コンサル志望者がメチャクチャ誤解する、コンサルで絶対に経験・学べないこととは?

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コンサル就職・転職志望者は、コンサルで学べる事、経験できることに多大な誤解を抱いていることが多いものです。やれ途上国の発展に寄与できるのか、やれ将来起業するためのスキルを得られるのか。そもそも起業に必要なのはスキルというよりマインドセットと強い目的意識・問題意識・やり遂げるグリットでありスキル云々の世界ではないのですが、この典型的コンサル就活生・転職志望者が抱く質問に関し、以下で解説いたします。

一橋大学 男性より質問

戦略コンサルを通じて、アジア企業の発展に寄与出来るでしょうか?
また戦略コンサルで、将来の起業のために得られるスキルと得られないスキルを教えてください。

講師による回答

結論から申し上げますと、アジア企業(東南アジアなどの発展途上国を指してらっしゃるのだと思うのですが)というか、アジアで展開する多国籍企業からの案件は現地オフィスでたくさんあるので、そこに入られれば間接的に寄与できるでしょう。

ただし高額のフィーを払える裕福な企業相手ですので、思われているイメージとはかけ離れているかと思います。

またアジアの途上国の発展に寄与という意味では例えば世銀系の組織やJBICなどがありますが、最も現地で影響を感じられるのは、マザーハウスのような一部の優良な、アジア各国での製造と販売にこだわっている社会企業などを考えられるとよいでしょう。

コンサルの実態とかけ離れた、社会貢献志望動機に要注意~なぜか就活生が言ってしまいがちな、「世界を良くするコンサル志望動機3大パターン」とは?

余談ですが、①“発展途上国の開発に貢献したい!” もしくは②“環境問題をなんとかしたい!” ③“世界の貧困を撲滅したい!”系の、”世界平和・貧困解決を願います”系の志望動機は驚くほど多いのですが、それを実行する人はほぼ皆無です。

ぜひ就職活動が終わった後も、今の志を忘れないように頑張っていただきたいと願ってやみません。

さて、相談者様が入られるであろう東京オフィスのコンサルの仕事に関係あるかといえば、かなり連関性は希薄でしょう。

アジア諸国の会社がクライアントになって、なぜかその国か地域のオフィスではなく日本支社のあなたがそのケースにアサインされて、おまけにレポート提出・お勉強で終わらず実行されて、しかも(成功の定義にもよりますが)大成功に終わって、、、みたいな“奇跡の4乗”が実現すれば話は別なのですが、あまりこの手のプロジェクトをコンサルファームで期待するのは望み薄です。

コンサルプロジェクトの客はどのような企業が何を目的に発注するのかを考えれば、おのずと何ができないかは見えてくるはずです。

コンサルのクライアントは資本主義下の大企業が、利益を伸ばすために依頼するのであり、結果的に進出先途上国で雇用創出や技術移転に寄与することはありうることですが、コンサルの立ち位置では一義的な目的をそれにすることはできません。

面接で、“実際の業務とかなりかけ離れた志望動機”を面接官にぶちまけることの無いよう、重ねてご注意願ください。

ソーシャルセクターのコンサルプロジェクトも欧米オフィスでは増加中

ただ、有力ファームの海外オフィスでは、相談者様のような希望を持つ方を社内に取り込むため、様々なプログラムを開始しています。これは、社会貢献意欲が強いタレントの転職を防ぐため、また社会貢献することをアピールするCSR要素、また異なる環境でのコンサルタントトレーニングという3つの期待効果が考えられます。

近年のソーシャルベンチャーやソーシャルアントレプレナーシップへの関心の高まりをうけ、MBB(マッキンゼー、ベイン、ボストンコンサルティンググループ)やストラテジー&Co(旧ブーズ)などの欧州オフィスでは、いくらか働いたのちに数か月や1年という単位で好きなソーシャル企業で働き、また帰ってこさせるという取り組みを始めています。

また、ベインのグローバルオフィスが比較的積極的なのですが、安価でNPOへのコンサルティングなども提供していますので、その手のプロジェクトに入ることは間接的にあなたのおしゃってるビジョンに整合しているともいえるでしょう。

コンサルで身に着くスキルと、着かないスキル

さて、二点目の“経営者を見据えた、コンサルで身に付くくスキル/付かないスキル”に関してですが、これも非常にポピュラーな質問です。コンサルに入ったからといって身につくスキルは、あなたがアサインされるプロジェクトによって、また一緒に働く上司のクオリティによって、またそこで学ぶその人の姿勢によって、そして何よりもあなたのマインドセットによって、大いに変わってくるのです。

コンサルになって羨ましい成長ケースは、会社のほぼ全ての主要部門(財務なり経理なりマーケティングなり取締役会なり、バックオフィスなりITなり)を見るケースにアサインされる人です。
すると、比較的キャリアの早い段階で企業というものの全体像を把握することが出来ますので、その後も部分を見つつも、全体観を意識した思考をできるようになります。とくに大企業の経営者としてのキャリアを考えている人は、大組織において、各部署がどのように動き連携するのか全体像を俯瞰していることは、極めて重要です。

近年ではマッキンゼーの日本オフィスなどでも、日本の大企業の中に一年など長期間、コンサルタントを送り込むエクスターンシップの機会もありますので、コンサルタントとして経験できる仕事の幅は一昔前よりずいぶん拡大しています。

逆にあまり羨ましくない人は、たとえば“ビジョン設定の前段階の、価値観共有プロジェクト”などと称して、実質敵には経営陣の方々をレジャーのような合宿に連れてって、熱く語らせるプロジェクトだったりします。

なお、起業に必要な能力は、起業することでしかつきません。あえてスキルと書かなかったのは、起業はスキルではなく解決したい問題への認識と、それがどうあるべきかというビジョンの強さ、そこに資金と人を引っ張ってきてうまくチームワークを組成するアントレプレナーシップは、やることが比較的決まっていて予算もたっぷりあり、人もたくさんいる大企業では、学べない代物なのです。

起業に最も必要なのはやる気と勇気です。それらが体内テストステロンの減少で40代から減っていく前に、今は副業でもなんでも簡単に始められるのですから、とにかく始めてみることが、「起業」のための最も効果的な準備かと思います。

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