プライベートエクイティ私生活~家庭円満な子だくさんが多い3つの理由とは?

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プライベートエクイティの私生活の特徴は、投資銀行やコンサルに比べ(一部のファームを除き)たいていは時間に余裕があり、気持ちに余裕があり、結果的に結婚率が高く、子だくさんの人も多いという意外な事実です。プライベートエクイティ業界のプロフェッショナルが、国を問わず愛妻家と子だくさんが多い理由を紐解けば、自然にPE業界の特性理解にもつながります。投資先同様に、家庭のガバナンスを構築し、家庭内バリューアップを実現できる人でないと、投資先のガバナンス構築やバリューアップも、おぼつかないものなのです。

プライベートエクイティ業界は、愛妻家と子沢山が多い!?

これは嘘のようで本当の話。プライベートエクイティ業界で働く人は、子だくさんが多い。

プライベートエクイティの特にパートナークラスは(一部のいつまでも合コンに励んでいる痛めのおじさんを除いて一般的には)家庭を大切にするし、家族ぐるみの人間関係が多いし、なにせ子供をたっぷり産むのだ。

これは何も、一部の特殊なPEプロフェッショナルに関して言っているわけではない。ファームを問わず、また国を問わず、やたらと皆、若くから子供を出産し、4人5人子供がいる人も結構いるのだ。

そこで以下では、「PE業界は子だくさんが多い説」を、業界の特質への理解と絡めて論じたいと思う。

1・プライベートエクイティで出世すると、お金と時間に余裕があるから

PE業界で子だくさんが多い理由の第一位は、やはりお金と時間に余裕があるからだ。

お金に余裕があるのは投資銀行とかでも同じだが、投資銀行とPEの私生活が大いに違うのは、その「可処分時間」の違いだろう。

常にピッチブックづくりに追われ、マーケティングに勤しまなければならない投資銀行部門に比べ、プライベートエクイティは「一発ファンドレイズしたら、向こう10年間の基本的な収入は確定」という、金融業界には特殊な”超安定ビジネス”である。

ファンドサイズが大きくなると、巨額のマネジメントフィーと、上手いこと言ったらキャリーを少ない人数のプロフェッショナルで分けるので、(キャリーがたっぷり出るくらい)ファンド運用が成功すれば給与は極端に高い。

はっきりいってたまに出てくる「上場企業高級与ランキング」の第一位に出てくる会社の給料など、笑って吹き飛ばせるくらいの水準であることも少なくない。

おまけに、面倒な仕事は投資銀行やコンサルファームや会計事務所やタックスコンサルタントに何でもかんでもアウトソースできる。

つまるところ、別に自分が会社に入り込んで走り続けるビジネスでないため(一部、そういうPEファンドもあるが)、夕方6時になったら家に帰っている人も多いのだ。

この「金銭的・時間的余裕、そしてそこからくる気持ち的な余裕」が、PEプロフェッショナルが「子だくさん」になることを可能にしているのである。

2.プライベートエクイティは長期人間関係を重視するという、職業病?

これもPE業界特有の、職業病的な特徴だが、なにせファンドのコミットメントピリオドが10年に及ぶので仕事上、長期的な人間関係が非常に重視される。

長年の関係の中ではいい時も悪い時もある。山あり谷ありの人間関係を、事前に想定されうるリスクシナリオや揉めた時の解決法をこれでもかと集積したLPA(Limited Partnership Agreement)や、投資先とのSHA (Share Holders’ Agreement)を結び事前に準備しておくことに慣れている。したがって結婚生活に関しても、事前に想定されうる揉め事への心の準備もぬかりない。

さすがにMPA(Marriage Partnership Agreement)を大真面目に結んでいる人はそうはいないが、株の売買の如く伴侶を取っ換え引っ変えするヘッジファンドマネジャーとは行動パターンが大きく異なり、人間関係も長期保有が基本である。

または、企業分割や売却に慣れてしまって、家庭の分割に抵抗感の無いM&Aバンカーに比べ、PE業界は、長期的人間関係を形成できる人が多いのだ。

3・プライベートエクイティのプロは、企業だけでなく家庭もバリューアップ?

最後に挙げたい、プライベートエクイティファンドならではの家庭内行動様式が、「バリューアップ」マインドセットだ。

プライベートエクイティは長期間の保有期間の中で、投資先をバリューアップしてナンボの仕事である。

これを結婚生活にも当てはめて、結婚生活のバリューアップについても考えを馳せるとき、自然に「結婚のバリューとは何かという哲学的認識」も深まることだろう。

往々にしてその答えは、苦行と忍耐に尽きて、こちらが幾らバリューアップの努力をしても怒り狂った奥さん(ないし不誠実な夫)が家庭を破壊するというのが、(私の家庭の実例も含めた)悲しい実態である。

しかしガバナンス不在で社内規定もなく、会社の体をなしていない会社を普通以上の会社にするのがPEプロフェッショナルの仕事であるのと同様、家庭のビジョンや家庭内決まり事を作りこみ、家庭内共同生活が回るように「ファミリーガバナンス」を作りこむのも、結婚したPEプロフェッショナルの腕の見せ所なのだ。

ともあれ、比較的時間とお金に余裕があり、長期的人間関係構築が得意な人が集まり、投資先同様家庭のガバナンス構築やファミリーバリューアップを考えられる人材こそ、公私ともにPE業界で輝き、投資先のリターンと家庭内子供の数を増やしながら、資本主義と家庭第一主義の上空を、パタパタと羽ばたいていくものなのである。