
360度評価を採用している企業が増えている。匿名扱いということで何でも本音を書く人がいるが、実際は筒抜けである。そして、あなたのコメントはあなたの評価を上げるためにも下げるためにも使われ得る。本音を書くべきではないということではないが、自分の役割を演じることも大切だ。
人事評価の注意点・360度評価の罠~記載内容はたいてい、会社に筒抜け?
外資金融だろうが外資コンサルだろうが、360度評価をやっている企業は多いが、これに大真面目に付き合うと痛い目にあう。
貴方の名前は匿名扱いにされるというが、実質筒抜けである。
人事は当然、部門長や社長と仲がよく、貴方との約束を守る義理よりかは上司に情報を与える方にインセンティブが沸く。
人事とマネジメントは密接に協力しており、一緒にランチも行けばディナーもいく。
当然社員が上司のことをどう言っているか、日常的に話題になる。貴方の職場、特にボスへの忠誠を諮られているとみるほうがよい。
仲の悪い上司が、「特別フィードバック」を追加的に提供してきたら、解雇される寸前の儀式だと心得よう
また360度評価は貴方の評定を下げるためにも活用される。
仮に貴方が上司に好かれていたら、貴方に対する好意的なコメントを並べ立て貴方を昇進させるときの言い分に使われるだろう。
逆に貴方が嫌われている場合、上司は貴方に対する否定的なコメントだけ並べ立て、それらを強調して貴方を大悪人、史上最悪のアンダーパフォーマーに仕立て上げるだろう。
特に外資金融では解雇する前に、法律上のリスクを回避するために「パフォーマンス向上のための努力を行った」という証拠を残すために、解雇対象の社員に対するフィードバックを特別に集めたりもする。
そのフィードバックは纏める時に、解雇を正当化するネガティブなコメントが集められ、「解雇するのが妥当」という証拠集めに使われる。
そう、360度評価は、上手く機能すれば社員の成長に資するが、往々にしてマネジメントに乱用されることも、少なくないのだ。
人事は上司・部下の関係性において「中立」たりえない~とくに外資金融
なお、悩ましいのがこの評価制度は匿名にしてコメントだけ伝えるので、「誰が自分の悪口を言ったのか」ということに関し、疑心暗鬼になるのだ。
そして人の心とは見抜けないもので、勝手に逆恨みしていた人が実は応援のメッセージをくれていて、逆に自分の味方だと思っていた人が、陰で足を引っ張りまくっているものなのである。
また、匿名性が保たれるわけがない環境で、名前だけ伏せられても、ほぼ意味がない事も多い。たとえばチームのサイズが小さく、自分へのフィードバックを書く人が数人しかいないのに、書き手が匿名にしたところで、誰が何を言っているか一発でバレるのは言うまでもないだろう。
外資に限らず(しかし外資金融では特に要注意)、職場の360度評価にはくれぐれも警戒心をもって臨みたい。