日本政策投資銀行からの転職5大ポイント~中途半端なパブリックマインドの是非

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日本政策投資銀行(DNJ)は、民営化されたとはいえ最大のステークホルダー日本国政府のバックアップを背景に、パブリックマインドを掲げて国全体・社会貢献度の高い案件創出を、利益とのバランスを取りながら追求します。金融機関で相対的に公共性の強い仕事を志向し、20代は数年でローテーションを重ね幅広い業務を経験し、社費で海外MBAに送ってもらい、30前後で転職する上では、魅力的なキャリア機会を提供します。反面、専門性はつかずパフォーマンスが昇進や昇給に繋がらないので、転職時期を間違うと潰しが効きません。

日本政策投資銀行からの転職5大ポイント~中途半端なパブリックマインドの是非

1.パブリックマインド重視、しかし民営化以降は民業圧迫へ


日本政策投資銀行(DBJ)はその経緯と株主構成上、メガバンクなどと異なり公共性が重視されます。

日本のため、社会の為の課題解決に繋がる案件創出が求められる反面、民営化以降は利益とのバランスも求められるように。



最大のステークホルダーの関心事項が日本政策投資銀行の利益最大化ではないため、社会経済のために必要な投融資だというロジックで案件が通ることもあります。



実際に民間の普通の投資企業だったら出資できないような、ファイナンシャルリターンの先行きがリスキーな案件にも日本政策投資銀行が入っている案件は多々ありますし、そのことが他の投資家にとっての信用供与になったりもしています。



しかし一方で、民営化以降はリターン重視の色彩も強まってきており、民業圧迫で別にDBJでなくてもできるメガバンク案件に参画しているケースも多くあります(よって、社会のため、お国の為という強烈なモティベーションで就職すると、現実とのギャップがあるので気を付けましょう)



2.規模の大きなディールへの参画、しかしリードインベスターになるのは稀


DBJ
は規模が大きいわりに組織のサイズは小さいため、比較的若くして、規模の大きな案件に参画できます。

海外案件も豊富であり、シンジケートローンで他行とやり取りするときは、DBJ担当者が圧倒的に若いのも特徴の一つです。



しかしDBJは資金規模は巨大ですが、特に先端分野の専門性でPEや他行に勝てるわけではありません。

結果的にリードインベスターとして案件を取り仕切るというよりは、共同投資家やLimited Partnerとして、資金と信用を供与するという側面が強いのも事実です。

3.研修機会が豊富でジェネラリスト志向の20代、片道出向でお払い箱の50


日本政策投資銀行への就職後は、その研修機会の豊富さで知られています。

海外MBA留学支援制度もありますし、多様な企業への出向機会も豊富です。

また20代は3年単位で部署が変わり幅広く業務内容を経験できるので、DBJで長期キャリアを築く上でのジェネラリスト養成の機会に恵まれています。



しかし反面、日本の金融機関共通の課題でもありますが、自分でやりたい職務に着けるわけではありません。

かつ仕事内容も変わるため、専門性が身につかないので転職時にマーケットバリューが付きません(結果的に日本政策投資銀行で長年働いた人が、転職市場に出てくることは稀です)。


また解雇はありませんが、他の大手金融機関同様一部の幹部出世組以外は
50歳を境に片道切符の出向が命じられます。

終身雇用で骨を埋める覚悟で就職先を選択する人は、日本政策投資銀行の第一線で働ける時間は意外と短いことに気を付けましょう。



4.潜在的には幅広い業務内容、しかし専門性を磨けないローテーション制度


日本政策投資銀行へ就職することの潜在的メリットの一つに、その幅広い業務内容があります。


DBJは大型融資もしますし投資もしますし、コンサル的な動きをすることも。プライベートエクイティのようなオルタナティブアセットへの投資も、国内外で活発に行っています。



業務内容が幅広いので、たまたまDBJ側にアサインされた部署が自分がやりたい仕事と一致していた場合は、例外的に専門性も深まり、キャリア満足度が極めて高まります。



実際にDBJPE投資責任者を長らくアサインされた某氏は、日本のPE業界を代表するLP第一人者の一人として業界内で一目置かれるまでになりました(ただまぁ、資金規模が大きく、リターンドリブンでなく、日本のPE産業を育成するというジェネラスな理由で投資してくれるからですが。)



しかし、これも日本の金融機関特有の悲しさですが、せっかく本人はその業務をずっとやりたいと思っていて、実際に業界でも一目置かれているのに、人事異動でまったく違う部署に飛ばされることも。



この、”せっかく好きなハマり業務なのに3年で他部署に飛ばされる現象”は、DBJに限らずメガバンクや大手信託銀行でも同様のことが起こるのですが、ローテーション中に自分がプロフェッショナルとして突き詰めたい仕事を決めた人は、その分野のリーディング企業に転職していく傾向があります。

 

 

 

 

 

 

 

5.年功序列の絶対的安定性、しかし頑張っても頑張らなくても報酬はほぼ同じ


DBJ
の評価制度は、意欲が高く貢献度が大きい人にとっては、不満が大きいものとなります。



若い間のみならず中年になっても、昇進や昇給は横並び一線。

パフォーマンスレビュー内容は昇給にあまり反映されないため、結果的に一部の人の頑張りに“おんぶにだっこ“の、働かないオジサン行員が比較的高給を得て、頑張る若手行員のモティベーションを下げる傾向があります。


結果的に、労働意欲が無い人に有利で、モティベーションとパフォーマンスが高い人が報われないという、日本社会全体の縮図のような報酬配分制度になっています。



以上を鑑みますと、日本政策投資銀行への就職が向いている人は、✔金融業界を志望しつつもパブリックマインドが強く、✔報酬的には大きなアップサイドより安定志向で、✔マーケットバリューの向上よりも、✔終身雇用ないし長期雇用を希望するタイプの人となります。




逆に✔専門性の習得や自身のマーケットバリューの向上、✔実力主義の早期昇進と昇給を求めるタイプの人には、DBJへの就職は不幸なキャリアの入り口となります。



なお現在
DBJで働いておられる方は、会社の精度で海外MBA留学が終わり30代に差し掛かっておられたら、このタイミングで転職し専門性を深めないと、長期的にDBJの社風にフィットが無いのであれば、不本意なキャリアが待っているリスクを考える必要があります。


以上、
DBJへの就職、DBJからの転職をお考えになる上で、御参考頂ければ幸いです。

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