
外資金融に入ったはいいものの、任されたセクターや顧客が小さくて、パフォーマンスが出せずに焦る人は少なくありません。こんなとき、社内で間違った行動に出て、さらにキャリアの墓穴を掘る人がいます。やれ、”もっと責任をくれ””裁量をくれ””大きなセクターを任せてくれ”云々カンヌン。。。以下では外資金融で燻る若手社員が、絶対掘ってはいけないドツボに関して、解説します。
外資金融転職後、絶対にやってはダメなたった一つのこととは?
米系投資銀行株式営業本部 勤務 男性より質問
私は某外資証券で、株の営業の仕事について2年になりますが、今一つ、うだつがあがりません。
これでも自分なりに朝早起きし、誰よりも早くNY株式市場の動向を探り、海外オフィスともまめにコンタクトを採って毎朝の顧客への電話内容を充実させているつもりです。
ただ、チームの先輩たちは、僕よりもみんな最低10歳くらいは年配で、大きな顧客を担当させてもらえるとは思えない環境です。
そうはいっても、大きな顧客を担当しないと、セールスとしての自分も伸びないし、巨額のボーナスも得られないと感じるのですが、こんな私はどうしたらいいでしょうか。今のジレンマを打開する術を教えてください。
講師による回答
まず最初に、私は誰よりも貴方のその悩みを理解している、ということを知っておいてください。
大きな会社で、優秀な先輩がいればいるほど、新卒の「若輩者」の立場は、ひたすらモドカシイものになりがちです。実際、私がアメリカ留学から帰国後就職したときには21歳、他のみんなは全員28~45歳と、とてもじゃないけど頭があがりませんでした。
ここでは、貴方が、貴方のような状況にいるからこそ、してはいけないこと、そしてすべきこと、の2点を解りやすく述べたいと思います。
上司に掛け合うのは逆効果
まず貴方だからこそしてはならないこと。
それは、貴方のその望みを口にだして本当に上司と掛け合うことです。
これだけはしてはならない。
逆効果をうみます。
もう学生生活を離れて2年以上経った貴方は、「自分を他人の目で見る能力と余裕」を身に付けるべき段階に達しています。
貴方の所属するような優れた会社のチームの先輩・上司の方たちは、貴方の考えていること、仕事ぶり、などなどすべてを解っていないようで、実はしっかりとみています。
そうして貴方の「値踏み」をしている最中に、貴方から「でかい客をもたせろ」といってしまえば、周りの貴方に対する評価と信頼・尊敬心はどうなるでしょうか?
貴方も頑張っているに違いありませんが、周りも、年上だけに、より一層責任をもって必死に仕事をしている方たちです。
昨今の景気不安を鑑みれば、さらにそうだといえるでしょう。
自分から野心や欲を持ち出して、「何も知らない、自信過剰なクソガキがなにをいいやがる」と、周りに思わしてしまうようでは、貴方自身がこれから業界で損をすることになるのです。
まずは既存の仕事で不動の一位を目指す
逆に、貴方が、そんな貴方だからこそすべきことがあります。
それは、周りが見える形で、今以上に、仕事のパフォーマンスを向上させることです。
仕事に対する姿勢、業績、経験値、など等、貴方の、株のセールスのプロとしての資質の凄さを、周りの誰もがもはや公式に認知し、奨励せざるを得ない状況を間接的につくることです。
この状況を、言葉や示談などではなく、いきなり行動をもってして創り上げる。
これこそが、貴方の昇進、顧客獲得、そして昇給を実現するための最大にして、唯一の近道なのです。
今、あなたは心の中でこう皮肉ったはずです:「既存の客が小さいとこばっかりなのに、どうやって業績なんかがあがるんだよ。 努力しても限界があるからこそ質問を投稿したのに。」
この類の皮肉は、不正確であり、未熟です。
いま30歳や40歳の、貴方の上司たち。
そして私が21歳だったころに、年配だった先輩や上司たち。彼らも貴方と同じ道を通りました。
貴方がハイテクバブルか、おそらくは2020年前半までの世界的好景気の波に乗る形で優れた会社に入社できたように(貴方がそもそも学歴上優秀であることは明らかなのでそれに対する言及を敢えて略します)、貴方の先輩たちも、過去のバブルに助けられ、過去の不景気に肝を冷やしてきました。
そして彼らも同じように、小さい顧客のみを担当して、着実に生き残り、今日まで成長してきました。
仕事に対する姿勢、情熱を維持し、小さな顧客から、どんどん仲良くなり、信頼を勝ち得、市場に関する情報をいち早く察知する連絡網を構築していってください。
今の貴方には、今のままでも充分にまだまだやることがあるし、できることがあるのです。例えば、その「小さな客」とやらを5~9社担当しているとして、貴方はその全社から株式営業の項目で不動の1位を得ていますか?
「今の自分にはまだまだやることがあるのに、自分の未熟さから端を発する不満や怠惰を、客の規模のせいにしてしまっていた。」
こう気づいた貴方は、その時点でまた一回り大きくなりました。
こういった哲学的な確立と、謙虚さを伴った着実な成長こそが、貴方の本来持ち備える野心や情熱に根拠とバランス感を与え、また一味厚みのあるプロとしての貴方が実現します。
そんな貴方は、いずれは貴方の会社のみならず、業界中の誰もが否定できないくらいに一目置かれるプロフェッショナルとして、存在感を増してゆくでしょう。