
激務の割に給料のアップサイドが限られていることに不安を感じる方は多いものです。以下では不動産金融の中でもREITの上場のエクセキュ―ションで数年間働き、経験を活かしたキャリアアップ希望者の方の転職相談に、回答いたします。
不動産金融(REIT上場)からの転職相談~日系金融は年収が低いのに激務!外資金融に転職するには?
質問:不動産金融からのキャリアアップ
不動産金融の経験から歩めるキャリアについてお伺いしたいです。
私は現在2●歳(アナリスト●年目)で、
しかし、
そこで、①
②
例えば外資系の不動産ファンドなどはサラリーや働き方的にも魅力
不動産金融系のキャリアについてはネットなどの情報が非常に少な
回答
REITの上場のExecutionですか。これは面倒な割に、今後厳しい仕事ですね。アナリストの仕事はREITに入っている物件一つ一つのデータ入れ込んで管理しなければなりませんし、投資家報告用の資料も退屈ですが膨大です。
しかもコロナショックで都心のオフィスの縮小や撤退が始まっているので、空前の空室率と賃料値上げとバリュエーション上昇を享受できたブルマーケットは終わりました。
おまけにキャリアのリスクリターンという意味でも、日系証券ですと30で1000万そこそこ、これは✔退屈で反復的な作業が多く✔労働時間が長く✔たいていオフィスにやな上司が多いという対価を払いながら、✔他業種で得られる給与に比べ、決して高いとは言えません。
しかもより怖いのは、長居しすぎると将来の選択肢の幅が狭まるため、よっぽど不動産金融好きでないのならば、危険なキャリアになりかねないということです。
金融業界の新卒にして、いきなりニッチな特色が強い不動産金融に入り、そこでの業務がREITの上場という限定的なものであるため、ここでアソシエイト期間を終えてしまうと、金融機関に入ったのに企業金融を経験できず、いきなり不動産畑一本を歩んでしまうことになりがちなのです。
上場投資法人の公募増資の経験を活かせる業界と給与の変化
まず考えるべきは、現職の経験を活かすことに拘るかどうかです。20代前半ですと、最初にたまたま入ったキャリアに縛られるべきではありません。
実際に私の周りでも、不動産金融(モルガンスタンレーなど外資を含め)でキャリアをスタートし、不動産畑を進んだ人(三井不動産にはいったり、不動産ファンドに進んだり)もいれば、その後政府系ファンドに入って地方再生案件を手掛けたり、投資銀行内部で違うセクターに移ったりと、その転職先は多様です。
既に40代ならまだしも、20代前半は自分が楽しめて得意な仕事を探す期間ですので、くれぐれも僅か数年のキャリアを活かすことに拘泥して、選択肢を狭めないようにしましょう。
なお給料の変化幅は、上述の通り選択肢の幅が広いので一概には言えないですが、不動産金融でも外資金融ならば20代前半で1000万に到達しますし、日系証券の倍近く貰えることも多いでしょう。
ただし、解雇されるリスクを甘く見積もってはいけません。コロナショックでどれだけ市況が落ちても、また在宅勤務で実はさぼりまくっていても、社長にドロップキックを食らわせない限り解雇されない日系金融の”ありがたさ”も天秤にかけて、リスクリターンバランスを慎重に考えましょう。
現職でどのような経験を積めば、給与ポテンシャル(例えば外資不動産ファンドへ転職)できるのか?
不動産金融での収入最大化に関してですが、この業界の一丁上がりモデルは不動産のPEファンドに入ってキャリーを貰うケースです。(外資証券の投資銀行部の不動産カバレッジで、激務の中、解雇されるリスクに怯えながら、4000万年収貰って税金と社会保険払ったら2000万という目線を目標にしていては、一丁上がれません。)
キャリーの仕組みは当サイトのプライベートエクイティ業界転職特集の中からお読みいただくとして、ではエートスなどの不動産ファンドに入るにはどのようなキャリアが評価され、そのために現職で何をすべきなのでしょうか?
ズバリ、不動産アクイジィヨンの実務と、投資家レポーティングの実務を若いうちに経験することです。REITのエクセキュ―ションですと、投資家レポーティングに関してはある程度経験できるでしょう。
ですが、不動産金融で一番付加価値の源泉となるのは優良物件をリターンの出る価格で買い、バリューアップし、投資家にマーケティングし、資金調達をする経験なのです。REITの若手アナリストばかりやっていては、これらのスキルを(未経験者採用がかなり難しくなる)30代に入る前に身に着けることはできません。
まだ未経験ながら転職可能な年齢のうちに、社内外で不動産投資を経験されることをお勧めいたします。
ないし、外資系不動産ファンドとしては大口日系金融機関(年金やジャパンポスト)からお金を引っ張ってきてくれる人も大変ありがたいので、これら日系大口機関投資家からの資金調達やインベスターリレーション関連の経験を挟めば、この方面での御自身の転職価値を高めることができるでしょう。