
プライベートエクイティファンドのランキング
プライベートエクイティファンドのランキングは、誰のための何を指標にしたランキングかで変わってきます。投資家にとってよいファンド、投資対象企業にとってよいファンド、投資プロフェッショナルにとってよいファンドはそれぞれ基準が違うのです(共通する項目もありますが)。
投資家にとっては、安定的にリターンをあげていることが重要ですし、ファンドレベルだけでなく、各案件のリターンにばらつきが無いことが好まれます。これは投資家層が安定志向の年金基金などが多いことに影響されています。
この意味で、J-Star、カーライルジャパン、ユニゾンキャピタル、アドバンテッジパートナーズなどが比較的長期間にわたって、比較的安定したリターンを挙げています。(といっても、案件ソーシングやファンドレイジングの大半を担当していたパートナーが独立してしまうと、案件や投資家、またその部下が一気に消え去るので、その見極めが重要なのはいうまでもありません。)
ファンドのサイズのランキングをつくっても、あまり意味はない
ファンドのサイズのランキングを比べてもあまり意味がないのですが、ビリオンダラーファンドとしてベインキャピタル、KKR、ペルミラ、そして再度日本で活発化しようとしているCVCに加え、MBAパートナーズが大型リージョナルファンドとしてあげられます。
次に、一時に比べファンドサイズは小さくなりましたが、ミッドキャップの中でリーダー的ポジションにあるのが、ユニゾンキャピタルやアドバンテッジパートナーズで、700億から600億円規模でメインファンドを運用しています。JIPなども同じサイズ感でハイテク案件に強みがあり(最近のファンドで一気に大きくなりましたが)、続いてポラリスやインテグラルといった、急速にサイズを大きくしたミッドキャップファンドが続きます。
外資系ではCLSAキャピタルパートナーズが成功裏に投資およびエグジットを積み重ねてきました。小型ファンド(といっても成功案件が続いてサイズ的にもミッドキャップになってきましたが)の雄としては、J-Starが圧倒的な実績を誇っています。他にも日本みらいや東京マリーンなど、金融機関系のファンドや、アントキャピタルなど商事系のファンドが存在します。
プライベートエクイティLP投資家が重視する様々な要素
なお、ランキングを語る際に単純にファンドレベルでのランキングだけで比べても、投資家からの評価と一致しません。投資家は案件レベルでの安定的なリターンを重視しており、たとえば8件のポートフォリオで7つが2.5倍、1つがゼロというファンドの方が、4件のポートフォリオで5倍2つ、ゼロが2つで結局2・5倍のファンドより高く評価されます。
また、ファンドの消化率も重要です。つまり、投資家から預かったお金をきちんと投資できているかどうかも、投資家はファンド評価の時に大変重視します。(大きなファンドをつくった割に、よい案件に投資できず、マネジメントフィーだけたっぷりとられて、何も投資できなかった、という事例も少なくないのです)
さらには、チームの安定性や案件数、チームの人数など様々な指標でランクづけする人がいます。
プライベートエクイティ転職志望者にとって、ランキングより意味ある要素とは?
最後に強調しますが、プライベートエクイティファンドへの転職を検討するうえで最も重要なのは、①安定的に高い(2.5倍が目安)を挙げて、次もファンドレイズできるか②案件数が豊富で、投資実行からバリューアップ、エグジットまでの経験を積めるか ③一部のパートナーががめずに、優秀な若手もフェアにリターンを享受しているか などが、三大重要ランキング指標といえるでしょう。
そしてなんといっても、プライベートエクイティファームは組織のサイズも小さく、また非常に長いお付き合いになるので、会社のカルチャーとのフィット、特に直接一緒に働くことになるチームと相性が合うかどうかが、キャリアの幸不幸を占ううえで非常に重要になってきます。
実際、非常に優秀だが、ボスとまったく相性が合わずに干されたり、実質解雇に近い追いやられ方する人も存在するのですから。人数が多くないだけに、創業者や中心的なパートナーの人格が、労働環境や社外からの評価に大きく影響する業界であり、とにかく人柄、信頼できる人かどうかが非常に重視される業界なのです。
志望されるPEファームの戦略とのフィットおよび、カルチャーフィットを重視して、自分と志望先企業に正直に向き合うことが、重要なのです。