メリルリンチで社内リンチ?~社内政治闘争激しい御三家のPro & Con

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ゴールドマン、モルガンスタンレーと合わせてトップ3として一時はグローバル投資銀行のトップに君臨していたバンクオブアメリカ・メリルリンチ(”メリルリンチ”)。リーマンショック後にバンクオブアメリカに買収されたのちの実態と、向いている人、向いていない人のポイントをまとめます。

バンクオブアメリカメリルリンチ(以下略称で”メリル”)のカルチャーの実態を深く理解し、向いている人、向いていない人の実態と、アピールポイントを整理しよう。

部署ごとにカルチャーの差はあるものの、皆さんが志望されることの多い投資銀行部門などフロント業務は主に、以下のような特色を有している。

<Pro>

Tier1としてのグローバルブランド

以前はゴールドマン、モルガンスタンレーと並び称される御三家だったが、リーマンショックの時のダメージと商業銀行に買われた後の戦略変更、また日本支社のプレゼンス低下(アジアのコントロールタワーは香港に移動)で、Tier1・5という印象になりつつある。

それでもトップティアの一角であり、総じてその業界において優秀な人材を引き付けることができる

優秀な若手が多い

新卒で投資銀行部門に入社する人は総じてよく働き、まじめで優秀な人が多い。
(これは私見だが、ちょっと顔採用が過ぎるんじゃないの、という美男美女採用が多かったイメージがある。ただし投資銀行の若手採用はどこも、外見も結構重視される―特に株式営業部にその傾向が顕著。)

自己責任で実力主義・成果主義(ただし社内政治も実力のうち)

成果とボーナスの連動、結果と評価が直接連動する会社としての名声を有している。逆に言えば、上司の言う通りに動いても、クライアントからの収益につながらなければチームまとめてクビになることもある。

国際的(外国人が多い)で、フラットなカルチャー(しかし債券部門など日本人中心の部署は体育会系)

業務特性上、株式部門は外国人も多く、国際的なカルチャー。これに対し投資銀行部や債券は国内のクライアントなので、ドメスティック体育会系カルチャーとなる。

投資銀行部門のジョブローテーション

これは最近メリルリンチが採用の際に新卒にアピールしているが、投資銀行部に入った後も様々な人、チームと働く(あくまで同じ部署内で)ので、幅広い経験を積ませることができるというもの。

ま、これはゴールドマンとかのアナリストプール制と何が違うのかよくわからないが、某欧州系のように入ったらそのチームで基本的に滅私奉公、と固定化されるより、”自分と合うチーム”をより探すことができるだろう。

(ただし、だからといってメリルを志望、ということになるほど強い話ではないのは、言うまでもない。)

<Con>

社内政治が激しい~笑顔の裏で、酷評される360度評価

ここからはメリル入社を検討するうえでのチャレンジだ。まず社内政治が激しいことで有名である。これはバンクオブアメリカに買われたあとで、一段と闘争が激しくなった。

メリル派を一気に切ったり、海外から派遣されてきた上司(クビになるのでこれがころころ変わる)との闘争だったりと、社内政治の激しさに嫌気がさして辞めていくか、闘争の過程でクビになる人が非常に多い。

また360度評価でも、日頃仲いいと思っていた人に後ろから刺されて同僚に不信感を抱いてしまうのも、この業界特有の悪しき慣行であろう。

心理的危険地帯

解雇が多すぎる。お金が志望動機の人が多いので、心理的安全性は低い。入社後数年で同期の半分以上がいない環境なのは、他の投資銀行も同様に抱える悪しき業界カルチャーである。

労働時間が長い。深夜・早朝の海外オフィスとのカンファレンスコール

労働時間の長さも知られた通りだ。実は例の電通の事件から、若手の酷使を辞めようという運動があり(労基が入ったか)、週に二回は8時前に帰らせたりと変化の兆しはあるし、実際メリルで働く若手バンカーも「ベースも高くなっている割に労働時間はずいぶんマシになった」と証言する。

それでもIBDは深夜まで働くことも多く、これが海外とのやり取りの増えるECM(Equity Capital Markets)になると早朝深夜のコールも多いので、この点覚悟しよう。

東京オフィスは縮小気味

香港・ニューヨークが東京より偉く、ローカルで物事決められない。アジアは香港が中心で東京のプレゼンスは低下中(株取引の手数料が下がる中、商業銀行に買われた後は、株式部門なども影響力低下中だ。

これが厳しいのは、チームがある程度サイズないと、カバーできる会社の広さと深さも変わり、投資家からの安定的に高い評価もうけられない。ちなみに投資銀行部門に関しても、収益が落ちると他社から”上客付きのMD(マネージングディレクター)”を引っ張ってこれないので、デフレスパイラルになる。

後ろ向きの理由の退社が多い

なお、お金儲けに飽きて仕事にやりがいを感じられなくなった、上司と合わない、バンカメ―メリル間の社内闘争、若手リストラによる業務増加、業界の先行きへの懸念、過労、リストラ退社(チーム丸ごと解雇なども含む)など、後ろ向きの理由で退社する人が多いのも、多くの投資銀行に共通する残念な特徴である。

前向きの理由も、せいぜい「同業他社からよい給料でオファー」や、「金融を離れたかった」などであり、マッキンゼーなどのように「仕事を通じてやりたいことが分かった」というポジティブ退社が少ないのは、投資銀行業界の構造的欠陥とでもいえるだろう。

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