
まずマクロ政策面からは、岸田政権が金融庁とのすり合わせもなく突然海外で発表した資産所得倍増計画は、オルタナ投資ファンドにとっては追い風となる。インフレ局面で円安局面なこともあり、円建て現金保有のリスクが高まっていると認識されているため、海外オルタナ投資需要は更に強まることだろう。
これを見越して海外オルタナアセットマネジャーの日本進出も相次いでいる。そしてそのようなファンドから日本オフィス設立にあたり、求人需要も増している。
日本に進出する海外オルタナファンドマネジャーは、ブラックストーンの牙城にどう挑むのか?
ではどのようなファンドが日本への進出に成功するだろうか?まず既にブラックストーンやKKRなど様々なオルタナティブアセットクラスを持つグローバルブランドが日本に進出しているので、それらと競うのは既にハードルが高い。
日本の地銀は結構海外オルタナ投資を積極的にやっており、新規のファンドへの投資は壁が高くなる。とくにブラックストーンは近年、いろんなオルタナを小口に分けて投資家が買えるようなプロダクトを猛プッシュしており、日本の機関投資家が手を出しやすい欧米のアセットではなかなか新規参入は難しいだろう。
アジア発オルタナティブアセットマネジャーは、日本市場に進出できるのか?
ではアジアはどうか?インドや中国、東南アジアへのオルタナティブアセットへの投資はまだ日本の機関投資家はあまり進んでいないので、可能性は無きにしも非ずだ。
しかし近年、多くのアジアのオルタナティブアセットマネジャーが日本に進出、つまり日本の機関投資家からファンドレイズすることを狙ってきたが、結局日本の「超長期間の検討期間の壁」に阻まれ、実現していないことが多い。
そこで日本企業と合弁で行うパートナーシップ形成先を探していることも多いが、証券会社と組んでも現在、金融庁が証券会社などが富裕層相手に、受託者責任を負うことなく高いフィーで仕組み債を売ったりするのに目を光らせて締め付けを厳しくしているので、これら証券系のDistributorと組むのは有力な選択肢とならない。
日本の地銀連合やメガから満遍なく資金を集めていて、海外進出志向の強いファンドに、海外大手との合弁ファンド設立の機会
すると銀行系はどうだ、という話になるのだが、メガ三行はこういうときプライドが高く、海外のファンドが組成した商品を自分の客に流すことには抵抗感がある。また三菱はモルガンスタンレーの持ち分を有しているし、SMBCも海外アセットマネジャーの一部を持っている。この点みずほ系は出遅れているが、いちおうアセマネワンをグループに抱えている。
こうなると、ティア2などの、メガに比べて謙虚な姿勢を有しており、自前で出来ないことも分かっているがそれなりに顧客層も抱えている銀行か、地銀の中でも富裕層を多く抱えていて、オルタナティブ投資に積極的に参与してきたFやY銀行などが潜在的パートナーとして頭をよぎる。
しかしよりあり得るのは、既に日本の地銀や生保、年金など日本の機関投資家から資金を調達するルートと実績を有しているところと組むようなファンドだが、そのような機会も実はいくつか出来てきている。
そのようなファンドへの転職機会に関心がある会員の方は、是非shoebill@strong-career.comにご一報いただきたい。