仕事が集中し、さん付けどころか、様付けで呼ばれていたくらいです。
そんな彼は順調に同期一のスピードで30代初頭でディレクターに昇進しましたが、ある日突然やめてスタートアップに入ってしまいました。
バイオベンチャーで怪しげな会社だったのですが、彼の奮闘もあってかその後めでたく上場し、かれはキャピタルゲインを得てかなりの資産を30代で形成しました。
その額は投資銀行のディレクターとして四六時中働いて数千万稼ぎ続けるより、桁の面でも効率性の面でもよっぽど高いものでした。
このように、周囲から「どう見てもこの人は自分のポジションより高いレベルの仕事を多くこなしている」と思われると社内外でのレピュテーションも高まり、よい機会が回ってくるものなのです。
ただし、彼はそもそも投資銀行業務に適性のある脳の特性だったからこそ、なしえたということを忘れてはいけません。
自分を知る=自分が他人より得意で上手くできることを知ることが、その会社・業界で優良な案件と機会に恵まれ、周囲に尊敬されるための最も重要な最初の第一歩なのです。